平成14年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

3 研究開発体制及び研究開発評価の在り方

−国際的な技術力強化のために

(1)我が国の情報通信分野における研究開発体制の在り方
 情報通信技術は、すべての産業の基盤となる21世紀の中核技術であり、新規産業の創出、経済構造改革を進める原動力であるといえる。世界各国においても、情報通信分野の研究開発に積極的に取り組んでおり、我が国についても、産業の国際競争力を確保し、我が国を世界の中でも豊かな文化を持ち、高水準な社会生活を送ることのできる魅力ある社会にするためには、情報通信分野の研究開発に関する明確な戦略の策定や研究開発体制の整備が必要である。
 そこで、総務省では平成13年1月より、情報通信審議会情報通信技術分科会に研究開発体制委員会を設置し、我が国の情報通信分野における研究開発体制の在り方について検討を行っている。委員会においては、「競争」と「協調」を基軸とする7項目からなる研究開発基本戦略に沿って研究開発を推進していくことが重要との議論がなされた(図表1))。また、これらの基本戦略を実施するためには我が国の研究開発体制を強化することが重要であり、国や主な研究開発関連機関はそれぞれ次のような役割を担うべきであるとされている。

○国においては、今後の研究開発の方向性を明確に示し、基礎研究から我が国技術の国際標準化、国際市場への展開までを見据えた支援を行うなど世界をリードする情報通信技術力を今後とも確保すべきである。
○主な研究開発関連機関について、独立行政法人通信総合研究所と通信・放送機構が統合されてできる新たな独立行政法人においては、基礎的研究開発から先導的研究開発まで一貫した総合的な研究開発を行うとともに、民間等の研究開発機関への戦略的なファンディング機能を併せもった、世界の中核的な研究開発拠点(COE:Center Of Excellence、中核的研究拠点)を目指すべきである。
○民間研究開発機関についても、基礎研究の重要な担い手の一つであり、優れた研究成果を挙げている機関に対しては国としても重点的に支援を行い、研究開発を推進することを検討すべきである。

 (通信・放送機構については、平成13年12月に「特殊法人等整理合理化計画」が閣議決定され、「廃止した上で、独立行政法人通信総合研究所と統合し、新たに通信・放送関係の研究開発及び民間支援を総合的に実施する独立行政法人を設置する。」とされたところである。)

(2)我が国の情報通信分野における研究開発評価の在り方
 情報通信分野における研究開発を効果的・効率的に推進するためには、柔軟かつ競争的で開かれた研究開発環境の創出と研究開発における重点的・効率的な資源配分の実施が求められる。その実現のためには、研究開発の評価が極めて重要である。
 研究開発評価については、平成13年6月に成立した「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき同年12月に閣議決定された「政策評価に関する基本方針」の中で、同法及び基本方針の定めるところによるほか、同年11月に内閣総理大臣決定された「国の研究開発評価に関する大綱的指針」を踏まえて行うものとされている。
 総務省では、上記を踏まえて情報通信審議会情報通信技術分科会に研究評価委員会を設置して、情報通信分野の研究開発の評価について検討を行ってきたが、平成14年3月に「情報通信技術の研究評価の在り方について」の答申が出された。これを受け、「総務省情報通信研究評価実施指針」を策定し、14年度からは政策評価の一環としての研究評価の本格的な実施が始まっている。

 
図表1) 研究開発基本戦略
図表1) 研究開発基本戦略
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図表2) 情報通信分野における研究評価の実施(研究開発制度ごとの研究開発課題評価の流れ)
図表2) 情報通信分野における研究評価の実施(研究開発制度ごとの研究開発課題評価の流れ)
 

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