平成14年版 情報通信白書

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第1章 特集 IT活用型社会の胎動

2 ネットワークコンテンツに対する利用者ニーズ

−有料コンテンツの価格は「レンタル」と同等以下の水準を希望

 「ITと国民生活に関する調査分析」の結果によると、ブロードバンドを利用して受けられるサービスに対するユーザーのニーズは高まっていることが分かる(図表1))。いずれのサービスについても現在の利用状況に比べて高い利用意向が示されているが、特に「音楽や映画などをダウンロードして、好きなときに楽しめるサービス」や「インターネットならではの貴重なコンテンツを、好きなときに楽しめるサービス」については、7割以上の人が今後の利用意向を示しているなど、高品質なコンテンツを用いたエンターテインメント性の高いサービスに対する希望が強い。
 他方、総務省郵政研究所の行ったインターネット上での調査によると、映像・音楽コンテンツの有料での利用意向についてみると、「無料であれば利用したい」という回答が3割近くに上り、レンタルビデオやレンタルCD程度の価格以下ならば有料でも利用したいという意見が大半を占めている(図表2))。これは、インターネット配信されるコンテンツを利用する際の意識が、コンテンツを購入・保存するというよりも、コンテンツを借りる(「レンタル」)感覚に近いからであると考えられる。
 また、利用したいネットワークコンテンツ購入時の決済手段をみると、現在電子商取引等で多く用いられている郵便振替・銀行振込・クレジットカード等とともに、ネットバンクや電気通信事業者による課金代行といった比較的簡単な手続で少額の決済が可能な決済手段に期待が高い(図表3))。
 コンテンツ利用時の不安や不満を感じる点については、現状の回線速度に対する不満に次いで、「個人情報が漏洩しないか不安である」や「支払処理が正しく行われるか不安である」と回答した人が半数前後となっており、コンテンツを利用する際の購入手続等の手間に対する不満感や、魅力のあるコンテンツの不足感以上に、個人情報等への不安感が高いことには注目すべきであると思われる(図表4))。
 このように、インターネット利用者における魅力のあるコンテンツに対するニーズは高いものの、高額なコンテンツを購入するというよりも、安価で手軽に利用できるコンテンツへの期待が強い。また、その利用を妨げる原因としては、コンテンツを購入する際の個人情報保護等インターネット利用環境に関する不安が大きい。ネットワークコンテンツの流通を一層促進させ、ネットワーク社会を魅力あるものとするためには、魅力あるコンテンツを増やすとともに、インターネット利用者の不安感を取り除き、手軽で安全な決済システムを構築するなど、インターネット利用環境の整備を進め、コンテンツ流通のためのシステム・ルール等を確立していく必要がある。

 
図表1) ブロードバンドで提供されるコンテンツサービスの現在の利用状況/今後の利用意向(複数回答)
図表1) ブロードバンドで提供されるコンテンツサービスの現在の利用状況/今後の利用意向(複数回答)
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図表2) インターネットで配信される映像・音楽コンテンツに対する支払い金額の意向
図表2) インターネットで配信される映像・音楽コンテンツに対する支払い金額の意向
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図表3) 有料コンテンツを購入する際に利用したい決済手段(複数回答)
図表3) 有料コンテンツを購入する際に利用したい決済手段(複数回答)
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図表4) インターネットで提供されるコンテンツ利用時の不安や不満(複数回答)
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