平成14年版 情報通信白書

3　サービス

−高度化・多様化する利用者ニーズに対応

　郵便事業では、ITの活用による社会経済の変化、物流・情報・決済の機能を統合したトータルサービスへのニーズその他利用者ニーズの高度化・多様化等に対応するため、サービスの利便性向上を目的として、各種サービス改善や新たなサービスの開発を進めており、概要は下記のとおりである。

(1)ゆうパックに均一の特別料金を新設
　通信販売業者等の多品目の荷物を大量に差し出す利用者にとって、2kg刻みである郵便小包(ゆうパック)料金は、個々の荷物について厳密な重量測定が必要となるため、事務的な負担が大きいものであった。そこで、利用者の利便性向上を図るため、従来の料金区分に加え、平成14年5月に図表1)の条件を満たした10kgまでの荷物について均一の特別料金を新設した。

(2)郵便追跡サービスの改善
　郵便追跡サービスでは、小包郵便物、書留郵便物及び国際スピード郵便物等について、引受日、配達局到着日、配達日等の追跡情報を提供している。平成14年4月からは、配達完了時刻の入力機能を追加した新たな携帯端末10万台強を配備し、配達職員が配達時に携帯・入力することによって、情報提供の迅速化を図るとともに新たに配達完了時刻情報の提供を開始している。

(3)「ゆうびんホームページ」の充実
　「ゆうびんホームページ」()では、差し出した郵便物の配達状況を確認できる「郵便追跡システム」のほか、「新郵便番号検索」、「新郵便日数表」及び「郵便局検索システム」による各種検索サービスの提供や郵便事業に関する情報提供を行っている。また、携帯電話インターネットの普及等、インターネット接続端末の多様化の進展に伴い、平成13年12月にはすべての携帯電話端末等からのインターネット接続に対応した「ゆうびんホームページ」を開設し、一層のサービス向上を図っている。なお、サービス内容は、各種検索サービスのほか、お年玉付郵便はがき等の当せん番号の情報提供を行っている。

(4)ビジネス地域における通常郵便物の午前中配達
　ビジネス地域において、午前中に郵便物を配達してほしいというニーズに応えるため、一日4時間勤務を行う郵政短時間職員等を活用し、午前・午後にわたって配達していた通常郵便物の午前中配達を、平成13年10月より実施している。なお、平成14年3月末におけるサービス対象都市は37都市となっている(図表2))。

(5)サービスドライバーの試行
　ビジネス地域において、郵便利用の多い企業・商店等を中心に、従来は配達・営業及び集荷等と業務ごとに分かれていた担当を一人の職員が担当する新しい集配形態を平成13年10月より試行している。なお、試行対象地域は、全国の中央郵便局等で事業所が多く、郵便需要の拡大が期待できる郵便局46局となっている(図表3))。

(6)e内容証明(電子内容証明)サービス
　「e内容証明サービス」は、専用のホームページ()を通じて、職場や自宅に居ながら内容証明を差し出せるサービスである。パソコンで作成し、ホームページに送られた内容証明を希望する文書は、電子的に内容証明の処理が行われ、正本が受取人へ、謄本が差出人へ配達される。平成13年2月の利用開始から平成14年3月末までの約1年間で、約3万6,000件、約11万8,000通が利用されている。なお、郵便料金の支払は、クレジットカード決済のほか、料金後納も可能となっている。

(7)国際スピード郵便(EMS)
　「国際スピード郵便(EMS)」は、海外への書類や物品を引受から配達まで最優先で取り扱う国際郵便サービスであり、平成14年3月末におけるサービス対象国・地域は117となっている。また、主要国・地域については、「ゆうびんホームページ」から配達状況の確認が可能であり、サービス対象国・地域はサービス開始時の31から平成13年11月には37に拡大されている。さらに、平成12年3月から香港及びシンガポール、平成12年5月から韓国(ソウル)との間で「EMS配達時間保証(タイムサーテン)サービス」を実施している。

(8)ハイブリッドめーる
　「ハイブリッドめーる」は、24時間いつでも手軽に、パソコンで作成した文字・写真・イラスト等の通信文を、専用のホームページ()を通じて、郵便として差し出せるサービスである。ホームページに送られた通信文は郵便局で印刷(カラーも可能)、封入され、全国に配達される。平成12年2月の利用開始から平成14年3月までの約2年間で、約6万件、約45万通が利用されている。なお、郵便料金の支払は、クレジットカード決済のほか、料金後納も可能となっている。