平成11年版 通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

3 電波利用環境の整備
(1)人体電波防護対策

安全で安心な電波利用のため、電波防護のための基準を制度化

 これまで電波利用における人体の防護については、2年6月の電気通信技術審議会答申である「電波利用における人体の防護指針」を踏まえて、(社)電波産業会が策定した「電波防護標準規格」が、無線局の建設・運用に際してのガイドラインとして活用されてきた。しかしながら、昨今の携帯電話等の急速な普及に伴い、無線施設が生活圏の近辺に整備されるようになってきたことにより、これらの無線設備から発射される電波が人体に好ましくない影響を及ぼすのではないかという懸念が提起されるようになった。こうした中、10年3月、「電波防護指針の運用の在り方に関する調査研究会」において、従来の民間ガイドライン方式から強制規格へ移行することが望ましいとの提言を内容とする報告書が取りまとめられた。
 このような状況を踏まえ、郵政省は10年7月に、電気通信技術審議会に対し、「電波防護指針への適合を確認するための電波の強度の測定方法及び算出方法」について諮問し、の適合を確認するための電波の強度の測定方法及び算出方法」について諮問し、同年11月答申を得た。この答申では、電波防護のための基準への適合性をできる限り容易に、かつ、統一された方法により確認できるよう、電波の強度の測定方法及び算出方法が提示されている。
 郵政省ではこの答申を踏まえ、10年10月電波の強度に対する安全施設の規定の追加を内容とする電波法施行規則の一部改正を行い、11年10月から実施することとしている。
 また、郵政省では、電波防護の基準への適合を確認するための電波の強度の測定方法及び算出方法を告示するとともに、広く周知を図っていくこととしている。
 そのほか、郵政省では、9年10月より「生体電磁環境研究推進委員会」を開催し、電波の生体安全性評価に関する研究・検討を行ってきたが、同委員会が行ったラットを用いた短期電波ばく露実験の結果、携帯電話に対する電波防護指針の電波強度レベルにおいて、血液−脳関門に障害を及ぼすような影響は生じないことを確認した。同委員会では、今後、電波の長期ばく露が脳に及ぼす影響等について、引き続き研究を行うこととしている。

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