平成14年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

第6節 情報通信高度化の環境整備

1 電気通信利用環境の整備

(1)プロバイダ等の責任ルールの整備

−インターネット等における情報流通の適正化のために

 インターネットの発展に伴い、ウェブページや電子掲示板等における他人を誹謗中傷する情報、知的財産権を侵害する情報等の違法・有害情報の流通が社会問題化している。総務省は、これまで、「電気通信サービスにおける情報流通ルールに関する研究会」(平成9年)を開催するなど、インターネット上の違法・有害情報対策の在り方についての検討を継続的に行ってきている。
 また、(社)テレコムサービス協会による自主規制ガイドライン(平成10年2月)及びモデル契約約款(平成12年1月)の策定・周知の支援、違法・有害情報を利用者側の設定でブロックするためのフィルタリング技術に関する研究開発(平成8年度から12年度)や、利用者に対するパンフレットの配布等による情報提供(平成9年度から毎年実施)等の各種施策を実施してきた。
 さらに、総務省では、平成12年5月から「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会」を開催し、同年12月に報告書を取りまとめた。この提言及びその後の意見募集の結果等を踏まえて、インターネットのウェブページや電子掲示板等(特定電気通信)への情報掲載による他人の権利の侵害に、プロバイダ等が迅速かつ適切な対応が行えるよう責任を明確化するための必要なルール整備について具体的な方策を検討し、第153回臨時国会に「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律案(通称:プロバイダ責任制限法)」を提出した。同法案は、全会一致で可決・成立し、平成13年11月に公布、14年5月に施行された。
 プロバイダ責任制限法では、1)プロバイダ等の損害賠償責任の制限(特定電気通信による情報の流通による他人の権利の侵害に関して、関係するプロバイダ等がその情報の送信防止措置を講じたこと等について損害賠償の責めに任じない場合を明確化するための規定、図表1))、2)発信者情報の開示請求(特定電気通信による情報の流通により自己の権利を侵害されたとする者が、関係するプロバイダ等に対し、当該プロバイダ等が保有する発信者情報の開示を請求できることとするための規定、図表2))の2つの点について規定している。これにより、インターネット等による他人の権利を侵害する情報の流通に対して、プロバイダ等が送信防止措置を講じることの可否の判断をより迅速かつ適切に行うことが可能となり、自主的対応が促進されること等から、インターネット等における情報の流通がより適正になされることが期待される。

 
図表1) プロバイダ等の損害賠償責任の制限の概要
図表1) プロバイダ等の損害賠償責任の制限の概要

 
図表2) 発信者情報開示の概要
図表2) 発信者情報開示の概要

 
参考:「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会」報告書
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