平成13年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

12 成層圏プラットフォームの研究開発

次世代情報通信基盤の実現のために

 成層圏プラットフォームは、気象が比較的安定している高度20km程度の成層圏に通信機材等を搭載した無人の飛行船を滞空させ、全国どこでも超高速インターネットやマルチメディア移動通信を利用可能とするもので、新たな通信インフラとして早期の実現が期待されている。また、観測センサー等を搭載することにより、地球観測にも利用可能となることから、幅広い用途への応用も期待されている(図表1))。
 そこで、総務省及び文部科学省では、成層圏プラットフォームの早期実用化を目指し、平成10年度より産学官共同で研究開発を行っている(図表2))。
 このうち、総務省は、通信・放送及び追跡管制システムの研究開発を担当し、通信・放送機構の直轄研究により研究開発を実施しているところである。
 追跡管制技術では、これまで追跡管制システムの基本設計、システムの要素技術研究、風予測ソフトウェアの開発を、通信・放送ミッションではシステムの要素技術研究を、それぞれ行ってきた。平成13年度には、追跡管制技術においては風観測・予測システムの構築等に着手し、通信・放送ミッションにおいては通信機器の設計・製作等に着手するなど、平成14年度以降順次実施される予定の飛行試験に向けて、各システムの開発、運用に取り組んでいく予定である。
 こうした研究開発の進展を踏まえつつ、成層圏プラットフォームを実用化する際に利用可能な周波数が分配されるよう、国際的な対応を推進している。平成9年に開催された世界無線通信会議(WRC-97)において、47/48GHz帯が成層圏プラットフォームの固定通信用として分配されたが、より経済性を有する実用システムの実現のためには、更に利用しやすい周波数を利用可能とするとともに、様々な業務用に利用可能とするよう、平成12年5〜6月に開催されたWRC-2000において様々な提案を行った。その結果、1)アジア・太平洋の12か国において固定通信用に31/28GHz帯を追加分配、2)IMT-2000の基地局としての利用が可能、3)他国との調整なしに簡易に導入する手続を今後検討すること等が決定された。

図表1) 成層圏プラットフォームの概念図
成層圏プラットフォームの概念図
図表2) 成層圏プラットフォームの研究開発スケジュール
成層圏プラットフォームの研究開発スケジュール

 


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