番号ポータビリティの概要とこれまでの検討状況



序 番号ポータビリティの概要とこれまでの検討状況

 番号ポータビリティ(事業者間ポータビリティ)とは、利用者が契約する電気
通信事業者を変更しても、これまで使用していた電話番号を引き続き使用できる
ようにすることをいう。(図1)
 現在、利用者が契約する事業者を変更する際、電話番号の変更を余儀なくされ、
番号変更の周知のために大きな負担がかかっている。番号ポータビリティは、事
業者変更の際に番号変更を不要にするものであり、利用者が事業者を選択する際
の自由度を実質的に確保することにより、利用者の利便性の向上及び事業者間の
競争の促進を図るものである。

 番号ポータビリティについては、ITU−T SG2(国際電気通信連合電
 気通信標準化部門第2研究委員会)において勧告化に向けて検討が行われてお
 り、1998年3月現在の勧告草案においては次の3種類に分類されている。
  ・ エンドユーザが加入している事業者を変更する際に同じ番号を引き続き
   使用できるようにすること(事業者間ポータビリティ)
  ・ エンドユーサが所在地を変更する際に同じ番号を引き続き使用できるよ
   うにすること(ロケーションポータビリティ)
  ・ エンドユーザが提供を受けているサービスを変更する際に同じ番号を引
   き続き使用できるようにすること(サービスポータビリティ)



 番号ポータビリティについては、平成8年12月の電気通信審議会答申「接続
の基本的ルールの在り方について」においてその導入について提言が行われてお
り、また、平成9年5月の「平成8年度電気通信の番号に関する研究会報告書」
において番号ポータビリティ実施時の番号管理について提言が行われている。
 それぞれの提言の概要は次のとおりである。


【「接続の基本的ルールの在り方について」における提言】

○ 接続条件の料金表・約款化
  不可欠設備(他事業者のサービス提供に不可欠であり、特別な接続ルールの
 適用対象となる設備)との接続に関しては、透明、公平、迅速かつ合理的な接
 続を確保する観点から、接続料金、接続の技術的条件などの接続条件に関して
 料金表・約款を作成し、認可を得ることを義務づけることが適当である。
  この場合、料金表・約款に定める条件については、合理的な接続条件及び公
 正有効競争を可能とすることを確保する観点から、以下の基準を満たすよう作
 成されるべきである。
  ・ 特定事業者の利用者が他事業者に加入を変更する場合に、当該利用者が
   同一の番号を保持すること(以下「番号ポータビリティ」という。)が確
   保されること。
    ただし、他事業者が、特定事業者に対して番号ポータビリティを提供し
   ない場合には、他事業者からの番号ポータビリティの提供の申入れを拒否
   することは認められる。

○ 番号ポータビリティの具体的な内容
 (1)番号ポータビリティを確保すべき番号は、一般加入電話番号、ISDN
   番号及び着信課金サービス用番号とすべきである。
 (2)一般加入電話番号及びISDN番号については、利用者が同一住所にお
   いて事業者を変更する場合に限るべきである。
 (3)郵政省において、関係事業者等の参加を得て、答申後2年間を目途に、
   具体的な実現方式、費用負担等について検討し、検討終了後の2年以内
   (平成12年度目途)のできるだけ早い時期に導入を行うこととする。
 (4)具体的な実現方式については、次の要件を満たすものとすべきである。
   [1]番号ポータビリティの導入に際して、既存の網サービス、機能、能
     力を従来どおり提供すること。
   [2]番号資源の効率的利用を図ること。
   [3]番号ポータビリティの導入に際して、事業者が提供するサービス品
     質及びネットワークの信頼性について、不合理な低下をきたさないこ
     と。
   [4]番号ポータビリティの提供を受けている利用者とそれ以外の利用者
     との間で、サービス品質、ネットワークの信頼性について、不合理な
     差が生じないこと。


【「平成8年度電気通信の番号に関する研究会報告書」における提言】

○ 番号ポータビリティを実施時の番号管理
 (1)一般加入電話・ISDNの番号ポータビリティ実施時の番号管理方法に
   ついては、番号ポータビリティによらない番号の管理も含めて番号割当て
   等の効率的実施及びルーチング処理の軽減を可能とすることが重要である
   ことから、各地域系事業者毎に市内局番を割り当てる方式とすることが望
   ましい。
    市内局番の割当てを受けた事業者は、番号ポータビリティにより他事業
   者に移転した利用者の番号について、移転先情報を管理すること、移転先
   において使用されなくなった場合には再利用すること等が適当である。
 (2)着信課金サービス用0120番号について、番号ポータビリティ実施時
   の番号管理方法は、0120に続く3桁のDEF番号を各事業者毎に割り
   当てる方式とすること等が望ましい。

 本研究会においては、これらの提言を踏まえて、番号ポータビリティの実現方
式の検討を行った。

 なお、検討に当たっては、番号ポータビリティが、事業者間の競争を促進し、
利用者の利便性を向上するための重要な要素であるとの認識に立ち、できる限り
早い時期に導入しようとした場合にネットワークの改修規模が非現実的なものと
ならないことに配慮した。


 4桁の数字0120から始まる番号をいう。以下、同じ。
 着信課金サービス用0120番号を0120−DEF−GHJ(英字は0〜
 9の数字)と標記する場合のDEFの番号をいう。以下、同じ。


戻る