平成14年版 情報通信白書

(2)利用促進に当たって必要と思われる条件

−60代以上ではキオスク端末の設置に対して大きな期待

　行政機関内部の情報化の推進等により、電子自治体の実現へ向けた基盤整備は着実に進展しつつあるものの、地方公共団体の電子化による行政サービスの質的向上を実現するためには、住民・企業におけるITの活用を促進することが必要となる。そこで、住民・企業に対して、電子化された行政サービスの利用を促進するに当たって必要と思われる条件について聞いたところ、住民・企業ともに「住民・企業のインターネット普及促進」(住民：60.1％、企業：50.7％)、「住民・企業のニーズ把握」(住民： 49.4％、企業：55.7％)、「セキュリティ基盤の整備」(住民：46.3％、企業：55.0％)、「ブロードバンドネットワークの整備」(住民：39.6％、企業：46.1％)の割合が高くなっている(図表1))。

(1)インターネットの普及促進
　上記のアンケート結果を踏まえ、ここでは、電子化された行政サービスの利用促進に当たって必要と思われる条件のうち、まず住民・企業におけるインターネットの普及促進についてみることとする。
　企業におけるインターネットの利用については、既に97.6％の企業がインターネットに接続しており、おおむね普及が浸透しつつある^(注)ものの、住民については全体として普及が進む中、依然として年齢等による普及の格差が生じており、普及促進に向けた取組の重要性が高いものと考えられる。
　そこで、住民が電子化された行政サービスの利用に当たって使用したいと考えるインターネット接続端末について聞いたところ、年代別にみると、20代から40代にかけては、「自宅のパソコン」を中心に、「学校や職場のパソコン」、「携帯電話・PHS」といった既存のインターネット接続端末をバランスよく活用することができる利用環境の整備を求めている一方、50代以上、とりわけ60代以上については、「キオスク端末」や「操作の簡単な情報端末」といった新しいインターネット接続端末への期待が高くなっている(図表2))。
　さらに、キオスク端末を利用したい場所について住民に聞いたところ、「コンビニエンス・ストア」(58.1％)の割合が最も高くなっている。また、キオスク端末に対する期待の大きい60代以上の住民が利用したい場所についてみると、繁華街や店舗等の民間施設の割合が全体と比較して低くなっている一方、市役所・役場等の公共施設の割合が高くなっている傾向がみられる。とりわけ、高齢者が多く利用すると考えられる市役所・役場の福祉施設では住民全体を10ポイント以上も上回っている(図表3))。

(2)住民・企業のニーズの把握
　キオスク端末の設置等により、インターネットの普及が促進された場合においても、電子自治体に対する住民・企業のニーズ把握が不十分では、利用者が望む行政サービスの提供を実現することは困難であり、結果的に電子化された行政サービスの利用が進まなくなることが懸念される。
　そこで、電子自治体の構築に当たっての住民・企業ニーズの把握状況について、地方公共団体に聞いたところ、既に一部の団体では、「アンケート調査を実施」(8.0％)、「研究会・懇談会等の開催」(7.0％)等による利用者ニーズの収集・把握が行われている(図表4))。今後はこれらの取組が他の団体においても積極的に推進され、住民や企業から寄せられたニーズ等に基づき、利便性の高い電子自治体が実現されることが望まれる。

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(注)企業のインターネット利用状況については、1-1-1参照