発表日  : 1998年12月24日(木)

タイトル : 準ミリ波帯・ミリ波帯周波数を利用した新たな加入者系無線アクセスシステムの導入に関する基本的方針等の公表−地域電気通信市場の競争促進に向けた新たな無線システムの導入に向けて−





(概要)                                
 地域電気通信市場の競争を促進するとともに、大容量の情報通信を無線により
可能とするシステムとして注目されている、準ミリ波帯・ミリ波帯の周波数を利
用した新たな加入者系無線アクセスシステムについては、本年12月25日に導
入を可能とすることとしており、今般、本システムの導入に関する基本的方針等
を公表するもの。                            

 準ミリ波帯・ミリ波帯(22 GHz帯、26 GHz帯及び38GHz帯)の周波数を利用した新
たな加入者系無線アクセスシステムは、地域電気通信市場の競争を促進するととも
に、今後大きな需要が見込まれるマルチメディア通信等大容量の情報通信を無線に
より可能とするシステムとして注目されているところであり、郵政省では、本年1
2月25日に関係省令を公布・施行し、本システムの導入を可能とすることとして
おります。
 また、本システムの円滑な導入を図るため、本年9月18日付けで本システム導
入に関する基本的考え方を公表して意見を受け付けたところであり、これらの意見
を踏まえ、別紙1「準ミリ波帯・ミリ波帯周波数を利用した新たな加入者系無線ア
クセスシステムの導入に関する基本的方針」及び別紙2「準ミリ波帯・ミリ波帯周
波数を利用した新たな加入者無線アクセスシステムのための無線局免許に関する方
針」を定めることとしました。
 なお、提出された意見に対する郵政省の考え方は、別紙3のとおりです。
 おって、本件については、郵政省1階の掲示板に掲示するとともに、インターネ
ット上の郵政省のホームページ(http://www.mpt.go.jp) にも掲載いたします。


                連絡先:電気通信局
                    電気通信事業部 事業政策課
                    (担当:古市課長補佐、作道係長)
                       電 話:03−3504−4823
                    電波部 基幹通信課
                    (担当:田中無線局検査官、今田係長)
                      電 話:03−3504−4866

                                別 紙 1

準ミリ波帯・ミリ波帯周波数を利用した新たな加入者系無線アクセスシステムの導
入に関する基本的方針

1 対象となるシステム

  準ミリ波帯・ミリ波帯の周波数を利用した新たな加入者系無線アクセスシステ
 ムに係る無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)等の規定の整
 備に関する電波監理審議会答申(平成10年11月20日付け)に基づく、対向
 方式(以下「P−P*方式」という。)及び一対多方向方式(以下「P−MP**
 方式」という。)による電気通信業務用のシステムとする。

2 システム導入の目的

  本システムの導入により、地域電気通信市場の競争を促進するとともに、今後
 大きな需要が見込まれるマルチメディア通信等大容量の情報通信を無線により可
 能とする。

3 導入時期

  無線設備規則の一部を改正する省令による改正後の無線設備規則(以下「改正
 無線設備規則」という。)等が施行される日(平成10年12月25日予定)か
 ら、本システムに関する電気通信事業許可等の申請及び無線局免許申請を受け付
 ける。

4 周波数割当て

 (1) 本システムに割り当てる周波数
   次の周波数帯から割り当てることとする。
22 GHz帯
22.0-22.4 GHz 、 22.6-23.0 GHz 
計 800 MHz
26 GHz帯
25.25-27.0 GHz         
計1750 MHz
38 GHz帯
38.05-38.5 GHz 、 39.05-39.5GHz
計 900 MHz

 ただし、移行が必要な無線局等が存在するため、上記周波数帯のすべてを使用す
ることはできない。


 (2) 周波数帯のブロック化
   本システムに必要とされる技術的条件等にかんがみ、(1)の割当て可能な周波
  数帯を、送信側と受信側でそれぞれ帯域幅60 MHz(合計120MHz)の周波数ブロッ
  クに分割する。
   割当て可能な周波数ブロック数は、既存無線局の移行に要する期間等により、
  次のとおりとなる。

     
 当初 
平成11年4月以降
平成13年4月以降
22 GHz 帯
  3  
   4    
   4    
26 GHz 帯
  7  
   7    
  13    
38 GHz 帯
  7  
   7    
   7    

 (3) P−P方式への割当て
  1) P−P方式については、22 GHz帯、26 GHz帯及び38 GHz 帯から割り当てる。
  2) 無線局を一定基準以上設置する計画を有する者に対して、1周波数ブロッ
   クを1単位として、地域ブロック(注)ごとに割り当てる。
   (注) 地域ブロックは、北海道、東北、関東、信越、東海、北陸、近畿、中国、
    四国、九州、沖縄を基本とする。(4)2)において同じ。
  3) 無線局を相当数設置し、割り当てられた周波数ブロック内においてそれ以
   上割当て可能な周波数を確保することが困難となり、かつ引き続き無線局を
   一定基準以上設置する計画を有する者については、他の1周波数ブロックの
   追加割当てを行う。

 (4) P−MP方式への割当て
  1) P−MP方式については、26 GHz帯及び38 GHz帯から割り当てる。
  2) 無線局を一定基準以上設置する計画を有する者に対して、原則として、1
   周波数ブロックを1単位として、地域ブロックごとに割り当てる。
  3) 2)の者のうち、無線局を相当程度以上の密度で設置する計画を有する者に
   対しては、可能な限り隣接する周波数ブロックから、3以下の周波数ブロッ
   クを割り当てる。

 (5) 周波数ブロックの共用
  1) 周波数の有効利用を図るため、上記(3)2)及び3)又は(4)2)の計画を有しな
   い者については、他の同様な者と共用する周波数ブロックを割り当てる。
  2) 未割当て周波数ブロックがなくなり、かつ、他の者に対して既に割当てた
   周波数ブロックとの共用が可能な場合は、当該周波数ブロックを割り当てる。

 (6) 割当て周波数帯の拡大
   本システムに対する周波数需要が、現在割り当てる予定の周波数を上回るも
  のであると認められる場合には、他の周波数帯における、本システムの導入の
  可能性を検討する。


5 事業主体

 (1) 事業主体は、地域電気通信市場への参入機会を広く提供する観点から、既存
   の電気通信事業者、新規に電気通信事業を行おうとする者のいずれも可能と
   する。

 (2) 本システムのための周波数は、地域電気通信市場の競争を促進する観点から、
   平成13年3月末までの間、地域電気通信網について支配的な地位を有する
  第一種電気通信事業者以外の者に対して割り当てる。
   それまでの間、地域電気通信網について支配的な地位を有する第一種電気通
  信事業者については、既存の加入者系無線アクセスシステムを収容するために
  割り当てられた周波数帯において、既存のシステムと共用が可能な範囲で、本
  システムのための周波数利用を認める。
   なお、平成13年4月以降の取扱いについては、本システムの導入状況等を
  踏まえた上で、見直しを行う。
   ただし、上記方針については、今後の周波数の利用状況等によっては、見直
  しがあり得るものとする。

 * P−P:対向を示す point-to-point を省略したもの。
 ** P−MP:一対多方向を示す point-to-multipoint を省略したもの。


                                別 紙 2

準ミリ波帯・ミリ波帯周波数を利用した新たな加入者系無線アクセスシステムのた
めの無線局免許に関する方針

1 免許申請受付開始日

  本システムのための無線局の免許申請の受付開始日は、改正無線設備規則等を
 公布・施行する日(平成10年12月25日)とする。
  なお、平成13年4月以降に新たに割当て可能となる周波数ブロックの申請受
 付については、別途公表する。

2 周波数の割当方法に関する方針

 (1) 22GHz帯、26GHz帯及び38GHz帯の各周波数帯の周波数ブロ
  ックは、別表のとおり構成するものとし、原則として、高群及び低群周波数ブ
  ロックを1単位として割り当てる。
   なお、周波数分割複信方式のP−MP方式においては、基地局は高群周波
  数を、また、陸上移動局は低群周波数をそれぞれ割り当て、時分割複信方式の
  P−MP方式においては、申請者の希望等を考慮して、高群若しくは低群のい
  ずれか又は双方の周波数を割り当てるものとする
  (注)別表に周波数のブロック表を添付する。

 (2) 周波数の指定に際しては、指定周波数帯(周波数帯の中央の周波数が
  割当て周波数と一致し、かつ、その周波数帯幅が占有周波数帯幅の許容値と周
  波数の許容偏差の絶対値の2倍との和に等しい周波数帯)が、周波数ブロック
  の境界を越えないように指定する。ただし、同一の免許人が隣接する周波数ブ
  ロックも使用している場合は、合わせた周波数ブロックの境界を越えないよう
  に指定する。
   なお、周波数ブロック相互間には、ガードバンドを設けない。

 (3) 申請者は、周波数の割当てに関する審査に必要な資料として、次の事
  項を記載した書面を地方電気通信監理局長等に提出するものとする。
  1) 免許の有効期間中において、毎年置局する市区町村毎の無線局数(可能な
   場合はおおよその置局場所)
  2) 利用者に提供する予定の伝送速度
  3) 利用者の需要見込み
  (注)置局場所とは、基地局にあっては設置場所、陸上移動局にあっては、加
    入者のビル等、運用する具体的な場所を指す。

 (4) P−P方式に対する周波数割当てについて、準ミリ波帯・ミリ波帯周
  波数を利用した新たな加入者系無線アクセスシステムの導入に関する基本的方
  針(以下「基本的方針」という。)第4項(3)2)及び3)でいう「一定基準以上」
  とは、原則として、連続する100平方キロメートル程度の地域において、免
  許の有効期間中に開設される予定の無線局数が156Mbps換算で50局以
  上(変調方式が4値の多値変調方式の無線設備の無線局にあっては、伝送容量
  の換算において一律2を乗ずる。)であり、最初の申請により同時に開設され
  ることとなる無線局数が10局以上であることとする。

 (5) P−P方式に対する周波数割当てにおける基本的方針第4項(3)3)でい
  う「相当数」とは、周波数の利用状況等を総合的に勘案して判断する(単に新
  たな回線設定が困難となることではなく、技術の活用や回線のうかい等により
  最大限の局数が設置されていることが必要。)。

 (6) P−MP方式に対する周波数割当てにおける基本的方針第4項(4)2)で
  いう「一定基準以上」とは、原則として、サービスエリアにおける加入者系無
  線アクセスシステムの利用見込みに対し適切な回線設計となっており、連続す
  る100平方キロメートル程度の地域において、免許の有効期間中に開設され
  る予定の基地局数が60MHzの周波数帯を最大限利用する基地局に換算して
  5局以上、陸上移動局数が1.5Mbps換算で200局以上であり、最初の
  申請により同時に開設されることとなる無線局数が、基地局については60M
  Hzの周波数帯を最大限利用する基地局に換算して2局以上、陸上移動局につ
  いては10局以上であることとする。
   なお、一定基準以上の計画を有さない場合は、原則として、周波数有効利
  用の観点からP−P方式によるネットワーク構成を採ることとする。

 (7) P−MP方式に対する周波数割当てにおける基本的方針第4項(4)3)で
  いう「相当程度以上の密度」とは、原則として、次の条件を満たすこととする
  (1又は2の周波数ブロックを割り当てられた後、追加の周波数ブロックの割
  当てを申請する場合にも適用する。)。
  1) 100平方キロメートル程度以上の地域において、サービスエリアが連続
   するように基地局を開設する計画であること。
  2) 申請された無線局について、基地局用周波数を有効に利用する計画を有し
   ており、無線局数が各周波数ブロックごとに、(6)の条件を満たしていること。

(8) (4)〜(7)の基準については、状況により柔軟に対応する場合があり、また、
  周波数の利用状況等によって見直しがあり得るものとする。

(9) 基本的方針第4項(5)2)でいう周波数ブロックとの共用において、複数の周
  波数ブロックが共用の候補となる場合は、当該周波数ブロックの状況(免許人
  の数、無線局数、無線局の置局場所、置局密度、置局計画の実施状況、周波数
  有効利用の度合い等)、申請者の希望(周波数帯、置局計画等)等を勘案して
  共用する周波数ブロックを決定する。

3 混信等の防止に関する方針

 (1) すべての陸上移動局について、「この周波数の使用は、既に運用して
  いる無線局の運用に妨害を与えない場合に限る」旨の条件を付して免許する。
  これは、周波数ブロックを複数の免許人で共用する場合及び隣接周波数ブロッ
  クに異なる免許人が存在する場合であって、新たに無線局を置局しようとする
  場所からの見通し内に既に異なる免許人の無線局が置局されている場合には、
  当該免許人間で混信等の問題が無いことを確認した上で置局し、運用すること
  が義務付けられていることを指す。無線局には、地域ブロックの境界線を越え
  た地点の無線局であっても見通し内であれば含むものとする。

 (2) 免許人又は申請者は、隣接する周波数ブロックへの漏えい電力につい
  て、必要な配慮を行うこと。P−MP方式とP−P方式がそれぞれ隣接する周
  波数ブロックの割当てとなる場合は、相互に干渉が問題とならないための条件
  を付すことがある。

 (3) 周波数の有効利用を図り、混信を防止することによって無線局の適正
  な運用を確保するため、免許人は、P−P方式の無線局の運用状況に関する報
  告(免許番号、運用場所及び混信の有無等)を求められることがある。

 (4) 免許人又は申請者が他の免許人との間で混信防止のための検討を行う
  ときは、双方が誠意をもって対応することが要請される。また、混信検討にお
  いては、双方の無線局からの干渉に対する雑音配分を適切なものとして行うこ
  ととする。

 (5) 26GHz帯の周波数の使用は、衛星間通信業務等に対する混信防止、静止
  衛星に対する混信防止を考慮することとする。また、22.01GHzから2
  2.255GHzまでの周波数を割り当てた陸上移動局の移動範囲については、
  電波法(昭和25年法律第131号)第56条の規定により指定を受けた電波
  天文業務用の受信設備に混信を与える地域を除くこととする。

4 その他の方針

 (1) 技術基準適合証明を受けた無線設備のみを使用する無線局以外の免許
  申請においては、工事落成期限は、予備免許の日から6月以内とする。

 (2) 免許申請において、希望する周波数がある場合は、無線局事項書の電
  波の型式並びに希望する周波数の範囲及び空中線電力の欄に明示することとす
  る。
   なお、希望周波数を明示する具体的方法としては、特定の周波数ポイント
  を明示する方法、周波数帯を明示する方法等がある。

 (3) 免許申請の内容は、電波法関係審査基準(平成6年9月達第3号)の
  関係規定に適合することとする。

                                  別 表

               周波数ブロック表

(1) 平成11年1月以降、割当可能な周波数ブロック

(注)平成11年4月以降、割当可能。


(2) 平成13年4月以降、割当可能な周波数ブロック



                                別 紙 3

準ミリ波帯・ミリ波帯周波数を利用した新たな加入者系無線アクセスシステムの導
入に関する基本的考え方に対する意見及びそれに対する郵政省の考え方

 郵政省は、本年9月18日(金)に「準ミリ波帯・ミリ波帯周波数を利用した新
たな加入者系無線アクセスシステムの導入に関する基本的考え方」を公表し、この
案に対して広く関係者の意見を求めたところ、電気通信事業者等13者から9件の
意見が提出された。提出された意見に対する郵政省の考え方は以下のとおりである。

1 導入時期
 (1)政策の迅速な導入
  【意見の概要】
    政策の迅速な導入と早期のサービス開始を要望するという意見があった。
  【考え方】
    公表したスケジュール通りに本年中に本システム導入のための制度整備を
   行い、本システムに係る関係省令が施行される日より、法令に従って本シス
   テムに関する事業許可申請及び無線局免許申請を受け付ける。

 (2)手続の明確化
  【意見の概要】
    周波数割当ての条件や手続の明確化を要望するという意見があった。
  【考え方】
    周波数割当ての条件や手続については法令に基づくものに加え、基本的方
   針及び今回の無線局免許に関する方針において、その具体的内容を明かに定
   めており、明確化されたものと考えている。

2 周波数割当て
 (1)本システムに対する周波数割当
  ア アクセス回線の用途について
  【意見の概要】
    無線アクセスシステムを加入者を直接収容する用途に限定するのではなく、
   制限なく使用できることを要望するという意見があった。
  【考え方】
    本システムは、加入者に対して、無線によるアクセスを提供するため使用
   するものである。この目的のために割り当てられた周波数を他の用途にも利
   用し得ることとすると、本来の用途への利用が制限されることとなり適当で
   はない。このため、本システムについては、改正無線設備規則において「端
   末設備又は自営電気通信設備と接続する陸上移動局と当該陸上移動局と通信
   を行うために開設された基地局又は陸上移動局との相互間で行われる無線通
   信及び当該無線通信を中継するために開設された陸上移動局と他の陸上移動
   局との相互間で行われる無線通信のためのもの」と規定することとしており、
   加入者を直接収容するための無線局と接続して用いられる場合に限り、中継
   を行うことは可能であるが、単なる中継回線のために用いることはできない。

  イ 既存局の扱いについて
  【意見の概要】
    22GHz帯の既存の加入者系無線アクセスシステム(改正前の無線設備
   規則に基づくもの)(P−P方式)について、周波数移行については協力す
   るが、その存続を希望する意見があった。
  【考え方】
    本システムの導入により、22GHz帯の既存の加入者系無線アクセスシ
   ステムを直ちに廃止する予定はない。(平成14年3月31日までの間は、
   従前どおり使用できるよう措置する予定。26GHz対についても同じ。)
   なお、本システムの円滑な導入を図るため、既存のシステムの周波数移行を
   求めることとしている。

 (2)個別の電気通信事業者に対する周波数割当て
  ア 割当て周波数帯幅について
  【意見の概要】
    1の電気通信事業者に60MHzの周波数ブロックでは不十分であり、最
   低120MHzの周波数ブロックが必要という意見、及び1周波数ブロック
   を割り当てられた後の追加割当ての周波数ブロックを確保を要望する意見が
   あった。
    なお、P−MP方式について26GHz、38GHzのみならず22GH
   z帯においてなぜ使用できないのかという意見が複数あった。
  【考え方】
    基本的方針に示したとおり、P−P方式については、無線局を相当数設置
   し、割り当てられた周波数ブロック内(1周波数ブロック60MHz:送受
   120MHz)においてそれ以上割当て可能な周波数を確保することが困難
   となり、かつ、引き続き無線局を一定基準以上設置する計画を有する者に対
   しては、追加の周波数ブロックを割り当てることとしている。また、P−M
   P方式については、最大3ブロックを割り当てることとしている。
    なお、22GHz帯については、本システムに割当て可能な周波数ブロッ
   ク数が少ないため、P−P方式のために用いることが適当である。

  イ 隣接していない周波数ブロックのP−MP方式への割当てについて
  【意見の概要】
    隣接していない周波数ブロックであってもP−MP方式に割り当てること
   は可能かという質問があった。
  【考え方】
    今回の基本的方針に示したとおりP−MP方式の無線局を相当程度以上の
   密度で設置する計画を有する者については、原則として、周波数の有効利用
   を図るため可能な限り隣接している周波数ブロックから割り当てる。ただし、
   隣接する3つのブロックがなくとも、同じ周波数帯から最大3の周波数ブロ
   ックを割り当てることがある。

  ウ 全国展開を行う者の取扱いについて
  【意見の概要】
    全国展開を行う電気通信事業者については、可能な限り全国同一の周波数
   を割り当て、運用を考慮して移動範囲を全国とすることを要望する意見があ
   った。
  【考え方】
    基本的方針に示したとおり、周波数割当ては、周波数の有効利用の観点か
   ら、地域ブロック単位に行う。ただし、一の事業者が複数の地域ブロックで
   同じ周波数ブロックの割当てを希望する場合は、割当てが可能であり、かつ、
   必要と認められる場合は、同一周波数ブロックの割当てを行う。
    また、異なる地域ブロックにおいて、共通の周波数ブロックが割り当てら
   れた場合には、移動範囲を当該地域ブロックとすることから、全国において
   共通の周波数ブロックが割り当てられた場合には、移動範囲を全国とするこ
   とができる。

  エ 追加ブロックを割り当てられるまでの暫定処置について
  【意見の概要】
    P−P方式について、回線構成上の問題により割り当てられた周波数ブロ
   ックが使用できない場合について、追加ブロックを割り当てられるまでの間
   暫定的に共用周波数ブロックの周波数を使用可能(追加ブロックを割当てた
   場合は追加ブロックへ移行)とする旨の要望があった。
  【考え方】
    電気通信事業者の、回線構成上やむを得ない場合には、一時的に他の電気
   通信事業者と周波数ブロックを共用することは可能である。
    また、その後、基本的方針第4項(3)3)の条件を満足するに至った場合には、
   未使用の周波数ブロックがあれは、それを割り当てることが可能である。

  オ 第二種電気通信事業者の扱いについて
  【意見の概要】
    電波の割当てにおいて、第二種電気通信事業者への配慮をしてほしいとの
   意見があった。
  【考え方】
    本年5月の電気通信事業法(昭和59年法律第86号)の改正により、第
   二種電気通信事業者についても同法第6条第4項の条件を満たす範囲で電気
   通信回線を設置することが可能となった。基本的方針及び今回の無線局免許
   に関する方針は、この法改正の趣旨を踏まえて、第二種電気通信事業者に対
   しても、加入者系無線アクセスシステムの設置を可能とするものである。

3 共用周波数ブロック
 【意見の概要】
   共用周波数ブロックにおいては、共通の基地局インフラの選択が可能である
  こと、使用量に応じてコスト分担が行われることを要望する意見があった。
 【考え方】
   共通の基地局の使用は制度的に可能であり、共通の基地局の使用及びそのコ
  スト分担については、共用を行う電気通信事業者間の判断によるものである。

4 事業主体
 【意見の概要】
   先般公表した基本的考え方の「5 事業主体」の項を見直し、今後の需要動向
  によっては、平成13年3月末以前においても、本システムのための周波数を
  地域電気通信網について支配的な地位を有する第一種電気通信事業者に対して
  も割り当てることを要望する意見があった。
 【考え方】
   平成13年3月末までの間、地域電気通信網において支配的な地位を有する
  第一種電気通信事業者については、既存の加入者系無線アクセスシステムを収
  容するために割り当てられた周波数帯において、既存のシステムと共用が可能
  な範囲で、本システムのための周波数利用を認めることとしている。
   なお、今後の周波数の利用状況等によっては、周波数に余裕が生じることも
  想定し得ることから、上記の考え方については、見直しがあり得る旨基本的方
  針において修正を行った。

5 技術的基準
 以下には、電波監理審議会への諮問を経て制定される改正無線設備規則で規定す
る事項が含まれている。


(1)P−MP方式の最大伝送速度
【意見の概要】
  P−MP方式のシステム最大伝送速度について制限があるのかという質問があ
 った。
【考え方】
  先般公表した基本的考え方においては、最大伝送速度の記述が行われているが、
 これはあくまでも目安として記載したものである。改正無線設備規則においては、
 P−MP方式のみならずP−P方式についても速度の制限を規定しないこととし
 ており、指定周波数帯が周波数ブロックの幅である60MHzを超えず、かつ、
 他局に重大な干渉等の影響を及ぼさない限り、最大伝送速度についての制限はな
 い。

(2)帯域外伝送
【意見の概要】
 1) 帯域外伝送について、メーカーや電気通信事業者が今後の技術革新を通して
  周波数効率を向上できるような形で規定すべきという意見があった。
 2) 隣接周波数ブロックに対するガードバンドは設定しないことを望むという意
  見があった。
【考え方】
 1) 電波の有効利用の観点から、帯域外伝送(隣接周波数ブロックへの漏えい電
  力等)が周波数効率を向上できるような形で規定されることは重要である。現
  在(社)電波産業会で制定作業中の隣接周波数ブロックへの漏えい電力の任意
  規格は、このような方針で取りまとめられる予定である。
 2) 今回の無線局免許に関する方針に示すように、隣接周波数ブロックに対する
  ガードバンドは特段設定しない。

(3)改正無線局設備規則に係る事項
【意見の概要】
 1) PーMP方式についてFDMA*方式を使用する許可に関する意見が複数あっ
  た。
 2) アンテナ方式に関して、できるだけ先端的な技術を採用したいとする意見が
  あった。
 3) 送信出力の上限値や、降雨減衰等に応じて送信出力を変更することの有効性
  に関する意見が複数あった。
 4) 技術基準における多値変調方式の選択の自由度に関する意見があった。
【考え方】
 1) P−MP方式におけるFDMA方式の使用については、改正無線設備規則に
  おいて使用を可能とする旨規定することとしている。
 2) アンテナ方式については、改正無線設備規則においてP−P方式については
  アンテナの偏波面及びアンテナパターン、P−MP方式についてはアンテナの
  偏波面、P−MP方式の陸上移動局については絶対利得が20dB以上の利得
  を有する指向性アンテナであることを規定することとしており、この規定に合
  致する範囲で選択が可能である。
 3) 送信出力については、改正無線設備規則において空中線電力は0.5W以下
  と規定することとしており、この規定に合致する範囲での設計が可能である。
  今後、電力増幅制御を用いることを含め送信出力の制限について技術的検討を
  進めることがありうる。
 4) 変調方式については、技術の進歩に応じて、16値を超える値をもつ変調方
  式については告示で定めることとしたもので、可能な変調方式はすべて告示す
  ることとしている。なお、当面の措置として32値及び64値については、改
  正無線設備規則の公布施行日に告示することとしている。

  * FDMA:周波数分割多元接続を示すFrequency Division Multiple 
         Accessを省略したもの。


(参 考)


     準ミリ波帯・ミリ波帯周波数を利用した新たな加入者系無線
  アクセスシステムの導入に関する基本的考え方に対する意見受付について

1 意見受付期間
  平成10年(1998年)9月18日(金)〜10月30日(金)
 (6週間)

2 意見提出者 計 9件13者(五十音順)
 (1) Winstar International社、住友商事株式会社
 (2) 大阪メディアポート株式会社、北海道総合通信網株式会社、株式会社四国情
   報通信ネットワーク
 (3) 社団法人テレコムサービス協会
 (4) トライトンネットワークシステム社
 (5) 日本テレコム株式会社
 (6) 日本電信電話株式会社
 (7) ニューブリッジネットワークスコーポレーション、日本ニューブリッジネッ
   トワークス株式会社
 (8) ノーザンテレコムジャパン株式会社
 (9) 日本BT株式会社


                                 参考資料

準ミリ波帯・ミリ波帯周波数を利用した新たな加入者系無線アクセスシステムの概
要

1 準ミリ波帯・ミリ波帯周波数を利用した新たな加入者系無線アクセスシステム
 とは
  準ミリ波帯・ミリ波帯周波数を利用した新たな加入者系無線アクセスシステム
 に係る無線局設備規則等の規則の整備に関する電波監理審議会答申(平成10年
 11月30日)に基づくシステム。
  本システムの導入により、地域電気通信市場の競争を促進するとともに、今後
 大きな需要が見込まれるマルチメディア通信など広帯域の情報通信を無線により
 可能とする。

  本システムの概要は以下のとおり。

 (1) 使用周波数帯:準ミリ波帯・ミリ波帯(22GHz帯、26GHz帯、38GHz帯)
 (2) 対向方式(P-P方式)
   伝送速度 最大156Mbps(参考値)
   伝送距離 最大4km程度(参考値)
 (3) 一対多方向方式(P-MP方式)
   伝送速度 最大10Mbps程度(参考値)
   伝送距離 半径1km程度(参考値)

2 実用化のイメージ