平成14年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

(2)視聴覚障害者向け放送番組の充実

−視聴覚障害者のアクセス機会均等化を支援

 視聴覚障害者向け放送の充実を図っていくことは、放送を通じた情報へのアクセス機会の均等化を実現する上で重要な課題である。特に聴覚障害者に対しては、加齢に伴う難聴者も相当数存在すると推定され、今後、高齢化が進展していく中で更に増加するものと考えられる。
 そこで総務省では、平成9年度に放送法等を改正し、字幕放送等の努力化を図るとともに、平成19年度までに字幕付与可能なすべての放送番組に字幕を付与することを目標とした「字幕放送の普及目標」を策定・公表し、字幕拡充の取組を推進している。字幕付与可能な総放送時間に占める字幕放送時間は年々増加しており、更なる取組への努力が期待されている。

(1)字幕番組・解説番組等の制作促進
 「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律」(通称:身障者法)に基づき、平成5年度から、字幕番組等を制作する者に対し、通信・放送機構が所要経費の2分の1を上限に助成している。平成13年度においては、約4億5,000万円を助成している。

(2)視聴覚障害者向け放送ソフト制作技術の研究開発
 通信・放送機構では、視聴覚障害者向け放送ソフト制作技術の研究開発を実施しており、平成8年度から12年度にかけて、ニュース(録画)や情報番組等の要約等、内容を要約しやすいジャンルで、かつ音声がすべて原稿化されている番組を対象として、字幕を自動的に制作・付与するシステムの研究開発を実施した。平成12年度においては、実用化に近い実証システムを構築し、厚生労働省と連携してその評価を行った。現在は、平成15年度を目途に、ほぼすべての録画番組を対象として、音声がすべて文字化された原稿がない場合でも、短時間で自動的に字幕を付与できるシステム実現のための技術確立を目指して研究開発を行っているところである。

(3)次世代字幕研究会
 総務省では、効率的な字幕制作の方策、生番組への字幕付与の見通し等今後の字幕制作の在り方について検討し、通信・放送の融合が進展するデジタル時代を見据えた字幕拡充を推進するため、平成13年9月から「次世代字幕研究会」を開催し、平成14年4月に報告書が取りまとめられた。
 本報告書においては、字幕コンテンツの拡充のため、放送事業者が自ら作成した字幕拡充計画を着実に推進するとともに、目標値の見直しを図ること、アナログ放送で字幕付与している番組にはデジタル放送でも字幕付与を行い、デジタル放送独自番組への積極的な字幕付与を行うこと、また、字幕放送受信機の普及のためアナログ放送受信機を容易に入手できる体制を整備し、デジタル放送受信機すべてに字幕放送受信機能を搭載すること等が提言され、さらに行政の役割としてデジタル放送における字幕コンテンツの拡充方策を受けて、必要に応じ「字幕放送の普及目標」の見直しを行うこと、字幕拡充計画の進行管理を行うこと、字幕コンテンツの制作支援を引き続き推進すること、字幕拡充のため字幕コンテンツ、受信機のPRを実施すること等が求められた。

 
参考:「次世代字幕研究会」報告書
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