資料編



                 目  次

資料1 少年による非行等問題行動の現状

資料2 青少年問題に関する審議会答申等(放送関連部分)

資料3 児童の権利に関する条約(放送関連部分)

資料4 放送法の規律の概要

資料5 日本放送協会国内番組基準(抜粋)

資料6 日本民間放送連盟放送基準(抜粋)

資料7 他の業界における青少年関連施策

資料8 青少年アンケート調査結果概要

資料9 青少年ヒアリング調査結果概要

資料10 保護者ヒアリング調査結果概要

資料11 インターネットアンケート調査結果概要

資料12 有識者ヒアリング調査結果

資料13 海外調査報告書概要

資料14 英国の報告書「暴力と視聴者」(概要)


戻る




資料1 少年による非行等問題行動の現状

主要刑法犯少年補導人員の人口比の推移(昭和24年〜平成9年)


年   
昭和24年
昭和25年
昭和26年
昭和27年
昭和28年
昭和29年
昭和30年
人口比 
  10.4
  11.6
  12.1
  10.2
   8.8
   8.2
   8.3

昭和31年
昭和32年
昭和32年
昭和33年
昭和34年
昭和35年
昭和36年
昭和37年
   8.3
   9.2
   9.2
   9.6
  10.5
  11.2
  11.6
  11,5

昭和38年
昭和39年
昭和40年
昭和41年
昭和42年
昭和43年
昭和44年
昭和45年
  11.5
  12.0
  11.2
  10.5
   9.6
   9.2
   8.9
  10.0

昭和46年
昭和47年
昭和48年
昭和49年
昭和50年
昭和51年
昭和52年
昭和53年
  10.0
   9.8
  10.8
  11.6
  11.8
  11.7
  11.9
  13.6

昭和54年
昭和55年
昭和56年
昭和57年
昭和58年
昭和59年
昭和60年
昭和61年
  13.9
  16.4
  17.8
  18.1
  18.2
  17.4
  17.2
  15.6

昭和62年
昭和63年
平成1年 
平成2年 
平成3年 
平成4年 
平成5年 
平成6年 
  15.5
  15.8
  13.5
  12.7
  12.5
  11.5
  11.9
  12.2

平成7年 
平成8年 
平成9年 
  12.2
  13.4
  15.7

注1) 主要刑法犯とは、刑法犯のうち凶悪犯(殺人、強盗、放火、強姦)、粗暴
   犯(暴行、傷害、脅迫、恐喝)、窃盗、知能犯(詐欺、横領)及び風俗犯
   (賭博、わいせつ)をいい、全刑法犯から、業務上過失致死傷(交通関係な
   ど)、偽造、汚職、背任、凶器準備集合などを除いたもの。
注2) 昭和40年以前は、交通関係の業務上過失致死傷を除く刑法犯の統計がな
   く、しかも業務上過失致死傷等の罪は「その他」などとして分類されていた
   ため、一貫した罪種による主要刑法犯の統計を用いた。



刑法犯少年の補導人員の推移(昭和41年以降)



年    
昭和41年
昭和42年
昭和43年
昭和44年
昭和45年
刑法犯少年
  148,249
  129,523
  117,125
  107,312
  113,295
人口比  
   11.1
   10.1
    9.7
    9.5
   10.5

昭和46年
昭和47年
昭和48年
昭和49年
昭和50年
昭和51年
  107,107
  100,851
  108,211
  115,453
  116,782
  115,628
   10.5
   10.2
   11.2
   12.1
   12.3
   12.2

昭和52年
昭和53年
昭和54年
昭和55年
昭和56年
昭和57年
  119,199
  136,801
  143,158
  166,073
  184,902
  191,930
   12.4
   14.1
   14.5
   17.1
   18.6
   18.8

昭和58年
昭和59年
昭和60年
昭和61年
昭和62年
昭和63年
  196,783
  192,665
  194,117
  185,373
  187,192
  193,206
   18.8
   17.9
   17.8
   16.1
   15.9
   16.2

平成1年 
 平成2年
 平成3年
 平成4年
 平成5年
 平成6年
  165,053
  154,168
  149,663
  133,882
  133,132
  131,268
   13.8
   13.0
   12.8
   11.8
   12.2
   12.5

 平成7年
 平成8年
 平成9年
  126,249
  133,581
  152,825
   12.5
   13.7
   16.1

(人口比:14〜19歳人口1,000人当たりの補導人員)

             【警察庁資料『子どもを非行から守るために』より】




資料2 青少年問題に関する審議会答申等(放送関連部分)

 
審議会等 
概    要   
答  申  等  概  要       
内
閣
 
 
 
 
次代を担う
青少年につ
いて考える
有識者会議
     
     
 次代を担う青少年
が育っていくよう、
青少年の取り巻く環
境の問題等について
幅広い観点から検討
         
・各放送事業者で共同した番組審査・評価や
 放送時間帯の配慮の在り方について検討 
・Vチップの導入等は、デジタル化等の今後
 の技術革新の動向を念頭に置いて検討  
                    
【10.4.21 中間取りまとめ】       
総
務
庁
 
 
 
 
 
 
 
青少年問題
審議会  
     
     
     
     
     
     
     
     
 青少年の問題行動
等について実態と問
題点の把握に努める
とともに、問題解決
のための重点目標に
ついて審議    
         
         
         
         
・送り手側の自制の取組が外部からも見える
 ようにすべき             
・送り手側が世論からの評価をいかすよう促
 す                  
・送り手側と受け手側の間の意見交換を容易
 にする                
・テレビ番組について、親の責任で子供の情
 報接触を制御できるような仕組みを検討 
                    
【10.6.23 中間取りまとめ】       
青少年対策
推進会議 
     
     
     
     
     
     
     
     
 青少年の健全育成
及び非行等問題行動
の防止に関する青少
年対策を総合的かつ
効果的に推進   
         
         
         
         
         
・自主規制の成果がより国民の目に明らかな
 ものとなるよう充実          
・青少年保護に配慮した諸外国での取組事例
 等に照らした検討           
・青少年に与える影響に関する調査研究の推
 進                  
・関係業界に対し青少年の健全育成のための
 取組について協力要請         
                    
【10.3.27 中間報告】          
文
部
省
 
 
 
 
 
 
 
 
 
中央教育審
議会   
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
 「幼児期からの心
の教育に関する小委
員会」の中で、子ど
もの心に影響を与え
る有害情報の問題等
について、Vチップ
の在り方も含めて検
討        
         
         
         
         
・放送を送り出す側の自主規制などの良識あ
 る取組                
・事前表示やVチップの導入について、放送
 業界や関係省庁における前向きかつ速やか
 な検討                
・各学校においては、優れたソフトを「道徳
 の時間」等で積極的に活用       
・優れたソフトを一層整備充実し、各学校に
 積極的に貸与する取組の充実      
                    
【10.3.31 中間取りまとめ、       
           10.6.30 答 申】 
厚
生
省
 
 
 
中央児童 
福祉審議会
     
     
     
     
 中央児童福祉審議
会が児童家庭福祉分
野における児童の健
全育成に関し、早急
に講ずべき対策を中
心に意見を集約  
・関係業界において、自主規制を徹底する等
 児童の健全育成への努力        
・母親や青少年によるモニター制度の導入等
 の民間レベルの点検についての検討   
                    
【10.7.3 意見取りまとめ】       




資料3 児童の権利に関する条約(放送関連部分)

1 児童の権利に関する条約(抜粋)
 第17条                               
  締約国は、大衆媒体(マス・メディア)の果たす重要な機能を認め、児童が
 国の内外の多様な情報源からの情報及び資料、特に児童の社会面、精神面及び
 道徳面の福祉並びに心身の健康の促進を目的とした情報及び資料を利用するこ
 とができることを確保する。このため、締約国は、(略)         
 (e) 第13条及び次条の規定に留意して、児童の福祉に有害な情報及び資料 
   から児童を保護するための適当な指針を発展させることを奨励する。  
                                    
   第13条  1 児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利
          には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選
          択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる
          種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
         (略)                        
   第18条  (略)                        
         2 締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進する
          ため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を
          遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与える
          ものとし、また、児童の養護のための施設、設備及び役務
          の提供の発展を確保する。              


2 児童の権利に関する委員会
(1) 概 要
 1) 児童の権利に関する条約の実施状況の進捗状況を審査することを目的に条約
  第43条に基づいて設置された組織。
 2) 条約締結国による選挙で選出された10名の専門家で構成(任期は4年。2
  年ごとに5名改選。)。
 3) 主要任務は、締約国から提出された報告書の審査及び審査結果に基づく「最
  終見解(提案・勧告を含む)」の採択(条約第45条)。
(2) 締約国の報告
 1) 条約締結国は条約の実施状況について、条約第44条に基づき、報告するこ
  とを義務付け。
 2) 初回の報告は、条約締結後2年以内に、その後は5年ごとに国連事務総長を
  通じて委員会に報告しなければならない。
  (注)日本:1994年条約発効。
       1996年第1回報告、以降5年ごとに報告(次回報告は2001年に
       予定)


3 児童の権利に関する委員会からの日本に対する最終見解
  (1998年6月:提案及び勧告部分抜粋)
  委員会は、締約国(日本)に対し、印刷・電子・視聴覚メディアの有害な影
 響、特に暴力及びポルノグラフィーから児童を保護するため、法的なものを含
 め全ての必要な措置をとるよう勧告する。                

  (注) 今回の勧告に対しては次回報告で報告(2001年)予定。また、今回の
     提案、勧告22事項中、放送関係は1事項のみ。




資料4 放送法の規律の概要

第1条 目的                              
 放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ること   
・ 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障するこ 
 と。                                 
・ 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の
 自由を確保すること。                         
・ 放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義
 の発達に資するようにすること。                    
第3条 放送番組編集の自由  
 放送番組は、法律に定める権限
に基づく場合でなければ、何人か
らも干渉され、又は規律されるこ
とがない。          
第3条の2 放送番組準則    
・ 公安及び善良な風俗を害しな 
 いこと            
・ 政治的に公平であること   
・ 報道は事実をまげないでする 
 こと             
・ 意見が対立している問題につ 
 いては、できるだけ多くの角度 
 から論点を明らかにすること  
    第3条の3 放送事業者による番組基準の策定      
    第3条の4 放送事業者による放送番組審議機関の設置  




【参 考】

○ 放送法(昭和25年 法律第132号)抜粋
   第1章 総 則
 (目的)
第1条 この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するよう
  に規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
 一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
 二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の
  自由を確保すること。
 三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義
  の発達に資するようにすること。

   第1章の2 放送番組の編集等に関する通則

 (放送番組の編集の自由)
第3条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉
 され、又は規律されることがない。

 (国内放送の放送番組の編集等)
第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の
 定めるところによらなければならない。
 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 二 政治的に公平であること。
 三 報道は真実をまげないですること。
 四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明ら
  かにすること。
2〜4 (略)

 (番組基準)
第3条の3 放送事業者は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送
 番組の編集の基準(以下「番組基準」という。)を定め、これに従つて放送番組
 の編集をしなければならない。
2 (略)

 (放送番組審議機関)
第3条の4 放送事業者は、放送番組の適正を図るため、放送番組審議機関(以下
 「審議機関」という。)を置くものとする。
2 審議機関は、放送事業者の諮問に応じ、放送番組の適正を図るため必要な事項
 を審議するほか、これに関し、放送事業者に意見を述べることができる。
3 放送事業者は、番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画を定め、又はこ
 れを変更しようとするときは、審議機関に諮問しなければならない。
4 (略)
5 放送事業者は、郵政省令に定めるところにより、次の各号に掲げる事項を審議
 機関に報告しなければならない。
 一、二 (略)
 三 放送番組に関して申し出のあつた苦情その他の意見の概要
6 (略)




資料5 日本放送協会国内番組基準(抜粋)


 日本放送協会は、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉さ
れず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで、
よい放送を行うことによって、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くさなけ
ればならない。
 この自覚に基づき、日本放送協会は、その放送において、
1 世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献する
2 基本的人権を尊重し、民主主義精神の徹底を図る

第1章 放送番組一般の基準

第6項 社会生活
1 国民の生活を安らかにすることにつとめ、また、相互扶助の精神を高めるよう
 にする。
2 公安および公益をみだすような放送はしない。
3 暴力行為は、どのような場合にも是認しない。

第9項 風  俗
1 人命を軽視したり、自殺を賛美したりしない。
2 性に関する問題は、まじめに、品位を失わないように取り扱う。
3 不健全な男女関係を魅力的に取り扱ったり、肯定するような表現はしない。

第10項 犯  罪
1 犯罪については、法律を尊重し、犯人を魅力的に表現したり、犯罪行為を是認
 するような取り扱いはしない。
2 犯罪の手段や経過などについては、必要以上に詳細な描写をしない。
3 とばくまたはそれに類似の行為を是認したり、魅力ある行為として描写したり
 しない。
4 医療以外の麻薬の使用は、悪癖としてのほかは取り上げない。

第11項 表  現
3 下品なことばづかいはできるだけ避け、また、卑わいなことばや動作による表
 現はしない。
4 人心に恐怖や不安または不快の念を起こさせるような表現はしない。
5 残虐な行為や肉体の苦痛を詳細に描写したり、誇大に暗示したりしない。
8 放送の内容や表現については、受信者の生活時間との関係を十分に考慮する。




第2章 各種放送番組の基準

第3項 学校放送番組
1 学校教育の基本方針に基づいて実施し、放送でなくては与えられない学習効果
 をあげるようにつとめる。
2 各学年の生徒の学習態度や心身の発達段階に応ずるように配慮する。
3 教師の学習指導方法などの改善・向上に寄与するようにつとめる。

第4項 児童向け番組
1 児童に与える影響を考慮し、豊かな情操と健全な精神を養うようにつとめる。
2 児童がまねることによって害になる放送や児童に趣旨が誤解されやすい放送は
 しない。
3 児童に異常な恐怖を与えるような表現はしない。
4 児童に害を与える迷信は、取り扱わない。

第8項 娯 楽 番 組
1 家庭を明るくし、生活内容を豊かにするような健全な娯楽を提供する。
2 身体的な欠陥などにふれなければならないときは、特に慎重に取り扱う。




資料6 日本民間放送連盟放送基準(抜粋)


 民間放送は、公共の福祉、文化の向上、産業と経済の繁栄に役立ち、平和な社会
の実現に寄与することを使命とする。
 われわれは、この自覚に基づき、民主主義の精神にしたがい、基本的人権と世論
を尊び、言論および表現の自由をまもり、法と秩序を尊重して社会の信頼にこたえ
る。
 放送にあたっては、つぎの点を重視して、番組相互の調和と放送時間に留意する
とともに、即時性、普遍性など放送のもつ特性を発揮し内容の充実につとめる。
  1 正確で迅速な放送
  2 健全な娯楽
  3 教育・教養の進展
  4 児童および青少年に与える影響
  5 節度をまもり、真実を伝える広告


           3章 児童および青少年への配慮

(15)児童および青少年の人格形成に貢献し、良い習慣、責任感、正しい勇気など
   の精神を尊重させるように配慮する。
(16)児童向け番組は健全な社会通念に基づき、児童の品性を損なうような言葉や
   表現は避けなければならない。
(17)児童向け番組で、悪徳行為・残忍・陰惨などの場面を取り扱う時は、児童の
   気持を過度に刺激したり傷つけたりしないように配慮する。
(18)武力や暴力を表現するときは、青少年に対する影響を考慮しなければならな
   い。
(19)催眠術、心霊術などを取り扱う場合は、児童および青少年に安易な模倣をさ
   せないよう特に注意する。
(20)児童を出演させる場合には、児童としてふさわしくないことはさせない。特
   に報酬または賞品をともなう児童参加番組においては、過度に射幸心を起こ
   させてはならない。
(21)未成年者の喫煙・飲酒を肯定するような取り扱いはしない。


              8章 表現上の配慮

(42)放送内容は、放送時刻に応じて視聴者の生活状態を考慮し、不快な感じを与
   えないようにする。
(45)人心に不安を与えるおそれのある内容のものは慎重に取り扱う。
(47)不快な感じを与えるような下品、卑わいな表現は避ける。


              9章 暴 力 表 現

(59)暴力行為は、その目的のいかんを問わず、否定的に取り扱う。
(60)暴力行為の表現は、最小限にとどめる。
(61)殺人・拷問・暴力・私刑などの残虐な感じを与える行為、その他、精神的・
   肉体的苦痛を、誇大または刺激的に表現しない。


             10章 犯 罪 表 現

(62)犯罪を肯定したり犯罪者を英雄扱いしたりしてはならない。
(63)犯罪の手口を表現するときは、模倣の気持ちを起こさせないように注意する。
(64)とばくおよびこれに類するものの取り扱いは控え目にし、魅力的に表現しな
   い。
(65)麻薬を使用する場面は控え目にし、魅力的に取り扱ってはならない。
(66)睡眠薬・覚せい剤などの乱用を肯定したり、魅力的なものとして取り扱って
   はならない。
(67)発砲・刀剣類の使用は慎重にし、殺傷の手段については模倣の動機を与えな
   いように注意する。
(68)誘かいなどを取り扱う時は、その手口を詳しく表現してはならない。


              11章 性 表 現

(70)性に関する事柄は、視聴者の困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する。
(71)性衛生や疾病に関する事柄は、医学上、衛生上、教育上必要な場合のほかは
   取り扱わない。
(72)一般作品はもちろんのこと、たとえ芸術作品でも、極度に官能的刺激を与え
   ないように注意する。
(73)性的犯罪・変態性欲・性的倒錯などの取り扱いは特に注意する。
(74)全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わい
   の感を与えないように特に注意する。
(75)出演者の言葉・動作・舞踊・姿勢・衣装・色彩・位置などによって、卑わい
   な感じを与えないように注意する。




資料7 他の業界における青少年関連施策

(1)映画のレイティング
 映倫管理委員会(昭和31年12月設立)が、映画制作、輸入後公開前の段階に
おいて、「映画倫理規定」に基づき審査。劇場映画がビデオ化されたものも、この
審査結果を踏襲している。映倫区分は以下の4分類。
(1)一般: 年齢制限がなく、あらゆる年齢の人が観覧できるので、表示はしな 
     い。                             
(2)PG12: 12歳未満の方には、なるべく保護者が同伴してください。  
(3)R−15: 15歳未満の方は、ご覧になれません。           
(4)R−18: 18歳未満の方は、ご覧になれません。           
表示:新聞、雑誌、車内広告等の表示は、必ずロゴマークと文言を表記。ポスター
及びテレビCFにおける表示は、ロゴマークのみとし、文言は省くことができる。

(2)出版の識別マーク表示
 出版倫理協議会(昭和38年12月、出版社、取次会社、小売書店の出版4団体
で設立)が有害図書と指定された出版物等に対して、各種表示を行うよう出版社に
対して通知等を実施。
・出版倫理協議会のコミック特別委員会が東京都で「不健全図書」と指定され 
 たコミック単行本を審議の上、当該コミック単行本を発行する出版社に勧告 
 を行う。勧告は、当該単行本の回収、補充出荷の停止、<成年コミック>マ 
 ーク等の表示、不健全箇所の修正等の措置をとること等を内容とする。   
・露骨な性描写を中心とする成年向け雑誌に発行出版社の判断で<成年向け雑 
 誌>マークを表示、小売書店等において「成人コーナー」等へ区分陳列販売 
 を徹底し、青少年への販売上の注意を喚起する。             

(3)不健全な図書の指定及び指定図書の販売等の制限
例:「東京都青少年の健全な育成に関する条例」において、図書、映画等にお 
いて、青少年に不適当と認められるものは、知事が指定し、青少年への販売等 
を禁止することができる。同種の条例は長野県を除く各都道府県において制定 
され、青少年の保護を目的として、わいせつ文書、有害図書を取り締まりの対 
象としている。                             

(4)図書館等における児童向け図書の選定等
 新たに出版されたばかりの本のうち、全国学校図書館協議会が「全国学校図書館
協議会図書選定基準」に基づき、全国の学校図書館に入れるべき図書を選定してい
る。
選定対象 :出版されたばかりの本                    
会議開催日:隔週月曜日(月2回)                    
公開方法 :「学校図書館速報」で発表                  
選定委員 :全国学校図書館協議会事務局は専従の25名程度の職員と学校現 
      場出身の先生、現場から必要に応じて駆けつける12名を委嘱し 
      ている。                          




資料8 青少年アンケート調査結果概要

【調査概要】
1. 調査目的                               
  青少年のテレビ視聴環境等について調査を実施するとともに、テレビが青少 
  年の行動に及ぼす影響等について実証的分析を実施。           
2. 調査対象・調査方法                          
  調査対象:首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)10校の公立小学校5年生と、
       首都圏(同)9校の公立中学校2年生。(中学校については当初10校
       の予定のうち、1校は協力を得られなかったため9校にて実施。)
   抽出方法:首都圏の全公立学校から対象となる学校を都県毎に無作為に抽出 
       し、文部省の協力を得て、都・県及び市・区・町の教育委員会を 
       通じて学校に依頼。                     
       各学校の校長の判断で対象となる調査対象をクラス単位で選定。 
   調査方法:各学校で先生が生徒に配布し、生徒は持ち帰って記入、封をして 
       翌日以後提出。それをそのまま回収。             
3. 調査実施期間                             
  1998年7月13日(月)〜17日(金)                   
4. 有効回収件数                             
  小学5年生:358件                           
  中学2年生:422件                           
対象校 
    
   有効回収数   
合計 
   
男子
  
女子
  
性別
不明
小学校A
    
 21
   
 10
  
 11
  
  0
  
B   
    
 48
   
 25
  
 23
  
  0
  
C   
    
 53
   
 22
  
 31
  
  0
  
D   
    
 28
   
 12
  
 16
  
  0
  
E   
    
 33
   
 16
  
 16
  
  1
  
F   
    
 25
   
 11
  
 14
  
  0
  
G   
    
 38
   
 19
  
 19
  
  0
  
H   
    
 36
   
 17
  
 19
  
  0
  
I   
    
 25
   
 12
  
 12
  
  1
  
J   
    
 51
   
 24
  
 27
  
  0
  
小学校計
    
358
   
 168
  
 188
  
  2
  
対象校 
    
   有効回収数   
合計 
   
男子
  
女子
  
性別
不明
中学校K
    
 55
   
 34
  
 19
  
  2
  
L   
    
 35
   
 19
  
 15
  
  1
  
M   
    
 66
   
 33
  
 32
  
  1
  
N   
    
 33
   
 17
  
 15
  
  1
  
O   
    
 62
   
 30
  
 32
  
  0
  
P   
    
 35
   
 21
  
 13
  
  1
  
Q   
    
 40
   
 20
  
 20
  
  0
  
R   
    
 35
   
 17
  
 18
  
  0
  
S   
    
 61
   
 31
  
 30
  
  0
  
中学校計
    
422
   
 222
  
 194
  
  6
  



【結果概要】
以下4種類の集計・分析を実施した。                    
 1. 単純集計                              
 2. 視聴環境の違いが子どもの行動や状態に与える影響           
 3. テレビの暴力シーンを見た時の反応の違いによる子どもの行動や状態の違 
   い                                 
 4. テレビの暴力シーンとの接触状況と暴力的行動等との相関関係      


1 単純集計結果からみる子どもの傾向

 主な結果は以下のとおりである。
(1)テレビ視聴環境                           
  ○ 全体の37.1%が平日にテレビを3時間以上見ている。          
  ○ 小学生よりも中学生の方が視聴時間が長く、また1人で見ることが多い  
   傾向にある。                            
  ○ 全体の80.1%の子どもは、テレビを家族と一緒の部屋で視聴している。 
  ○ 親から番組の視聴制限を全く受けていない子どもは全体の47.7%である。
  ○ 小学生よりも中学生の方が、親による番組視聴制限を無視する傾向が強 
   い。                                
                                     
(2)暴力傾向                              
  ○ 暴力を容認する傾向(時と場合によっては暴力に頼ることは悪くないと 
   考える傾向)を探ったところ、男子の方が女子よりも容認傾向が高いこと 
   が判明した。                            
  ○ 暴力への感覚麻痺度(実際に暴力がふるわれている場面に遭遇しても、 
   それを止めさせるべきと感じなくなっている度合い)を探ったところ、男 
   子の方が女子よりも、また中学生の方が小学生よりも、感覚麻痺が進んで 
   いることが判明した。                        
  ○ テレビ暴力との接触と、現実の暴力や社会に対して恐怖・警戒感を感じ 
   ることとの関係を探るために、他人や社会への恐怖・警戒感を調べた結  
   果、女子の方が男子よりも、また中学生の方が小学生よりも、他人や社会 
   に対して恐怖・警戒感を抱いていることが判明した。          
                                     
(3)テレビの各種暴力シーンを見たときの反応               
  ○ 暴力シーンの種類によって、子どもの反応は異なるが、「ナイフで刺し 
   たり銃で撃つ」というシーンには概ね「ハラハラする」、「血を流して苦 
   しんでいる」シーンには概ね「こわくなる」という反応が多い。     
                                     
(4)周囲の友人の暴力的傾向と大きな影響を与えたメディアについての意見  
  ○ 全体の71.4%の子どもが、ふざけて暴力をふるう友達が周辺にいるとい 
   う認識を持っている。                        
  ○ その原因にテレビ番組があると想像している子どもは全体の38.3%であ 
   り、次いで「テレビゲーム」27.1%、「マンガ」24.6%、「映画」15.1  
   %、「ビデオソフト」14.0%、「本や週刊誌」11.2%、「パソコン(イン 
   ターネットなど)」0.9%となっている。また、「これらの影響はない」  
   18.8%、「わからない」29.2%であった。               
                                     
(5)緊張・不安状況                           
  ○ 男女とも、中学生の方が小学生よりも、重い緊張・不安状態にある。  
  ○ また、男女とも、中学生の方が小学生よりも、重いストレッサー(緊張 
   ・不安を与える要因・出来事)を受ける傾向が強い。          


2 視聴環境の違いによる子どもの行動や状態の違い

 視聴環境の違いが子どもの行動や状態に与える影響を明らかにするため、調査項
目の点数化処理を行った上で、クロス集計による平均値の差の有意性に関する統計
的仮説検定(5%水準)※を行った。

※ 統計的仮説検定とは、5%有意水準の場合、100回調査すれば、95回は今回の調
 査結果と同じになることを推論するものである。

 主な結果は以下のとおりである。 
                      ( )内は平均値(前者/後者)(注)
○ 「1人でテレビを見る子ども」と「誰かと一緒に見る子ども」を比べた結果、
 前者の方が後者よりも、暴力的傾向が高く(0.26/0.22)、また高い緊張・不安 
 状態にある(2.23/2.00)という傾向が判明した。              
○ 「長時間テレビを見る子ども」と「短時間しか見ない子ども」を比べた結  
 果、おおむねの傾向としての方が後者よりも、暴力的傾向が高く(0.26/0.22)、
 また高い緊張・不安状態にある(2.19/2.03)という傾向が判明した。     
○ 親による特定の番組に対する視聴制限がある場合、「その制限が機能してい 
 ない状況にある子ども(つまり、親の言うことを聞かずに何としてでも見ると 
 いう子ども)」と、「機能している状況にある子ども(つまり親の言うことを 
 聞いて見ることをあきらめる子ども)」を比較すると、前者の方が後者より  
 も、暴力的傾向が高く(0.31/0.23)、また高い緊張・不安状態にある     
 (2.29/1.98)という傾向が判明した。                   
注:平均値が高いほど暴力的傾向、緊張・不安状態が高い。(暴力的傾向は、最低 
  0点、最高1点。緊張・不安状態は、最低0点、最高4点)


3 テレビの暴力シーンを見た時の反応の違いによる子どもの行動や状態の違い

 テレビの各種暴力シーンを視聴した時に示す反応によって子どもを分類した場合、
それぞれの群における子どもの行動や状態にどのような差があるかという点を明ら
かにするため、調査項目の点数化処理を行った上で、クロス集計による平均値の差
の有意性に関する統計的仮説検定(5%水準)を実施した。

 主な結果は以下のとおりである。
                      ( )内は平均値(前者/後者)(注)
○ テレビの暴力シーンを見て、「ワクワクする」「スカッとする」といった、 
 暴力への肯定的な興奮と取れる反応を示すことの多い子どもは、そうでない子 
 どもに比べて、暴力的傾向(0.33/0.20)、緊張・不安状態(2.25/1.96)、登場人 
 物への感情移入度(1.22/1.14)とも高い傾向を示すことが判明した。     
○ テレビの暴力シーンを見て、「怖くなる」「ハラハラする」「気分が悪くな 
 る」といった、暴力に対して拒否的と取れる反応を示すことの多い子どもは、 
 そうでない子どもに比べて、暴力的傾向(0.20/0,27)が低いことが判明した。一
 方で、前者の子ども達は、後者の子ども達に比べて、他人や社会に対して警戒 
 感や恐怖感をより強く示す傾向(2.39/2.19)にあることが判明した。     
○ テレビの暴力シーンを見て、「何度も見たくなる」という反応を示すことの 
 多い子どもは、そうでない子どもに比べて、暴力的傾向(0.31/0.22)、緊張・ 
 不安状態(2.22/2.01)、登場人物への感情移入度(1.21/1.14)とも高い傾向を示 
 すことが判明した。                           
○ テレビの暴力シーンを見て、「真似をしてみたくなることがある」という反 
 応を示すことの多い子どもは、そうでない子どもに比べて、暴力的傾向    
 (0.32/0.21)、緊張・不安状態(2.31/2.00)、登場人物への感情移入度     
 (1.22/1.15)とも高い傾向を示すことが判明した。             
注:平均値が高いほど暴力的傾向、緊張・不安状態が高い。(暴力的傾向は、最低
  0点、最高1点。緊張・不安状態は、最低0点、最高4点)


4 テレビの暴力シーンとの接触頻度と暴力的行動等との相関関係

 「テレビの暴力シーンとの接触頻度」と、「子どもの暴力的傾向」(「暴力実施
度」「暴力の容認的認識」「暴力への感覚麻痺」「他人や社会への恐怖・警戒
感」)の相関関係を明らかにするため、子どもたちがよく見た番組について、調査
期間後(平成8月9日〜22日)の放送1回分を視聴して暴力シーンをコード化し、
調査項目の数値化(点数化)処理を行った上で、数値化された各項目同士の相関関
係を分析し、項目間に、統計的に有意な相関が存在するかという点を明らかにする
ため、統計的仮説検定(5%水準)を実施した。

 主な結果は以下の通りである。

○ 子どもの「テレビの暴力シーンとの接触頻度」と「暴力的傾向」の相関を調 
 べたところ、「暴力実施度」と「非日常的な暴力シーンとの接触頻度」の間に 
 は統計的に有意な正の相関関係がある。また小5の女子については、「暴力へ 
 の感覚麻痺」と「表現的な暴力シーンとの接触頻度」及び「苦痛描写の描かれ 
 ていない暴力シーンとの接触頻度」の間に統計的に有意な正の相関関係があ  
 る。                                  
○ 子どもの「テレビの暴力シーンとの接触頻度」と「登場人物への感情移入  
 度」の相関を調べたところ、「残忍な暴力シーンとの接触頻度」と「登場人物 
 を模倣する傾向」の間に、統計的に有意な正の相関関係がある。また、中2の 
 女子については、「道具的暴力シーンとの接触頻度」と「登場人物を模倣する 
 傾向」との間、及び「残忍な暴力シーンとの接触頻度」と「登場人物を同一視 
 する傾向」との間に統計的に有意な正の相関関係がある。          
○ 「登場人物への感情移入度」と「暴力的傾向」の間には、全体としては相関 
 関係は認められなかったものの、小5の男子については「登場人物への同一視 
 傾向」と「暴力の容認的認識」の間、及び小5の女子については「登場人物へ 
 の憧憬傾向」と「暴力の容認的認識」の間に統計的に有意な正の相関関係があ 
 る。                                  
○ テレビの暴力シーンとの接触度合いと「緊張・不安状態」の相関を調べたと 
 ころ、子どもの「暴力実施度」は、「テレビの暴力シーンとの接触頻度」より 
 も、その子どもの「緊張・不安状態」との間で、より強い相関関係がある。ま 
 た、「緊張・不安状態」は、「深刻な暴力シーンとの接触頻度」や「残忍な暴 
 力シーンとの接触頻度」と統計的に有意な正の相関関係がある。       
○ 以上より、「テレビの暴力シーンとの接触頻度」と「その子どもの暴力的傾 
 向」の間の関係は、それほど単純ではないものの、「緊張・不安状態」の介在 
 によっては、テレビの暴力シーンとの接触が間接的に暴力的傾向に作用する可 
 能性を示唆すると考えることもできる。                  




資料9 青少年ヒアリング調査結果概要


【調査概要】
1 調査目的                               
 青少年の意見は大人と必ずしも一致するものでないことから、青少年の素直な 
意 見を踏まえ、青少年がテレビ番組に含まれる暴力シーンや青少年犯罪につい 
てどう考えているのかを知ることを目的とした。               
                                     
2 調査対象                               
 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県在住の47名の青少年          
  小学校4年生〜6年生  男子10名 女子20名  計30名      
  中学校1年生〜2年生  男子13名 女子 4名  計17名      
   ※(財)ボーイスカウト日本連盟および主婦連合会のご協力により実施  
                                     
3 調査方法                               
 小学生、中学生ごとに5〜8名のグループに分かれ、それぞれのグループで司 
会者が進行する中、参加者が自由にディスカッションする形式をとった。    
                                     
4 調査実施日                              
 1998年8月14日、22日、27日                  
                                     
【主な意見】
1)テレビ視聴について                           
 ・アニメ、バラエティー番組、ドラマ等をよく見る。            
 ・疑問に思っていることを解決してくれる番組をもっと見たい。       
 ・自分のテレビを見る時間帯に見たい番組をもっと増やして欲しい。     
 ・気持ち悪いものやこわいシーンは見ない。面白い番組を見る。       
 ・人から言われてとりあえず見たり、新聞や雑誌で見る番組を決める。    
2)テレビが青少年に与える影響について                   
 ・バラエティー番組のものまねとか誰かの芸、格好を真似したりする人がい  
  る。                                 
 ・テレビ番組に出ている動物を飼ってみたり、お店に行ってみたりする。   
 ・やっぱりテレビはテレビ。テレビの中と実際に起こっていることとは違うと 
  思う。                                
 ・学校や家でテレビの話題が出る。                    
3)テレビ番組の暴力的行為について                     
 ・いじめ等、テレビ番組の暴力シーンを見て真似する人がいるかもしれない。 
 ・テレビの影響を受けてしまうのは分からなくはないが、真似をするかは受け 
  手次第。                               


 以下に主な設問テーマとその回答傾向を示す。

Q1 テレビの視聴時間は1日どのくらいですか
  およそ1時間〜4時間で、もっと多い人もいる。

Q2 テレビを視聴する時間帯はいつですか
  午後6時〜10時の間が多い。

Q3 いつもテレビは誰とみますか
  1人で/兄弟・姉妹で/家族でと、家庭状況、テレビ台数、番組内容(家族団
 らん向き、子ども向き、個人趣味向きなど)等によって異なっている。

Q4 どんな番組が好きですか
  アニメ以外はバラエティ、ドラマ、映画と娯楽系が多く、大人と違いはない。

Q5 どんな番組をもっと放送して欲しいですか
  みたい番組をよりみやすい時間帯に放送してほしいという要望が多い。

Q6 みたくない番組の内容はどのようなものですか
  気持ち悪いもの、怖いもの、苛めもの、格闘もの、つまらないもの、お堅いも
 の

Q7 視聴する番組はどのように決めていますか
  情報源としてお母さんや友達、新聞や情報誌、そしてザッピングであり、何を
 みたいかは自分ではっきりしていることが多い。

Q8 視聴する番組について親から何か言われたことはありますか
  残酷なシーン、悪ふざけがすぎるもの、年相応でないものなどをみないように
 いわれることがある。

Q9 テレビについて学校などで話題になりますか
  まじめな内容はあまり話題にならないが、友達同士の共通話題は多い。

Q10 テレビをみて得したことや損したことがありますか
  情報としての知って得することがある。

Q11 テレビがないと困りますか
  困るという人が多く、生活上不可欠に近い存在ととらえている。

Q12 テレビがきっかけで何かしたことがありますか
  流行などに関係強く、風俗への影響は大きい。

Q13 テレビの内容と現実を比較してどう思いますか
  作り物であるが、その中でより現実的な一面を意識している。

Q14 テレビをみていて怖いと思うことはありますか
  生死に関係するもの、生々しいものに対して恐怖や嫌悪感を感じている。

Q15 テレビ番組中の暴力的行為についてどう思いますか
  ほとんどの人は影響を受けて暴力的になることなどないが、ごく一部の人に影
 響が生じているととらえている。

Q16 同世代の暴力的行為についてどう思いますか
  ストレスを溜めている人が多く、何らか(周囲の人、動植物、もの)に対して
 当たっている。そのため、同世代における苛めも増えていくと感じている。

Q17 同世代がナイフを持ち歩くことについてどう思いますか
  人によっては衝動的に他人などへ危害を加える可能性があり、恐れを抱いてい
 る人が多い。




資料10 保護者ヒアリング調査結果概要


【調査概要】
1 調査目的                               
  青少年を子どもにもつ保護者が、テレビ番組に含まれる暴力シーン等につい 
 て、子どもへの影響をどのように考えているのかを知ることを目的とした。  
                                     
2 調査対象                               
  東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県在住の21名の保護者         
   ※(社)日本PTA全国協議会および主婦連合会のご協力により実施    
                                     
3 調査方法                               
  5〜8名のグループに分かれ、それぞれのグループで司会者が進行する中、 
 参加者が自由にディスカッションする形式をとった。            
                                     
4 調査実施日                              
  1998年8月14日、9月14日                   

【主な意見】
1)暴力シーンを含むテレビ番組に対する批判                 
 ・必要以上に過激で情報過多な番組が多く無責任な作り方が目につく。    
 ・番組制作において、報道の自由はあるが、一方で社会的責任もあるはず。  
2)テレビによる子どもへの影響                       
・現実世界との区別がなくなることや非日常的なことの日常化が起こっている。 
・親がフォローすれば悪い影響は受けない。                 
・親の接し方、判断基準次第でテレビの子どもへの影響は良くも悪くもなる。  
・親がフォローしていない家庭も多い。                   
3)親の心境                                
・子どもに悪影響を与えたくない。                     
・子ども自身に番組を選ぶ判断力を身につけさせたい。            
・親の責任を全うしながらも家庭教育の限界を感じる。            


 以下に主な設問テーマとその回答傾向を示す。

Q1 子どもはどんなテレビ番組が好きですか、よくみていますか
  ドラマ、バラエティ、歌番組、映画、アニメ

Q2 子どもがみているテレビ番組について問題があると思うことはありますか
  常に刺激を与え続けるもの、必要以上に報道するニュース、無責任な作り方の
  番組

Q3 子どもがみるテレビ番組は誰がどのように決めていますか
  常に本人が決めている場合と小さいうちは親が決定権をもっている場合があり、
  いずれにせよ、子どもに番組を選ぶ判断力がつくかについて親は不安を感じて
  いる。

Q4 子どもはいつもテレビを誰とみていますか
  親と一緒にみることも多く、一人でみることもある。

Q5 子どもがテレビをきっかけで何かしたということはありますか
  テレビの中が別世界でなくなっており、テレビシーンをすぐに真似する。

Q6 テレビ番組もしくは放送する側が抱える問題についてどう思いますか
  多チャンネル化が進み情報が増えると、子どもの判断力や親の教育に限界があ
  るため、放送する側の責任もより重くなる。放送時に注意を促すテロップを流
  すことで社会的責任を果たせるわけではない。

Q7 子どもにみせなければよかったと思うような番組はありますか
  くだらない番組、大人向けシーン、汚いシーン、暴力シーン

Q8 子どもがテレビをみる際に望むことはありますか
  番組を選ぶ判断力を身につけることだが、その方法がわからない。

Q9 テレビの暴力シーンに影響されていると思いますか
  現実世界との区別がつかなくなったり、非日常的だったことが当たり前になっ
  たりしている。

Q10 どのような番組を放送してもらいたいと思っていますか
  情報を整理して選択することを教育する番組や家族全員でみられる番組

Q11 子どもがテレビをみる姿勢についてどう思いますか
  テレビの価値観が上位にあり、親から伝えられるなどの現実の価値観が希薄に
  受け止められるようになってきている。

Q12 その他テレビが子どもに与える影響についてどう思いますか
  テレビは子どものコミュニケーションの一環として話題づくりに貢献している
  一方、テレビによって子どもが教育されてしまう危険がある。

Q13 子どもの視聴しているテレビと家庭の関わりについてどう思いますか
  テレビの影響は様々であるが、親がしっかりとフォローしていれば問題はなく、
  判断力をもった親のフォローの仕方次第で子どもに対する影響が大きく異なっ
  ているのが現状である。また、実際にフォローしていない親も多いのも事実で
  ある。




資料11 インターネットアンケート調査結果概要


【実施概要】
1 実施目的                               
 インターネットを通じて、一般の方々から青少年と放送のあり方に関する意見 
 ・要望を募集することを目的とした。                   
                                     
2 実施方法                               
 郵政省のホームページ上で、青少年と放送に関する意見を応募するフォームを 
 設定                                  
                                     
3 実施期間                               
 1998年8月10日(月)〜8月31日(月)              
                                     
4 応募件数                               
 郵送された意見2件を含めて合計92件                  


【結果概要】

1 テレビの青少年への影響と健全育成上の役割について
(1)プラスの影響を認める代表的な意見                  
 1) 普段できない疑似体験の機会やさまざまな知識・情報が得られる(7件) 
 2) 感情表現・自己表現が豊かになる(1件)               
                                     
(2)悪影響を指摘する代表的な意見                    
 1) 事実の誇張や過激な演出が多い(8件)                
 2) 倫理・道徳の退廃につながる(8件)                 
 3) 登場人物の真似をし、現実との区別がなくなる(4件)         
 4) 視聴率を上げるためだけの番組作り(4件)              
                                     
(3)根本的な人間教育に言及する代表的な意見               
 1) 選択力がなく内容を無批判に受け入れてしまう受け手側の教育に問題があ 
  る(7件)                              
 2) 学校・家庭・地域などでの教育が必要(7件)             
 3) 純粋培養は判断するための知識が欠如し問題である(2件)       


2 子どもに対するテレビ番組の視聴制限について
(1)何らか制限しているという代表的な回答                
 1) 子どもの視聴状況に応じて親が判断(10件)             
 2) 程度の激しい性描写、暴力シーン等を含む番組を排除(6件)      
 3) 報道番組・ノンフィクション番組だけを見せる(3件)         
 4) 肉体的影響(視力低下等)がないようにする(3件)          
                                     
(2)制限していないという代表的な回答                  
 1) 子供の自主性・判断力を尊重(5件)                 



3 青少年に不適当な番組に対する対応策の必要性
(1)対応策が必要であるという代表的な回答                
 1) 時間帯による放送番組の規制(19件)                 
 2) 番組制作側の規制、ガイドライン(含自主規制)(18件)        
 3) 番組の分類を行い番組内容の詳細な情報を提供する(16件)       
 4) 機械的な制御装置を導入(7件)                    
 5) メディア・リテラシー教育が重要(5件)                
 6) 視聴率以外の基準の設定(4件)                    
                                     
(2)対応策が不要という代表的な回答                   
 1) 制限してもみる方法があるので効果に疑問(2件)           
 2) 各家庭の親が判断すればよい(1件)                 
                                     


4 番組視聴にあたって選択に必要な番組情報について
(1)必要な情報を得られていると回答した主な理由             
 1) テレビ番組欄で十分(10件)                    
 2) 番組情報誌等から得ている(6件)                  
                                     
(2)必要な情報を得られていないと回答した主な理由            
 1) 情報量が十分ではない(20件)                   
 2) 情報の質に問題がある(15件)                   




5 Vチップに対する考え方
(1)Vチップ導入に賛成するという代表的な回答(41件)         
 1)青少年育成のためには金銭的な利益よりも優先して導入すべき       
 2)法的規制を加えないという条件付きで賛成                
                                     
(2)Vチップ導入に反対するという代表的な回答(48件)         
 1)子供の判断能力を養うことが先決(13件)               
 2)他に見る方法があり効果が疑問(10件)                
 3)子供の好奇心を煽り逆効果(8件)                   
 4)逆に放送番組の過激化につながる(4件)                
 5)番組選択の基準が問題(4件)                     
 6)米国と日本とでは事情が違う(4件)                  
                                     


6 青少年と放送に関するその他の意見
1)番組制作側の自覚、責任感が必要(27件)                
2)受け手側に情報の取捨選択をする能力やモラルが大切(9件)        
3)親や大人の側のモラルが問題(6件)                   
4)国による規制、Vチップの導入が必要(4件)               
5)第三者機関の創設が必要(2件)                     



以下に設問テーマを示す

Q1 テレビが青少年にどのような影響を及ぼしていると思われますか。
  また、青少年の健全育成上どのような役割を果たしていると思われますか。

Q2 お子さまがおられる方に伺います。お子さまのテレビ番組の視聴について、 
  その放送される内容に対して何か制限されているとか、何らかのルールを決め
  られていますか。

Q3 青少年に不適当な番組について、何らかの対応が必要と考えられますか。
  必要であれば、どのような対応が必要ですか。(番組内容に関する情報提供の
  充実、青少年に不適当な番組に対する時間の制限等)

Q4 番組を視聴するに当たって、視聴する番組を選択するために必要な情報を得 
  られていると考えていますか。

Q5 米国でVチップ(子どもに見せたくない番組を親が選択して、見せないよう 
  にする装置)の導入が決定しましたが、こうしたものについてどう考えられま
  すか。

Q6 その他、青少年と放送に関して、ご意見・ご要望等をお聞かせ下さい。
  (今後テレビに期待すること等)




資料12 有識者ヒアリング調査結果

ヒアリング対象者:23名(メディア論、法学、工学、脳科学、教育、放送、ジ 
         ャーナリスト等関係者)                 
                                     
質問事項:1)テレビが子どもに与える影響                  
     2)最近のテレビ番組についてどう考えるか             
     3)青少年に不適当な番組の放送について何らかの対応を行うことが必 
      要と考えるか                         
     4)米国で導入されているレイティング、Vチップ等は日本で有効と考 
      えるか                            
     5)今後、テレビ及び放送事業者に期待すること           
     6)その他                            
      −レイティング、Vチップ等の導入と表現の自由の確保の関係   
      −メディア・リテラシーについてどう考えるか          
      −番組制作を行う上で、青少年に向けて配慮している点      
       等                             


【学識経験者(メディア論)】
(敬称略)
名前
放送が青少年に与える影響
放送事業者に期待すること
放送時間帯の制限について
Vチップ・レイティングについて
メディア・リテラシーについて
その他
伊豫田康弘
東京女子大
学現代文化
学部   
     
     
     
     
言葉使いなど、テレビの影響
は大きい。最近は、ビデオや
テレビゲーム等、テレビ以外
のものの影響も大きくなって
おり、相対的には影響力が低
くなっているかもしれない。
日本では、まず本格的な調査
を実施すべき。      
自主規制は必要。番組審議機
関の活用、社員教育等が必 
要。           
             
             
             
             
             
時間の棲み分けをすればいい
のではないか。      
             
             
             
             
             
             
デメリットが大きい。親の自
覚の問題。民放業界の日米の
違いにも留意する必要があ 
る。           
             
             
             
             
テレビは現実のコピーの世界
でしかない、ということを見
抜く力を養う必要がある。 
             
             
             
             
             
目にあまるといわれている以
上、役所として何らかのアク
ションをとらなければという
事情は理解できるが、その前
提として、まず具体的な調査
を実施すべき。      
             
             
佐々木輝美
獨協大学 
外国語学部
助教授  
     
     
     
     
     
米国では、悪影響を及ぼすこ
とが実証されている。日本は
認識が遅れている。向社会的
行動を促進するような好影響
を及ぼす番組もある。   
             
             
             
             
日本では、自主規制の議論を
尽くすべき。放送基準、考査
部、検査部が機能するシステ
ムを作るべき。      
いい方向で影響が及ぶような
番組を作ってほしい。   
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
放送事業者と国が対立的な状
況下で導入しても、有効に機
能しない。事業者側の自主的
な取組が必要。導入する場合
は、有効に機能させることを
考えるべき。導入するとした
場合に、Vチップは義務付 
け、レイティングは自主的に
行うというのも一つ。   
学校で何かひとつメディア・
リテラシーに関する教育を入
れてほしい。       
家庭でのメディア教育も重 
要。番組に対する批判的な目
が肥えると、循環して番組の
質が向上する流れになると思
う。           
             
NHKのような公共放送を行
っている国の対応、例えば英
国の対応が一番参考になるの
ではないか。       
日本でも米国のように強い市
民団体があればいいのかもし
れない。         
             
             
服部孝章 
立教大学 
社会学部教
授    
     
     
     
     
     
     
     
テレビがベビーシッターにな
っている部分もある。   
日本は米国ほど調査の蓄積が
ない。          
             
             
             
             
             
             
             
自主的な判断に委ねるしかな
く、行政手段をとった場合 
に、国が責任を負えるのか、
という問題がある。    
番組基準の実施が必要。テレ
ビ番組の中に青少年に見ても
らうテレビ番組を作っていく
必要がある。       
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
子どもたちの好奇心をかきた
てるだけではないか。   
今まで以上に、成人向けの番
組が増えることになりかねな
い。           
Vチップはそもそも親が管理
できるか?有効性はないと思
う。           
Vチップ、レイティングを法
律で定めた場合、基準が明確
化できないのではないか。 
日本は、視聴者が何かをやろ
うという意識は低い。あまり
議論がない。       
メディア教育はいろいろなと
ころで行われるべき。   
             
             
             
             
             
             
米国の子どもテレビ法のよう
なもので規定していくしかな
いのかと思う。番組審議機関
を解体し、NHKと民放連で
BRCのような機関を設置す
ることも考えられる。   
自主的な取り組みでだめな場
合は法的手段。      
             
             
             



【学識経験者(法学)】
(敬称略)
名前
放送が青少年に与える影響
放送事業者に期待すること
放送時間帯の制限について
Vチップ・レイティングについて
メディア・リテラシーについて
その他
清水英夫 
青山学院 
大学名誉教
授    
(映倫委  
員長)   
             
             
             
             
             
             
番組審議機関の活性化、機能
を活用すべき。番審は議論が
抽象的になりがち。    
             
             
             
各国はゾーニング(表現の自
由と見たくない人の権利の調
和)の思想に基づき、時間帯
の制限やレイティングを実施
しており、参考とすべき。 
             
警告のマーク等は、親に対す
る情報提供を行えば、後は親
の選択の問題。      
レイティングもVチップも自
主的に行うのであれば、効果
は別としても問題はない。 
             
             
             
             
             
             
事業者の自主的な取り組みと
してBROのような第三者機
関の創設もあり得る。   
             
             
             
長谷部恭男
東京大学 
法学部助教
授    
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
影響はあると思う。ただし、
他のメディアと比べて、特別
の影響力があるといえるかは
疑問。          
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
放送の規律は、自主規制が基
本。           
基本的な情報を安く公平に提
供することに意義があり、そ
の点を十分認識して放送をし
てもらいたい。      
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
一定の放送時間帯規制によ 
り、青少年問題も相当改善さ
れるのではないか。    
放送時間帯規制は立法目的と
一致する限り表現の自由との
関係において可能。法律の根
拠がない状態で、放送事業者
が統一的ルールに基づき時間
帯規制を行うことは独占禁止
法との関係で問題が生じ得 
る。           
             
             
             
             
             
             
番組の情報の提供のように、
番組を選択しやすくする仕組
みが必要ではないか。   
レイティングについては、放
送事業者がきちんと正直にや
れるのかという問題がある。
Vチップについては、子ども
の方が操作に慣れている。法
的には、Vチップは、放送時
間帯規制の実効性を持たせる
ために業界が自主的にやるの
はよいが、義務付けは問題が
あるのではないか。    
レイティングも、政府の義務
付けに基づく事業者のレイテ
ィングは今、問題になってい
る。           
ジャーナリズム一般の問題。
日本では品質の高いジャーナ
リズムが欠如している。しか
し、それは社会構造を反映し
たものであって、心がけの違
いの問題ではない。    
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
藤竹 暁 
学習院大学
法学部教授
     
     
     
     
     
当然大きい。       
             
             
             
             
             
             
             
公権力や第三者機関であって
も事前に介入することは危 
険。放送事業者の自律を尊重
すべき。         
番組審議会、番組向上委員会
などの活性化を図るべき。 
             
             
事業者サイドで自主的に時間
帯に配慮する等の措置があっ
てもよい。        
             
             
             
             
             
青少年に不向きな番組につい
ては視聴者への情報提供が考
慮されてもよい。強制的にV
チップを導入するのには抵抗
を感じる。英国的なアプロー
チがなじみやすい。    
レイティングは自主的に行う
のであれば問題なし。   
カメラの使い方的なものだと
思う。カメラのアングルによ
り、あるものが別のように見
えることを学ぶことと理解。
             
             
             
             
事後的な仕組みを検討すべ 
き。BRCのような機関を活
用することも考えられる。 
             
             
             
             
             



【学識経験者(工学・脳科学)】
(敬称略)
名前
放送が青少年に与える影響
放送事業者に期待すること
放送時間帯の制限について
Vチップ・レイティングについて
メディア・リテラシーについて
その他
羽鳥光俊 
東京大学 
工学部教授
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
子どもを引きつけるもの。 
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
子どもが影響を受けるかもし
れないという点を考慮すべ 
き。           
いろいろな議論が行われてい
る中で、バランスをとりなが
ら、事業者が自主的に節度を
守っていけばよい。    
             
             
             
             
             
             
             
子どもしかいない時間帯など
に、子どもに不適当な番組を
放送することについて、放送
事業者が自主的に、あるいは
第3者機関(BRCのような
もの)で自主的に決めてやる
のがよい。国が規制する必要
はない。         
             
             
             
             
             
             
レイティングやVチップを導
入したからといって解決する
問題ではない。      
技術的に導入することは極め
て簡単。         
EPGを活用することによ 
り、Vチップを導入しなくて
も、番組内容に関するガイド
を充実させれば、親がそれを
見て番組を選択することは可
能である。        
事業者やメーカーが自社の売
りとして自主的な取り組みと
してやるのはいいと思う。 
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
地上デジタルの技術基準を策
定する場合に、Vチップに限
らず、いろいろな機能を追加
できるよう、ある程度、余裕
をもたせて作っておいた方が
いいと思う。       
カードを入れるだけで、バー
ジョンが変わるようにするの
がいいのではないか。   
             
             
             
             
             
             
安田靖彦 
早稲田大学
工学部教授
     
     
     
     
     
影響は大きい。      
             
             
             
             
             
             
             
公共の電波を使っているのだ
し、いい番組を作ってもらい
たい。          
放送事業者がもっと自覚する
べき。          
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
効果がないとはいえない。親
がきめ細かくやるかどうかが
問題。子どもの方が扱いがう
まいのですぐ解除されるので
はないか。        
Vチップは技術的には簡単。
Vチップは、子どもの意志は
無視されるのでは。    
             
             
             
             
             
             
             
             
多チャンネルが進むと視聴率
競争がなくなり、番組の質も
良くなるのではないかと思 
う。           
             
             
             
             
松本 元 
理化学研究
所脳科学総
合研究センター
ブレイングルー 
プディレクター 
人間の脳が一度学習したもの
は消去不能。人間は触れるも
のに似るという観点から考え
ると、テレビが子どもに与え
る影響は非常に大きい。  
             
テレビで何らかの対応が必要
な番組を作るべきではない。
青少年の成長を助けるよう 
な、問いかけるような番組を
作ってほしい。      
             
             
             
             
             
             
             
Vチップのように隠すのは逆
効果。かえって子どもの好奇
心をあおる。Vチップによ 
り、見れない子どもの劣等感
を増幅させ、いじめにつなが
る可能性がある。     
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             



【視聴者団体等】
(敬称略)
名前
放送が青少年に与える影響
放送事業者に期待すること
放送時間帯の制限について
Vチップ・レイティングについて
メディア・リテラシーについて
その他
塚本みゆき
報道の自由
を求める市
民の会  
     
子どもを主体的な働きかけを
要しない状況に置く。   
テレビから得られる知識の 
量、質が増大。      
             
放送関係者の自主的な対応。
自覚と責任と意欲をもって番
組を提供することが原則。 
視聴率に振り回されないでほ
しい。          
             
             
             
             
             
米国の導入前、後の状況を調
査し、比較・検討すべき。 
導入によって、性・暴力シー
ンが増える可能性はある  
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
鈴木みどり
立命館大学
教授   
(FCT市
民のメディア 
 ・フォーラム代
表)   
     
     
     
日本では研究が少なすぎる。
委託研究等を支援する必要が
ある。          
             
             
             
             
             
             
             
放送事業者が自覚と責任をも
って自主的に放送コードを作
成し、それに基づいて自らを
規律するべき。      
             
             
             
             
             
             
番組コード等を策定し、その
中で時間帯について盛り込む
必要があるかどうかまず議論
を深める。        
             
             
             
             
             
             
他に手段がない場合は、レイ
ティングは有効かもしれな 
い。公共の電波を使用してい
るのだから手間がかかったっ
て仕方がない。      
Vチップを導入して問題が解
決するということではなく、
それ以前の問題である   
             
             
日本は、放送関係者が国際的
な活動にもあまり参加してい
ないし、取り残されている。
すでに市民サイドや大学レベ
ルで始まっている取組を「テ
レビと子ども」問題の一環に
位置づける視野と支援が必 
要。           
             
             
番組制作者に対して、子ども
向けの番組の制作等にかかる
財政的支援をやるべき。  
市民としての問題に真剣に取
り組んでいる人たちと市民活
動グループ(NPO)の存在を視 
野に入れるべき。視聴者を 
「マス」(多数、大衆)とと
らえる時代はとうに終わって
いる。          
原 早苗 
(財)消費科
学センター
消費科学連
合会事務局
次長   
     
     
     
子どもの視聴時間が長く、親
よりはるかに影響力があると
思うこともある。     
一方、テレビで子どもが育つ
部分もある。       
             
             
             
             
子どもに対する影響の大きさ
を自覚して、いい番組を作っ
てほしい。テレビが果たす役
割を考えていくべき。   
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
ある程度有効かもしれない 
が、限界はある。     
レイティングは有効かもし 
れない。         
番組内容についての情報は 
もっと詳しくほしい。アク 
セスしたら情報内容がわか 
るような仕組みがあったら 
いいかもしれない。    
必要。メディアはどう作られ
ているか、基本的に理解して
おいてほしい。      
             
             
             
             
             
             
スポンサーに働きかけること
も考えられる。      
個々人が意見をいうなど、働
きかければ、それが一番の規
制。           
             
             
             
             



【教育関係者】
(敬称略)
名前
放送が青少年に与える影響
放送事業者に期待すること
放送時間帯の制限について
Vチップ・レイティングについて
メディア・リテラシーについて
その他
安藤駿英 
全国連合 
小学校長会
会長   
     
     
批判能力の備わっていない子
どもは、テレビのシーンをあ
るがままに受け止めがち。 
子どもはテレビの真似をする
し、テレビの影響は極めて大
きい。          
人生・人間を考えさせる良い
番組を作ってもらいたい。 
子どもへの影響を考えて作っ
てもらいたい。      
             
             
休日の昼間。平日の夜9時頃
までは時間枠の制限を行って
配慮すべき。       
             
             
             
何もしないよりは、導入した
方がいいのではないか。見て
はいけない番組を見ていると
いう後ろめたさを与えること
により教育的効果がある。 
             
メディア教育は重要と考える
が、学校教育の中で対応でき
るかどうか。教員の能力の問
題。教員の養成課程にメディ
ア教育を取り入れるのもひと
つ。           
             
             
             
             
             
             
尾木直樹 
教育評論家
     
     
     
     
     
     
     
     
良い影響の方がはるかに多 
い。情報収集能力、現実認識
能力等を身につける。90%く 
らいは良い影響。人権や環境
問題等「子ども市民」的感覚
が豊かに形成されている。し
かし、暴力場面等は、何回も
同じような場面を見ていると
慣れしまう。       
             
規制はすべきではない。発信
者側のレベルをどうあげてい
くかが問題。受けて側が一緒
になって意見を出していくべ
き。           
公共性があるということを自
覚すべき。日本の文化に責任
を負っている。メディアの倫
理観、社会的に担っている役
割を自覚するべき。    
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
日本の場合、子どものテレビ
の個室化が進行しているた 
め、有効ではない。加国のよ
うに、国民的な議論が必要。
             
             
             
             
             
             
メディアの時代に、小学校か
ら高校まで授業で触れないの
は異常。         
もっと、メディアに触れ、映
像活動をやることも交えてや
るべき。         
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
廿楽昌子 
東京都児童
相談センタ
ー    
顧問   
テレビは物の見方、考え方等
に影響を与える。     
             
             
             
放送事業者は子どもが見てい
ることに配慮してほしい。 
放送は文化であるという認識
を持つことが必要。    
             
             
             
             
             
             
母親の判断力が乏しい中で、
Vチップを導入するなんてと
んでもないこと。     
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
高山英夫 
子ども調査
研究所所長
     
     
     
     
今は赤ちゃんの時からお母さ
んとテレビに育てられている
ようなもの。       
             
             
             
             
青少年と放送の関係について
放送事業者が考えることは重
要だと思うが、国が出てくる
のはおかしい。      
文化として質の高いものを提
供して欲しい。      
             
             
             
             
             
             
             
             
Vチップやレイティングはど
うでもいいのではないか、と
感じる。         
子どもはいろいろな文化に触
れることが大切であり、一律
にカットするような考え方は
よくない。        
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
二瓶恭光 
慶応義塾大
学産業研究
所    
教授   
     
     
自由時間の相当部分をTVで
過ごしている。子どもに対し
て、良い悪いをいちいち指導
するのもどうか。小学生は、
好奇心を刺激することも重 
要。自浄作用を働かせるメカ
ニズムが重要。      
放送事業者の自主的な取り組
みが何よりも重要。    
子どもが見ているとの自覚を
持てば、表現ぶりも変わって
くるはず。自浄能力がなけれ
ば、自由にも社会的規制が必
要になることを自覚すべき。
             
             
             
             
             
             
             
前もって番組の情報提供を行
うことは必要。      
(誰がどのように行うのか)
子ども自身に選択させる仕組
みが考えられないか。   
             
             
             
             
             
             
             
             
             
モニター制度の活用。モニタ
ーを固定せず、各界から広く
募って、その声を公表する仕
組みを構築したらどうか。 
             
             
             




【放送関係者】
(敬称略)
名前
放送が青少年に与える影響
放送事業者に期待すること
放送時間帯の制限について
Vチップ・レイティングについて
メディア・リテラシーについて
その他
五味一男 
日本テレビ
放送網(株)
編成局  
総合演出 
     
     
     
     
     
文化、学校、友達等、いろい
ろある中でテレビの影響だけ
飛び抜けて強いとは断定でき
ない。          
             
             
             
             
             
             
テレビを規制すれば解決する
というのはリスキー。事業者
としてはもっと考査部の存在
をアピールしていくのがいい
のではないか。      
公共的機関たるテレビ局は見
せることを目的として番組を
作るべき。全体のバランスの
中で、趣味の世界で作ってい
る番組が多いのは気になる。
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
レイティング、Vチップは、
かえって青少年を刺激するこ
とになるという逆効果もある
ことからやらない方がいいと
思う。          
各国におけるVチップのメリ
ット・デメリットを見極める
べき。          
             
             
個人が判断していく土壌を作
るのが大事。       
             
             
             
             
             
             
             
             
青少年問題は放送の問題とい
うよりは文部省等他省庁の問
題。           
             
             
             
             
             
             
             
亀村哲郎 
NHK番組
制作局チーフ 
・プロデュー 
サー    
影響は明らかにある。情操的
な部分に刺激を与えている。
             
             
             
制作者が良心を磨くことが必
要。既にかなりのチェック 
機能は働いていると思う。 
             
             
             
             
             
             
             
全部ふたをするのはやや問題
がある。これは家庭にまかせ
る問題。誰がどう線引きをす
るかはかなり難しい。   
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
重延 浩 
テレビマンユニオン
代表取締役
     
     
     
     
     
     
     
     
子どもの判断能力が伴ってい
ない状態で、家庭内に選択の
方法がないまま、情報がどん
どん入ってくることは危険。
             
             
             
             
             
             
             
放送する人、番組を作る人が
理性的判断を行うことが必 
要。それが出来ない人は放送
に関わるべきではない。  
自主規制をするべき。   
ある程度の公共性をもって欲
しい。          
自主規制としては、一番は放
送人として、いい人を集める
こと。          
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
レイティングは、放送事業者
が自主的に実施したり、視聴
者が自主性をもってやるのは
いいのではないか。ただし、
レイティングは必ずしもすべ
て正しいということは絶対に
ないし、結論はもてない。 
表現の自由は、規制されるべ
きものではないが、どこでど
ういう形で見られるかによっ
て規制される。      
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
堀川   
とんこう 
(株)カズモ
プロデューサー 
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
テレビは、学校や家庭の肩代
わりをして学習させている面
もある。         
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
テレビの自己像、日本におけ
る大衆文化としてのテレビに
ついて、テレビ自身が考察し
直す必要がある。自主的な水
準のアップを考えるべき。 
視聴率は仕方がないとして上
質の芸能を提供することを心
がけるべき。       
大事なのは、作り手側の倫理
観であり、社員教育。経営者
がもっと、テレビの自己像を
社員に伝えるべき。    
             
             
             
             
             
放送時間帯は、自主規制をす
べき。家族視聴時間帯を考え
てもいいのではないか。  
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
Vチップでいくら見せないよ
うにしても、結局、他のとこ
ろで触れることになる。  
大前提として表現の自由の問
題がある。        
米国の調査結果を聞くと、日
本でもやるべきとは思わな 
い。           
レイティングは、かえって子
どもを刺激するのではない 
か。           
レイティングの指導要領を正
確に作るのは無理。レイティ
ングを行うことによりスポン
サーがつかなくなり、結果的
に作り手側の表現の自由が束
縛される。        
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
視聴者がどんどん文句をいう
べき。          
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             



【ジャーナリスト】
(敬称略)
名前
放送が青少年に与える影響
放送事業者に期待すること
放送時間帯の制限について
Vチップ・レイティングについて
メディア・リテラシーについて
その他
天野祐吉 
広告批評代
表    
     
     
     
自分の持っている感覚を拡大
してくれるほか、クールに現
実を見抜くプラス面と現実と
の違いをわかりにくくする価
値の低い番組がある、といっ
たマイナス面がある。   
報道番組の質と量をもっと充
実させるべき。      
基本的に何らかの対応は必 
要。           
             
             
             
             
             
             
             
             
この国の現状では、Vチップ
を導入しても仕方がない。 
             
             
             
             
受けてのみならず、送り手に
なる経験をさせればいい。 
(例えばCM作りをする実 
習)           
教育の中にも映像の文法に関
するものを取り入れるべき。
ヒトラーは、テレビがあれば
あそこまで扇動できなかった
だろうといわれている。ラジ
オは民衆を扇動することがで
きるが、テレビはできない。
             
原 寿雄 
元共同通信
社社長  
     
     
     
     
     
     
     
     
テレビがどのように子どもに
影響を与えているかを実証す
るのは難しい。      
良い影響も悪い影響もあると
推測される。       
調査が不十分。      
             
             
             
             
             
徹底して業界が自主規制を議
論すべき。        
放送基準に「青少年保護」に
関する章を設け、そこで暴 
力、犯罪、性について規定す
るべき。         
社内チェック機関の充実強化
             
             
             
             
性的シーンは夜10時以降に
するなど、時間帯規制をガイ
ドラインのような形で業界と
して自主的に導入すべき。 
             
             
             
             
             
             
             
Vチップ導入は反対。   
Vチップの導入をすると親が
子どもの教育をテレビに任せ
る。制作者側の倫理低下も心
配。           
まず、事前表示制度を導入す
べき。          
公権力の強制でなければ、レ
イティング、Vチップと表現
の自由の調和は図ることがで
きる。          
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
英国、米国のように良い番組
の作成を義務付けることに目
を向ける必要がある。積極的
に良い番組作りを促す措置。
第3者機関の設置。苦情対応
機関が有効に機能しないとき
は法的規制もあり得る。  
             
             
             
             





資料13 海外調査報告書概要


【調査概要】

1. 調査目的                               
  米国及びカナダにおけるレイティング及びVチップの導入経緯、中でも表現の
 自由の問題との関係等、導入に当たってどのような論議があったか等につい  
 て、関係者へのヒアリングを通じて調査する。また、既に提供が始まっている 
 レイティング、及び導入が決まっているVチップについて、どのような反響や効
 果があるか(期待されるか)、といった点についてもヒアリングを行う。   
                                     
2. 訪問機関                               
 (米国:レイティング及びVチップ推進の立法・行政機関)         
  ○マーキー議員事務所                         
  ○FCC                                
 (米国:放送業界)                           
  ○NAB                                
  ○ABC                                
 (米国:法学者)                            
  ○ジェローム・バロン教授(ジョージワシントン大学ロー・スクール)   
  ○ジャック・バルキン教授(エール大学ロー・スクール)         
 (米国:その他、中立的メディア教育機関や子供向け番組制作会社、Vチップ製
 造会社)                                
  ○メディア教育センター                        
  ○Children's Television Workshop                   
  ○ペアレンタルガイド社                        
 (カナダ:レイティング及びVチップ推進の行政機関、及び放送業界)    
  ○CRTC                                
  ○AGVOT                               
                                     
3. 実施期間                               
  1998年9月14日〜18日                         
                                     
4. 調査担当                               
  浜田座長代理、平井・放送行政局専門調査官、他2名           


【結果概要】
 以下においては、主なヒアリング項目である下記3点に関する把握内容をとりま
とめる。                                 
  1. レイティング・Vチップと「表現の自由」に関する論議        
  2. レイティング及びVチップ導入の経緯・背景             
  3. レイティングへの評価・効果                    

1. レイティング・Vチップと「表現の自由」に関する論議

(1)米国における表現の自由の幅広い保障
  アメリカ合衆国憲法の修正一条で保障されている表現の自由は、民主主義の政
 治過程の確保や個人の自己実現のために必要であるなどの理由により、「優越的
 地位」をもつとされ、諸自由の中でもとくに手厚い保護が図られている。このた
 め、表現の自由を内容面で規制する法律について裁判所でその合憲性を審査する
 にあたっては、とくに「厳格な審査」が行われる。この「厳格な審査」で求めら
 れるのは、次の2点である。
 ・規制が「どうしても必要な政府の(公共の)利益」に奉仕するものであること
 ・規制手段がこの目的のために「狭く限定された」ものであること
  こうした考え方の結果として、アメリカにおける表現の自由は、世界でもっと
 も幅広い保障を受けている。ただし、放送における表現の自由は、放送の家庭へ
 の格別の浸透力などを理由に、一般的な表現の自由に比べてより強い制約を受け
 ている。

(2)米国で放送時間帯規制が合憲であるとする裁判例
  品位を欠く(indecent)内容の放送は、午後10時から午前6時までの間にの
 み認められており、「セイフ・ハーバー(安全な港)」規制と呼ばれる。この規
 制については、1995年の連邦控訴裁判所判決で、子供を保護することは「ど
 うしても必要な政府の利益」であり、かつ、規制手段がその利益のために「狭く
 限定された」ものであるとして、表現の自由に反しないという判断を受けている。
 なお、この判決では、青少年保護のための規制が合憲であるためには「精神的な
 害悪を科学的に証明することが要求されると、最高裁判所が判示したことはな
 い」、とも述べられている。

 (参考)争点になったのは、Public Telecommunications Act of 1992の16条
    (a)項であり、判決名は、Action for Children's Television v. FCC 
    (ACTIII), 58F.3d 654 (D.C.Cir.1995) (en banc)である。 この判決に
    対して上訴がなされたが、最高裁は不受理の判断を行っている(116 S.Ct.
    701(1996))。 

(3)米国でレイティング・Vチップ規制が合憲であるとする憲法学説
  直接にこの問題について判断を下している裁判例はない。しかし、有力な憲法
 学者は、上記放送時間帯規制に関する控訴裁判所判決も引きながら、こうした規
 制を合憲とみなしている。
  その代表的なものとして、憲法学者で表現の自由に関する著述の多い、エール
 大学ロー・スクールのJ.M.バルキン教授1は、合憲であるとする理由とし
 て、:
 (a)1996年連邦通信法に定められたレイティング・Vチップ規制は、放送事業 
   者の任意的な対応を促すものであって、政府による事前抑制や言論の強制で
   はないこと、
 (b)レイティング・Vチップ規制は、「セイフ・ハーバー」規制にしたがえば放
   送時間が限定される番組についても、レイティングを付すことでいつでも放
   送できる可能性を与えるという点で、「セイフ・ハーバー」規制よりも  
   「(表現の自由に対して)より制限的でない」規制手段であること、
   を指摘している。
  なお、レイティング・Vチップ規制と表現の自由との関係を論じている憲法学
 者は多くないが、ほかの憲法学者もだいたい自分と同じように考えるであろうと
 いうのが、バルキン教授の意見である。
  また、やはり憲法学者で、放送規制に関する著述の多い、南カリフォルニア大
 学ロー・スクールのM.L.シュピッツアー教授2は、上記(a)の点については、
 「任意」の実施にあたって政府からの事実上の圧力が存在していることから政府
 の行為(state action)が存在するとするが、上記(b)の点について、やはり、
 レイティング・Vチップ規制は「セイフ・ハーバー」規制よりも侵害的ではなく、
 かりに「もっとも要求の厳しいレベルの審査」を行っても、それをパスするであ
 ろうと指摘し、合憲であるとしている。

 (参考)1 バルキン教授の論文(J.M.Balkin, MEDIA FILTERS, THE V-CHIP, AND 
     THE FOUNDATIONS OF BROADCAST REGULATION, 45 Duke Law Journal 1131 
     (1996))の全体の論旨は、レイティング・Vチップ規制が導入され視聴
     者の選択による番組視聴がきちんとできるようになれば、それによって
     子供を下品な番組等からブロックできるから、「セイフ・ハーバー」規
     制は撤廃されるべきであると主張する。ただ、レイティング・Vチップ
     規制が有効に機能するまでの期間は、両者の共存が認められるとする。
     2 Matthew L. Spitzer, AN INTRODUCTION TO THE LAW AND ECONOMICS 
     OF THE V-CHIP, 15Cardozo Arts & Entertainments Law Journal 429  
     (1997)


(4)実際に米国で放送事業者が憲法訴訟を起こす可能性、また起こしていたら勝訴
 できたか
  レイティング及びVチップについて、現在までにFCCは憲法訴訟を起こされてい
 ない。
  NABやABCといった放送業界自身、レイティング・Vチップが任意的措置とされて
 いる以上、憲法訴訟をおこしても勝訴の確証が得られないため、訴訟を起こすこ
 とは考慮しなかったとのことであり、今後も起こす計画は無いとのことである。
  また、FCC、マーキー議員事務所にとどまらず、バルキン教授や、ジョージワシ
 ントン大学法学部のバロン教授も、放送業界が、勝訴できる確証が無い状況で憲
 法訴訟を起こす可能性は、当初から非常に低かったとの見解である。

(5)レイティング・Vチップによる「表現の自由の間接的侵害」の可能性について
 の米国内における論議
  レイティング・Vチップ導入に伴い、広告主やローカル局、視聴者等からの要請
 によって、将来的には一定の内容の番組しか放送できないというような事態に陥
 った場合、これは表現の自由の間接的な侵害ではないかという論議がある。
  しかしながら、この点については、実際に結果が明らかになるまでに時間がか
 かることから、現時点で違憲と判断することはできないというのが、バロン教授、
 マーキー議員事務所、それに放送業界自身(ABC)の意見である。
  一方、エール大学のバルキン教授は、仮にそのような事態になったとしても、
 違憲問題を引きおこすのはそのような働きかけを放送事業者に行う広告主やロー
 カル局、視聴者なのであり、レイティングやVチップではないという意見である。
  また、放送業界(NAB、ABC)、FCC、マーキー議員事務所とも、そもそも実際に
 このような事態に陥ることはないだろうとの意見である。つまり、レイティン
 グ・Vチップによって、既存の規制(自主規制を含む)が緩和されて、より幅広い
 表現の自由が確保される可能性があると指摘している。

(6)カナダにおける「表現の自由」に関する論議
  カナダでは、米国と違って、「表現の自由」はほとんど争点となっていない。
  これは、1)カナダにおいてそもそも「表現の自由」が米国ほど強くは保障され
 ていないこと、2)カナダにおいてもレイティング・Vチップは業界の自主的な措置
 として進められていること、3)カナダでは米国よりもはるかに業界と行政が協力
 し合う風土があること、4)導入前にカナダ全土で開かれた公聴会等を通して国民
 の間で十分オープンな議論がつくされ「表現の自由も大事だがレイティングとVチ
 ップは子供の保護のための制度であり、必ずしも表現の自由を侵害するものでは
 ない」との一般的理解が得られたこと、5)カナダの制度は暴力のみを対象として
 おり米国のように幅広く性表現や言葉使いまで対象にしていないこと、等が主な
 理由と考えられる。

2. レイティング及びVチップ導入の経緯・背景

(1)米国
  NAB、FCC、マーキー議員事務所等の関係者は、米国におけるレイティング・Vチ
 ップ導入の経緯について、デジタル放送の周波数の有料化とのトレードオフとい
 った事実関係は無かったとしている。その理由として、NABでは「ケーブルテレビ
 業界や映画業界(制作者)等、デジタル放送の周波数とは直接関係のない関係者
 もレイティング・Vチップ導入に賛成した」ことを挙げている。
  NABでは、放送局がレイティング・Vチップを受け入れるよう政治的な力が働い
 たことには言及しているが、上記のように具体的にデジタル放送の周波数問題と
 のトレードオフについては明確に否定している。
  また、放送業界としても視聴者がこれらの制度を実際に要望していると認識し
 ており、このような要望に応えるために導入に踏み切った側面もあると、放送事
 業者(ABC)自身述べている。

(2)カナダ
  カナダでは、1990年代初頭より放送局が暴力シーンに関する自主規制(業界
 ルール)を制定しており、各事業者とも同自主規制を遵守していた。しかしなが
 ら、同自主規制によりカナダの放送事業者が放送できない番組でも、米国のCATV
 を通してカナダの視聴者は視聴できるという状況が放置されており、このような
 状況を改善するため、1993年からレイティング・Vチップの制度策定が開始され、
 1994年にはテスト、1995年には公聴会が開催されるなど、米国よりも先行してい
 た。
  しかしながら、カナダは米国のテレビ放送の影響を大きく受けるため、米国の
 制度が定まるまで自国の制度を決定しなかったため、レイティング自体は1997年6
 月から導入されたものの、Vチップの信号についてはまだ発信されていない。

3. レイティングへの評価・効果

(米国)
  放送事業者あるいはFCCに届いた、レイティングに関する視聴者からの苦情を含
 めた反応は、現在のところ少ない。
  現在までに届いた苦情は、各放送事業者間におけるレイティングのばらつきに
 関するものがほとんどである。これはNABやFCC、またマーキー議員事務所でも問
 題として認識している。つまり、同じ様な内容の番組が、局によって異なるレイ
 ティングを付与されているという点である。
  なお、レイティングに関する苦情が少ないということは、レイティングに問題
 が無いということを意味するのではなく、視聴者がレイティングに無関心だから
 ではないかとNABでは指摘している。しかしながら、マーキー議員事務所では、そ
 もそもレイティングを積極的に活用してもらいたい層(小さい子どものいる家
 庭)が、それほど多いわけではないのだから、それほど大きな反応が来なくても
 当然と考えている。一方、放送局自身(ABC)も、レイティングへの反応が少ない
 ことは、放送業界がレイティングについての視聴者への周知を怠ったからではな
 いかと指摘している。
  現在のところ、FCCやNAB、放送事業者等において効果測定を実施する計画はな
 い。

(カナダ)
  レイティングに関する苦情は、Canadian Broadcast Standard Council、あるい
 はCRTCで受け付ける体制が取られているが、現在までに苦情を含めた反応はあま
 り無いとのことである。しかしながら、放送業界がCRTCと共同で導入前に実施し
 た世論調査や、各地で実施したテスト世帯における反応では、視聴者はこれらの
 制度を支持するとの結果が得られている。




資料14 英国の報告書「暴力と視聴者」(概要)
                 (仮約)


                暴力と視聴者

       テレビにおける暴力に関する共同作業パーティによる
                報 告 書


             VIOLENCE AND THE VIEWER
                Report of the
        Joint Working Party on Violence on Television
                  1998


               英国放送協会(BBC)
              放送基準委員会(BSC)
            独立テレビジョン委員会(ITC)


                 概  要


背景

1. 1996年12月に、当時の文化大臣との会談の後、BBC、ITC、およびBSCの会長は、
テレビ暴力に対する視聴者の懸念に対処するためのアクション・プログラムに合意
した。

2. 1997年1月には、BBC、ITC、BSCは、テレビ暴力のための共同作業パーティ
(WP)を形成し、同WPが中立的立場の委員長の下で、アクション・プログラムの諸
手続きを進めることに合意した。その目的は、BBC-ITC-BSCの番組規準の基盤である
各種基本法則、及びその中でも特に番組編成及び放送時間制限に関する方針の視聴
者への周知・教育、それに放送局が視聴者のために番組情報を事前表示するシステ
ムの改善について検討することであった。

3. このように、女王との特許状による責務を負うBBC、独立テレビ局の監督を行う
ITC、そして双方のセクターに対する助言機能を担うBSCが、共同でプロジェクトを
組むのは初めてのことである。

4. WPは、1997年4月から1998年4月までに12回にわたって会合を開いた。さらに、
WPは検討内容を細かく定義付けた。すなわち:
○テレビ暴力問題を検討するにあたり、
  * 既存の研究結果
  * 必要に応じて実施する追加的研究
  * 既存の行動規準
  * 英国内外で放送局によって採用されているその他の対策
 を通じて行うこと。
○視聴者への警告と教育のためのさまざまな方策を検討するにあたっては、
  * 既存の境界時間政策の再審査
  * 番組表、予告編、公告、シーファックスおよびテレテキスト、そして番組
 レーティングシステム
  * 既存の放送局の活動に関するより多くの情報を入手可能にすること
  * 学校におけるメディア教育、および父母と子供に対するメディア教育の強
 化を通じて行うこと。
○国務大臣に提出し、さらに一般に公表するための、レポートおよび共通原則声明
 を発表すること。

5. WPは、地上波、ケーブル、衛星チャンネルの各代表者と、2回に及んで会合を
開き、調査結果、視聴者への情報提供および教育に関する方策、および共通原則声
明の案文に関して議論を行った。しかしながら、このレポートは、BBC、ITCおよび
BSCが、規制及び助言主体としての範囲内で合意された内容が報告されているもので
ある。


イントロダクション

6. 暴力は社会に於ける現実である。暴力が社会および世界に存在する限り、テレ
ビ番組でも事実とフィクションの双方からそれを反映し、報道するべきである。こ
れを行わないことは、社会に対する非貢献(disservice)となってしまう。

7. しかし、暴力の描写のされ方が一般の人々の懸念となることは当然のことであ
り、したがって、英国における放送行政当局は、そのような描写に対する明確なガ
イドラインを確立するため、永年にわたり懸命に努力をしてきた。彼らの目的は、
正当な表現の自由と、社会、特に若者の保護との間の適切なバランスをとることで
あった。

8. このバランスを達成することは、テレビ番組が多様化されるにつれて困難にな
ってきた。そもそも地上波をベースとした大衆チャンネル向けのアプローチは、
ケーブルや衛星の登場により多チャンネルに進化した環境、即ち有料放送、ペイ・
パー・ビュー、インタラクティブ・サービスや高度に細分化された市場といった環
境には不適当な可能性がある。

9. したがって、WPは、すべてのサービス提供者に共通して適用可能な同一ルール
の作成が可能という考え方は、除外することにした。しかしながら、WPは、共通原
則声明を発表し、主張するにはふさわしい時期であると強く確信している。この声
明とは、現在利用可能なサービス領域、及びサービスの更なる分散が進むデジタル
社会におけるサービス領域の両方における、編集上の意思決定を支援する理念面及
び実務面における合意基盤を提供する。

10. この共通原則声明には既存の放送局が同意するが、WPは、既存の放送局と同様
に、放送業界への新規参入者も同声明への署名が要求されるべきと推薦する。


研究結果とその意義

11. WPは、脱感作、犯罪に対する恐怖、および暴力的行為の助長などを含め、画面
における暴力を取り巻くさまざまな懸念について再検討を行った。WPは、スクリー
ンと視聴者との関係は複雑かつ可変的であるとの従来からの認識を強くした。多く
は個人的な経験や見解、情報番組かフィクションかといった番組の性質、及び視聴
者の視聴対象に対する感情移入度などに依存する。

12. 昨年行われた調査はこの見解を指示するものである。この調査は更に、視聴者
が事実に基づく暴力と、フィクションの暴力とを明確に区別していることを示唆し
ている。人々は、前者の暴力を、世の中で何が起こっているかについて理解するた
めに見る必要があると感じている一方で、後者の暴力については、見ても見なくて
も良いと感じている。

13. 調査によると、憂慮すべき暴力というのは、見るものが実感を持つような、リ
アルで無情なものである。多くのアクション映画に見られる演出された暴力は、家
庭での場面で描かれる個人的、リアルかつ残酷な暴力よりも、衝撃度は低いと考え
られている。

14. WPは、今後も調査を続けることが必要と信じている。調査は、変化する視聴者
の態度を観察し、視聴者の懸念に対応するような規制の手がかりを、意思決定者に
提供するためのものである。

15. したがって、WPは、ここで報告されているシェフィールドとリーズの研究で始
められた、業界による共同アプローチを支持する。また、各放送局に対して、引き
続きBBC、ITC、BSCと共同で作業を行い、暴力の再定義と、テレビシーンにおけるふ
さわしい暴力描写とそうでないものの間の境界に関する研究を行うことを促すもの
である。


視聴者のための情報

16. WPは、視聴者が、視聴前に、十分な信頼性のある情報を与えられることが決定
的に重要と考える。これによって、視聴者は、家庭で何を視聴するかについて、情
報に裏付けられた選択を行うことが可能になる。WPは、放送スケジュールに関する
情報、及び個々の番組のコンテントに関する情報の、現在の提供状況をレビューし、
番組分類に関する他のシステムの利点について議論を行った。

17. 放送局が、暴力の描写に関する意思決定を行う際には、現在の規約コードおよ
びガイドラインの遵守を確実にするため、厳密な手続きを踏んでいるという現状が
再確認された。特に、問題を生じる可能性のある映像(difficult material)につ
いては、境界時間のコードが遵守されているが、これは若い視聴者を保護する上で
確立された手段である。ペイパービューや(ニア)ビデオオンデマンド等の新しい
サービスは視聴者との間の新たな関係をベースにしており、午後9時よりも早い境界
時間を許可される可能性もあるが、境界時間コードの遵守は今後も継続すると期待
される。

18. 10人中9人の親が −すべての視聴者での割合もほぼ同率であるが− 英国
の放送局による、この家族視聴政策について知っている。WPは、特に弱い立場にあ
る視聴者に対する大衆の懸念は、更なる情報提供と教育による同政策の維持・強化
を通じて、最善に対処できると信じている。したがって、WPは、これらの政策を適
用しているすべての放送局に対し、放送のプラットフォームが何であれ、スクリー
ン上で境界時間についてのメッセージを伝え、強化し、それを厳正に守っていくと
いうことについて、さらに踏み込んだ手続きを踏むよう要求する。

19. 視聴者は、個別の番組に関するほとんどの情報を、番組表や文字放送サービス
から入手する。WPは、放送局があらゆる種類の番組表提供者と、個別の番組に関す
る情報の有用性を高め、また境界時間についての情報をも含めるよう協力し合うよ
う推薦する。

20. デジタル環境においては、電子番組ガイド(EPG)がテレビサービスへのアク
セス手段かつ番組内容に関する情報源になるであろう。放送局は、EPGが潜在的に有
害な題材に関し、視聴者にとって適切なガイダンスを確実に掲載することを遵守す
る。

21. 番組の内容に関する情報は、予告や放送中のアナウンスおよび警告によっても
提供される。WPは、数多くの予告を審査した結果、それらは概ね番組の性質を伝え
ており、若い視聴者への誘惑とはなっていないと判断した。しかしながら、予告と
いうものは本来プロモーションのための手段であるので、問題のある可能性のある
コンテントに対してのアドバイスを提供するという面では、限界がある。

22. 一方、WPは、放送中のアナウンスおよび警告を重要視している。というのは、
それらの一部は、視聴者にとって有害であったり懸念の対象になるような題材に関
し、より明確に情報を認識しやすくすることができるのである。WPは、放送局に対
し、視聴者へのアドバイスの量を増やし、明瞭さを高めるように努めることを要求
する。

23. 放送局は、WPとの間で議論になった事項の中で、文字放送の活用について検討
を行っている。文字放送は、視聴者に対して言葉による警告を強化し、参考となる
情報を常時提供することができる。WPと、ITC、BBC、チャンネル4、チャンネル5、
およびBskyBは、関連する文字放送事業者の間で、これらのサービスの導入について
協動することで合意に達した。また、文字放送を実施しているその他全ての英国の
放送局に対しても、この提案を採用するよう要求する。

24. WPは、他の国々で採用されているさまざまな分類システムについて検討した。
これらのシステムは、最終的にはVチップまたは類似の選択的な番組遮断機能と併用
されることになる。これらのシステムについては欠点が指摘されたが、その中には、
一貫して信頼性ある分類を提供することができないという点も含まれていた。また、
子供は技術への順応が早いため、子供が不適当な番組題材へアクセスすることを防
ぐことが果たして可能かという疑問も投げかけられた。WPは、Vチップやその他の父
母による管理装置は、多チャンネル・デジタル環境における有害情報の管理という
複雑な問題に対する、不適切な“その場しのぎの対処療法”でしかないと信じるに
至った。また、この種のいかなる電子的方法、例えばEPGと父母管理装置の組み合わ
せによる特定チャンネルへのアクセスといった方法については、英国での導入後に
適切に評価されるべきであると主張する。

25. デジタル環境においても、視聴者の大多数は当分の間、主要な放送局によって
提供される、予め決められた編成の番組を視聴し続けるであろう。しかしながら、
新しいデジタルサービスの数や利用者が増加するに伴い、本レポートで挙げた問題
は定期的に再検討する必要が生じると、WPは考える。WPは、今回のイニチアチブを
提案した、今回の協力体制が今後も継続されることを推薦する。これにより、放送
環境の変化に伴ってテレビ暴力の新たな懸念が生じても、対応が可能となる。


メディア教育の役割

26. 21世紀の英国の視聴者にとっては、今までと比較にならないほど選択の幅が
広がることになるであろう。父母や保護者に家族が見る番組の管理を可能にするた
めには、第三者による規制、または自己規制、情報提供、あるいは選択的遮断装置
などの活用も可能だが、これらの手段が将来的にどれだけ頼りになろうと、テレビ
放送を見ることに関しての、早いうちからの適切かつ批判的視聴スキルを身に付け
るということは、かなり遅れている状態である。

27. 英国ならびに他国の調査からは、教育プロセスに力を入れることが緊急に必要
であるという結果が出されている。従って、WPは、特に若者向けのメディア教育の
ための現行の行動を更に進展させ、また国家戦略を立案するよう、利用可能なすべ
ての手段を使うように、全ての関係者に対して協力を要請する。またWPは、規制当
局や放送局、および番組制作者から成る業界グループをまず設置し、このグループ
を通じて適切な方針を策定したり、教師、父母および政府との間に適切な協力関係
を築くことを助言する。

28. WPはまた、このような戦略の立案にあたっては、映画、ビデオおよび類似のメ
ディアにおいて同様の教育的な目的を持って係わっている全ての関係者にも関与し
てもらうことを推薦する。このような関係者達は、この問題に貢献可能な業績や経
験を積んでいるからである。

29. 小中学校、及び高等学校の教師達も、このような戦略立案の初期の段階では関
与すべきである。この戦略が施行され、子供達が正しいスキルを得ることを補助す
る上で、教師達の子供たちに及ぼす影響は、中心的な位置を占めることになる。同
様に、この戦略の目的の実現のためには、子供の父母および保護者も決定的な役割
を果たすであろう。

30. WPは、関係する要素を全て網羅するためには、関係者達と協力するアプローチ
が欠かせないと結論づけた。したがって、WPは、提言された戦略とさまざまな関係
者との整合を図るため、また適切な教育課程の実現が確保されるためにも、政府の
果たすべき役割は明確に存在すると考えている。