平成14年版 情報通信白書

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第1章 特集 IT活用型社会の胎動

(3)情報通信ベンチャー企業の育成に向けた課題

−「資金調達」や「販売・マーケティング」面の課題に対し、企業連携を活用して解決

(1)ベンチャー企業が抱える課題
 前項では、情報通信ベンチャー企業育成の重要性、また情報通信ベンチャー企業の特徴についてみてきた。ここでは、起業育成に当たって予想される様々な課題のうち、特に情報通信ベンチャー企業特有の課題、その取組状況について概観する。
 情報通信ベンチャー企業の創業時における課題は、「資金調達」が最も高く、次いで「人材確保」、「販売・マーケティング」となっており、非情報通信ベンチャー企業とほぼ同様の結果となっている。他方、創業後の課題についてみてみると、情報通信ベンチャー企業の抱える課題は、1位は「販売・マーケティング」、2位「人材確保」、3位「資金調達」となっているが、非情報通信ベンチャー企業については、 1位「販売・マーケティング」は変わらないものの、 2位「技術開発・製造」、3位「人材確保」となっており、情報通信ベンチャー企業においては「人材確保」が大きな課題の一つとなっている(図表1))。

(2)課題への対応
1)創業時の資金調達面への対応
 情報通信ベンチャー企業・非情報通信ベンチャー企業ともに、創業時における最も大きな課題は「資金調達」である(図表1)、2))。その対応策について内訳をみると、情報通信ベンチャー企業は、資金面の対応策として非情報通信ベンチャー企業に比べて「公的機関」や「エンジェル」、「ベンチャー・キャピタル」を活用する割合がやや高くなっている(図表3))。

2)販売・マーケティング面への対応
 情報通信ベンチャー企業の創業後の販売・マーケティング面における課題対応の特徴として、他企業との連携にみられるように、外部ネットワークを有効に活用していることが考えられる(図表4))。他方、望む支援策をみると、非情報通信ベンチャー企業に比べて「電子商取引の推進」、「情報通信費用の低減」、「ITを活用した支援ネットワーク」等、情報通信を利用した経済活動の推進や情報通信インフラ環境の改善等に期待する割合が高くなっている(図表5))。
 こうしたことから、情報通信ベンチャー企業育成支援策として、他の企業との連携を促進するためのマッチングやコーディネイト等の支援、また高速大容量の情報通信基盤を備えた(かつ安価な事業空間を備えた)インキュベーション施設の設置等が有効であると考えられる。

3)人材確保面の対応
 情報通信ベンチャー企業、非情報通信ベンチャー企業双方とも、創業後は自社の人材を育成して対応している割合が高い(図表6))。しかしながら、情報通信ベンチャー企業は「経営者の人脈」、「ベンチャー企業フェア等就職セミナーの活用」、「専門機関や派遣にアウトソーシング」によって人材面の課題に対応している割合が高いこと、また望む支援策として、「人材マッチング制度」に対し強い期待感を持っていることから、外部から既に技術を持った人材を取り入れることにより必要な人材を確保しようとする傾向にあり、そのためにネットワークを活用する傾向が強いと考えられる(図表7))。

 
図表1) ベンチャー企業の経営課題(複数回答)
図表1) ベンチャー企業の経営課題(複数回答)
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図表2) 資金調達面の課題(創業時)(複数回答)
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図表3) 資金調達面の対応策(創業時)(複数回答)
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図表4) 販売・マーケティング面の対応策(創業後)(複数回答)
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図表5) 販売・マーケティング面の望む支援(創業後)
図表5) 販売・マーケティング面の望む支援(創業後)
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図表6) 人材面の対応策(創業後)(複数回答)
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図表7) 人材面の望む支援(創業後)
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