平成14年版 情報通信白書

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第1章 特集 IT活用型社会の胎動

1 情報化投資とマクロ経済

(1)情報化投資の動向と経済への影響

−情報化投資が我が国経済に与える影響は大きい

 我が国では、バブル経済の崩壊以降、企業はリストラ、ダウンサイジング等の取組を進めており、設備投資についても減少ないしは横ばいの傾向が続いている。他方、米国では1990年代に経済の持続的成長を実現しており、その要因の一つとしてインターネット等の活用が進展したことが挙げられている。
 そこで、本項では我が国における情報化投資及び情報通信資本ストックの動向についてマクロ経済学的な視点から現状を把握するとともに、情報化投資の増加、情報通信資本ストックの形成が我が国経済に与えた影響について、計量的な分析を行うこととする。

(1)情報化投資の動向
 我が国における平成12年の民間情報化投資(注1)は20.8兆円(対前年比21.7%増)と大幅に増加しており、情報化投資の水準は10年間で約2倍にまで増加している。また、民間設備投資に占める情報化投資の比率についてみると、平成4年頃から急速な伸びを示し、平成12年には23.5%(対前年比2.2ポイント増)と設備投資全体のおよそ4分の1を占めるに至っており、企業における情報通信資本の位置付けが高まっていることがうかがえる(図表1))。
 しかしながら、情報化投資の推移について日米で比較(注2)すると、平成2年から12年にかけて、米国では我が国を上回る情報化投資の伸びがみられ、投資が指数関数的に上昇しているのに対し、我が国では情報化投資額の伸びが米国と比べ相対的に低いものとなっている(図表2))。

(2)情報化投資の経済への影響
 既にみたとおり、我が国における情報化投資は、バブル経済の崩壊に伴い企業が設備投資を抑制する中、堅調に増加を続けており、平成12年には20.8兆円となっている。これらの情報化投資の増加は、パソコンや携帯電話等の情報通信機器の生産を拡大するとともに、それらを利用した通信サービスへの需要を高めるなど、情報通信産業の活性化に寄与することはもちろん、情報通信産業における生産、サービスの提供に当たって必要な部品生産を拡大させるなど、情報通信以外の産業にも大きな経済的影響を及ぼすものと考えられる。そこで、情報化投資を実施することによる我が国経済への波及効果を推計(注3)したところ、各産業に及ぼす生産誘発額は38兆6,159億円、創出される雇用は約149万人となり、情報化投資が各産業の生産や雇用を増加させる効果をもたらすものとの結果を得た(図表3)、4))。

 
図表1) 我が国における情報化投資の推移
図表1) 我が国における情報化投資の推移
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図表2) 日米における情報化投資の推移の比較(平成2年を100として指数化)
図表2) 日米における情報化投資の推移の比較(平成2年を100として指数化)
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図表3) 情報化投資の経済波及効果
図表3) 情報化投資の経済波及効果
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図表4) 情報化投資の各分野の経済効果一覧
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(注1) ここでは情報化投資を「情報通信ネットワークに接続可能な電子装置及びコンピュータ用ソフトウェア」と定義し、「電子計算機・同付属装置」、「有線電気通信機器」、「無線電気通信機器」、「ソフトウェア(コンピュータ用)」の合計としている。推計方法については、資料1-2-1、内訳については資料1-2-2参照
(注2) 米国における情報化投資の推計方法については、資料1-2-3参照
(注3) 総務省「平成7年産業連関表」をもとに、RAS法により延長推計した「平成12年情報通信産業連関表」を用いて推計

 

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