平成14年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

9 量子工学、ナノ技術等の新しい原理・技術を用いた次世代情報通信技術

−情報通信技術におけるブレークスルーへ向けて

 電子や光の粒子としての性質を利用して情報処理・伝送を行う量子情報通信技術や、ナノサイズ特有の物質特性などを利用して従来にはなかった新しい機能を発現させるナノ技術、生体の機能に学びその優れた機能や構築メカニズムを応用するバイオ技術の情報通信への応用技術は、極めて高い安全性を保証する暗号通信、光通信を超える超高速通信、生物の自己組織化や修復といった優れた機能を生かしたネットワーク等を実現する可能性を秘めた革命的な技術として注目されている。
 平成13年3月に決定された「科学技術基本計画」では、特に重点を置くべき分野として、情報通信、ナノテクノロジー等の4つの研究分野が掲げられており、更に研究開発の推進に当たって、境界領域や異分野の融合領域に特に留意する必要があることが述べられている。また、総合科学技術会議の「重点推進戦略」でも、情報通信分野では新しい原理・技術を用いた次世代情報通信技術の研究開発の推進が求められている。
 また、平成13年7月に総合科学技術会議において決定された「平成14年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針」においても、特に重点化すべき事項として「量子工学技術、ナノ技術等の新しい原理・技術を用いた次世代情報通信技術」が指摘されている。

(1)量子情報通信技術
 量子情報通信技術は、平成12年2月の電気通信技術審議会答申「情報通信研究開発基本計画」において新たに追加された重点研究プロジェクトの一つであり、国として研究開発を推進していく課題である旨提言されている。これを受け、平成13年度から通信・放送機構において産学官の連携により、比較的近い将来の実用化が期待されている量子暗号技術についての研究開発を実施している。

(2)ナノ・バイオ技術
 総務省では、既存の技術の延長線上の研究にとどまらない技術の壁の突破(ブレークスルー)を目指した基礎・学際領域の研究推進プロジェクトとして、「情報通信ブレークスルー基礎研究21」を平成10年度から実施している。ここでは、21世紀の情報通信技術に求められる「利用環境」、「システム」、「デバイス」の3つの側面に照準を当てた重点研究領域を定め研究を推進している。
 このような中、情報通信の更なる高度化、情報産業関連の活性化、我が国の知的資産の蓄積などの観点から、情報通信に関するブレークスルーを目指した研究開発を更に充実・強化するため、ナノ技術やバイオ技術の情報通信への応用に関する側面も含め、研究開発を推進することとしている。

 
図表 次世代情報通信技術
図表 次世代情報通信技術

 
参考: 21世紀の革命的な量子情報通信技術の創生に向けて
  「情報通信ブレークスルー基礎研究21」平成13年度公募課題等の審査結果
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