平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

第3節 電子政府【要旨】

 電子政府の実現へ向けた基盤整備として、国の行政機関では「行政情報化推進基本計画の改定について」(平成9年12月20日閣議決定)及び「e-Japan重点計画」(平成13年3月29日IT戦略本部)に基づき行政の情報化を推進しており、また地方公共団体に関しては平成12年8月に自治省(現総務省)の「情報通信技術(IT)革命に対応した地方公共団体における情報化推進本部」から「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」が各地方公共団体に示されているところである。国の行政機関では、平成10年末まで本省庁において1人1台パソコンの整備を達成したところである。地方支分部局等を含む国の行政機関全体(国立大学を除く)では、職員1.4人に1台の配備状況となっており、引き続き配備を進めることとしている。また設置されたパソコンのおよそ3/4がLANに接続されており、ネットワーク化が進展している。地方公共団体においては、市町村ではパソコン1台当たりの職員数が2人以上と国の行政機関に比べ後れが見られるものの、平成10年度との比較では2倍前後の整備水準となっており、また都道府県ではパソコン1台当たりの職員数が1.3人と配備は着実に進展している。さらに、導入されたパソコンについても単体利用が年々減少しており、全体の60%以上が何らかの形でネットワークを形成している。

 また、行政サービスの向上を目的とした国民(住民)・企業と行政機関との間の情報化においても、国の行政機関13府省庁をはじめ、都道府県、政令指定都市ではホームページの開設を全て完了しており、ホームページを活用した行政情報の提供を進めている。国への申請・届出等手続約1万件のオンライン化については、実質的に全ての手続を、平成15年度のできるだけ早期にインターネット等で行えるように各種取組を進めており、平成13年度早期には、各個別手続のオンライン化実施時期の前倒し等の観点から、既存のアクション・プランを見直し、新たなアクション・プランを策定することとしている。また、自治事務等のオンライン化に関しても平成13年度早期にアクション・プランを策定することとしている。

 「電子政府に関する調査」によると、ウェブ上のアンケート調査に回答した日常的にインターネットを活用している利用者においても、電子政府についてある程度知っている人は全体の1/3程度にとどまっており、認知度は必ずしも高くないと言える。また、行政機関のホームページについて「日常的・定期的に見ている」と答えた回答者は、国の行政機関、地方公共団体ともに5%未満であり、さらにホームページの評価についても、不満を訴えている回答者が満足していると答えた回答者をおおむね上回る結果となり、今後より利用者の視点に立ったホームページの運営が望まれる。

 一方、国民・住民の電子政府に対する期待については、行政の利便性向上(「手続や予約等が自宅や職場から何時でもできて便利になる」)が7割以上の回答を集めているほか、特に電子自治体に関して各種申請・届出等の身近な行政サービスに対するニーズが高くなっていることなど、国民・住民の期待感やサービスニーズを踏まえて今後の取組を進めることが重要である。
 我が国においては、開かれた行政の実現、行政情報の有効活用の観点から、「行政情報の電子的提供に関する基本的考え方(指針)」(平成13年3月29日行政情報化推進各省庁連絡会議了承)を策定したところであり、各省庁は同指針に沿って、平成13年度早期に「電子的提供の推進に関する実施方針」を策定し、行政情報の電子的提供を推進することとしている。また、平成13年4月から電子政府の総合窓口システムの運用を開始したところであり、同システムにおいて、各省庁のホームページに掲載されている情報、行政文書ファイル管理簿に掲載された情報、行政手続の案内情報等を提供するとともに、法令データのインターネットでの検索を可能としている。

 海外においても、我が国と同様に行政事務の効率化、国民への行政サービス向上を目指した電子政府実現への取組が推進されているが、その特徴的なものとして行政ポータルサイトの開設が挙げられる。中でもイギリスにおいて2000年12月から試験運用が開始されている行政ポータルサイト「ukonline」では、パスワード入力によって個々の利用者を特定し、事前に登録されている居住地域情報などからその人のサービスニーズに即した情報提供が可能となっている。ukonlineでは、国、地方を問わず全行政機関の提供する情報が一元的に検索・入手が可能であるほか、認証システムの活用により、ukonlineにアクセスすることで全ての行政サービスを受けられ、単に行政情報の提供窓口としてだけでなく、インターネット上の本格的な電子政府として先進的な取組となっている。

 


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