平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

第7節 人材育成【要旨】

 今後、高度情報通信ネットワーク社会への移行を進め、また、それを真に効果的かつ有効なものとするためには、その社会を構成し、あるいは支える人材の育成・確保が不可欠である。

 ここで、その人材としては、情報通信技術の専門家としてIT企業において研究開発に携わる人々のみならず、その他の一般の企業等において情報通信技術を様々な企業活動などに導入し、その組織や活動を活性化させていくのに欠かせない技術者の人々が挙げられる。しかし一方で、情報通信の活用による社会の活発化を図っていくためには、インターネット利用の普及・拡大等により各世代にわたる国民全体が高度情報通信ネットワーク社会に参加し、その恩恵を最大限に享受していくことが重要である。そして、このためには全ての国民の情報リテラシー向上に向けた取組が欠かせない要素となる。

 現在、学校教育の現場における高度な情報通信機能の導入や高齢者等を含む国民各層の情報リテラシー向上のための取組が官民において進められている。しかし郵送アンケート調査の結果では、インターネットを利用するに当たっての情報リテラシーについて、特に年齢別や世帯年収別などでみた場合に大きな格差が認められた。これは、比較的高い割合でインターネット利用がなされている20歳代の人や高年収世帯、パソコンやインターネット等に接することが多い勤務者・学生においては、内容的にもある程度使いこなしている状態に達しつつある一方で、特に高齢者等に対して引き続き積極的な取組が必要であることを示唆していると考えられる。その具体的な取組については、インターネット活用に必要な施策として、多くの人々が「無料で体験できる場所の充実」や「相談窓口や講習会の充実」の必要性を指摘しており、情報リテラシーが十分でない人々にとって、講習会等のインターネット利用が体験できる場の提供が引き続き図られていくことへのニーズ・期待感が大きい状況がうかがえる。

 また、上場企業等に対して実施された民間アンケート調査では、社内に情報通信ネットワークを構築し、運用するに当たってネットワーク担当の技術者が不足している状況と、今後の対応策として社内の再教育を進める方向性が多くの企業から示されている。

 このような技術者不足の状況や社内教育の重要性については、今回実施した企業に対するヒアリング調査においても指摘されており、また特にIT企業におけるUNIX技術者等の需要に対して、大学など教育機関からの新卒者の供給だけでは対応しきれない状況にある。

 企業等においてそのネットワーク資源を運用・管理する優秀な人材の育成・確保が急ぎ求められていることを踏まえ、国においてもIT分野の専門的知識及び技能の向上を目的とした人材研修事業を実施する団体に対し財政的援助を行うなど、企業等のIT化を支援しているところである。

 


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