平成14年版 情報通信白書

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第1章 特集 IT活用型社会の胎動

3 IPv6ネットワークでつながる情報家電

−家庭内ネットワーク環境の実現に向けて

 「情報通信分野の安全性と将来技術に関する調査」において、インターネット利用者を対象に、今後利用したいネットワーク端末について質問したところ、現在利用しているパソコン、携帯電話、PDAに次いで、遠隔操作が可能な家電やテレビという意見が多くなっている(図表1))。ユビキタスネットワークが実現されることにより、あらゆる場所で使えることとともに、あらゆる機器もシームレスにネットワークに接続される社会が登場することが期待されてきている。
 しかしながら、現在の標準的なインターネット・プロトコルであるIPv4(Internet Protocol version4)においては、インターネットに接続可能な端末の数は最大で232個(=約43億個)となっており、インターネットの利用者数が全世界で5億4,000万人を超えている現在、すべての家電をインターネットに接続するとIPアドレス(インターネット上に接続された機器を識別するための固有の数値)が不足することが懸念されている(3-3-1-(3)参照)。そこで、現在、IPv4から、次世代のインターネット・プロトコルであるIPv6(Internet Protocol version6)への移行が官民を挙げて進められている。IPv6への移行は、IPアドレスの枯渇問題などを解決するとともに、IPネットワークのセキュリティ向上等が実現されることから、「e-Japan戦略」においても、「インターネット端末やインターネット家電が普及し、それらがインターネットに常時接続されることを想定し、十分なアドレス空間を備え、プライバシーとセキュリティの保護がしやすいIPv6を備えたインターネット網への移行を推進する」ことが目標の一つとして掲げられている。
 IPv6の実用化に向けた研究開発については、我が国は世界に先んじて、様々な実証実験等も行われているところである。平成12年10月には、インターネットを21世紀の高度情報通信ネットワーク社会基盤として再認識し、IPv6による次世代インターネットの普及促進を図ること等を目的として、「IPv6普及・高度化推進協議会」が設置され、総務省もオブザーバとしてこれに参加している。同協議会においては、IPv6を利用した端末開発から、一般家庭を含むIPv6実証実験網構築までを総合的に実施する「IPv6インターネット実験網」が、世界で初めての大規模実証実験として行われた(図表2)、3))。
 また、このような家庭内のユビキタスネットワークに利用される通信規格として、無線LAN技術とともに、Bluetooth及び電力線搬送通信に関する技術開発への期待が挙げられる。Bluetoothは近距離において無線データ通信を行う通信規格であり、電力線搬送通信は家庭内に既に張り巡らされている電力線を用いる通信規格である。どちらも、家庭内に新たに配線を敷設する必要がないこと等から情報家電への利用等が期待されている。Bluetoothを用いて家庭内の家電をネットワーク化する商品については既に実用化されており、電力線搬送通信についても早期の商品化に向けた検討が進められているところである。

 
図表1) インターネット利用者が利用したいと考えるネットワーク端末
図表1) インターネット利用者が利用したいと考えるネットワーク端末
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図表2) IPv6インターネット実験網(概要)
図表2) IPv6インターネット実験網(概要)

 
図表3) IPv6を用いた情報家電の実用化事例
図表3) IPv6を用いた情報家電の実用化事例

 
参考:IPv6普及・高度化推進協議会
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