平成11年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 特集 インターネット

(3)BTO

直接販売方式の導入による企業と消費者の関係の変化と企業活動の効率化

 インターネットコマースは、店舗を必要としないため、製造業者が直接消費者に商品販売を行うことが可能である。このような直接販売方式の導入は、販売時の中間コスト削減をもたらすとともに、消費者の注文を受けてから製品を生産する受注生産(BTO:Built To Order)を可能にした。消費者にとってのBTOのメリットは、自分の必要とする仕様の製品が注文可能になることや、安い価格で購入できることにある。一方、製造業者にとっては、在庫を常時抱える必要がなくなるため、在庫管理コストを低く抑えることが可能になり、また常に最新の製品を販売できるようになる。
 米国のデルコンピュータ社(Dell Computer)(http://www.dell.com/)は、直接販売方式やBTOに、インターネットを融合して成功した事例として有名である。
 同社は、1984年の創業以来、消費者との間に仲介業者などを介さない直接販売方式を採用し、早くからBTOを導入してきた。さらに他社に先駆けてインターネットの利点に着目した同社は、1996年にWWWを新たな販売経路として導入し、インターネット上でも製品を希望の仕様で注文できるようにした。直接販売の強みを生かして、同社は競合他社の製品と比較して約10〜15%低い価格で販売することに成功しており、インターネット販売によって企業活動全般がさらに効率化された。インターネット上での商品販売を開始して半年後の1997年1月には、インターネット上の1日の売上高は100万ドルに達し、1998年度の第4四半期には1日の平均売上高が1,400万ドルに達した。同社の1998年2月から1999年1月までの1年間における総売上高は182億ドルに達しているが、1999年1月現在、その約25%をインターネット経由で受注しており、今後50%まで伸ばしたいとしている。さらにインターネット経由で注文した個人消費者のうち、約30%は同社の広告を見たことがないとしており、インターネットはデルコンピュータ社の広告塔としても機能していることがわかる。
 我が国におけるインターネットを利用したBTOについては、同社の日本法人やエプソンダイレクト社等をはじめとする、パソコンメーカーを中心に導入している企業が増えてきている。しかし、小売販売店の系列化等が進んでいる我が国では、現在のところ既存の販売網を使わない直接販売方式に一斉に切りかえることには難色を示している企業が多い。インターネットを利用した製品販売を、どのようにして我が国の企業風土に合わせていくか、現在模索している段階であるといえる。

B1233001.gif

 

(2) 原材料調達 に戻る 第1章第2節4(1) インターネット・サービス・プロバイダ に進む