第1章 目的

 高齢化の急速な進展等の社会状況の変化、情報通信技術の進展を背景に、
高齢者・障害者の生活の質の向上を図る手段としての情報通信の利用が注目
されている。現在、高齢者の健康データを福祉関係機関等に送信し、健康管
理を行っている例、パソコン通信を利用し、障害者間又は障害者とその他の
者との間で情報交換を行っている例、高齢者を主たる構成員とし、パソコン
通信等によりお互いの交流を図っている団体を自主的に運営している例など、
全国各地で様々な取組が行われている。しかしながら、これらは一部の先進
的な取組であり、本格的な普及に至っていないのが現状である。
 また、こうした高齢者・障害者福祉分野における情報通信の利活用の在り
方については、これまで様々な観点での検討が行われてきた。
 しかし、これらは、実験主体等がそれぞれの立場から個別に調査を行って
いる場合が多く、また、本格的な普及に向けた課題の抽出とそれへの対処方
策等について総合的に検討した例がないため、情報通信の利活用の在り方、
その効果等が必ずしも明らかになっていない。
 そこで、今般、高齢者・障害者の福祉の増進に有効な情報通信システムを
ライフサポート(生活支援)情報通信システムと定義し、郵政省、厚生省が
共同で、本システムの在り方、発展の方向性、普及方策をその実現方策につ
いて検討を行うこととした。
 具体的には、本システムの先進的な事例、海外の動向について総合的な調
査を行うとともに、当該分野における情報通信の利活用の意義について検討
し、これを踏まえ今後のライフサポート(生活支援)情報通信システム発展
の方向性を予測し、その普及方策と国が果たすべき役割等について検討、提
言を行った。
 本調査研究により、情報通信の活用は、高齢者・障害者の方々の自立・社会
参加とそれを通じた生活の質の向上に極めて有意義であることが明らかになっ
たところであり、本調査研究での提言の実行等により、今後高齢者・障害者の
生活に情報通信システムが根付き、その活用により、これらの方々が健康に、
或いはそれ以外の者と同等に、生きがいをもち、安心して過ごせる社会を実現
していくことが望まれる。



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