平成14年版 情報通信白書

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第1章 特集 IT活用型社会の胎動

4 情報通信ベンチャー企業の起業環境

(1)情報通信ベンチャー企業の役割

−ベンチャー企業が経済に与える影響は大きい

(1)ベンチャー企業が産業活性化に与える影響
 我が国においては、個人の消費や企業の設備投資の抑制、リストラの進行等による産業活力の低下が懸念されているところである。このような中、経済社会のダイナミズムの源泉であり、また経済成長はもとより雇用創出の原動力である起業に対する期待が高まっているが、中でも独自の技術やビジネスモデルを基礎とするいわゆるベンチャー企業については、経済の活性化に資するものとして高い期待が寄せられている。
 「グローバル・アントルプレナーシップ・モニター2001年調査」(ベンチャーフォーラム2002/3月号)(注1)では、起業家活動と経済成長との間には一定の相関関係がみられると報告されており、起業の活性化は経済成長に寄与するものと考えられる(図表)。また、米国では、シリコンバレーを中心に、ベンチャー企業が新たな技術やビジネスモデルを創出することによって経済全般に活力をもたらし、1990年代における経済の持続的成長に重要な役割を果たしたことが広く指摘されている。我が国においても産業活力を活性化し、持続的な経済成長を実現させるため、ベンチャー企業の育成は重要な要素の一つであると考えられる。

(2)情報通信ベンチャー企業の重要性
 ベンチャー企業の育成による経済的な効果を大きなものにするためには、より高い市場の成長が期待できる産業において、重点的な育成を図ることが効果的であると考えられる。
 平成7年から12年にかけての市場規模の推移を産業別にみると、情報通信産業は年平均成長率7.5%と、全産業中で最も高い成長率となっており、近年における情報通信産業の市場の成長率が高いことが分かる(2-1-1参照)。また、今後の市場の成長性について、「重点科学技術分野に関する調査(注2)」をみると、情報、通信、エレクトロニクス等の「情報技術系」の分野は、今後10年における重点科学技術分野の中でも、特に重視されている分野の一つに挙げられている。このように、産業の活性化、経済の持続的な成長を実現するため、ベンチャー企業、とりわけ情報通信ベンチャー企業の育成が重要であることがうかがえる。

 
図表 起業家活動の変化とGDP成長率の関係
図表 起業家活動の変化とGDP成長率の関係
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(注1) 「Global Entrepreneurship Monitor」は、アメリカのバブソン大学及びイギリスのロンドン・ビジネス・スクールの提唱で開始された、起業に関する世界各国の比較分析の調査研究。日本からの参加者である矢作教授及び磯辺教授においては、同調査をもとに「グローバル・アントルプレナーシップ・モニター」として発表
(注2) 第7回文部科学省技術予測調査「2030年の科学技術」(文部科学省科学技術政策研究所、財団法人未来工学研究所編)による

 

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