3 飛躍的に拡大するブロードバンド −DSLが我が国のブロードバンド化を牽引 (1)ブロードバンド利用者の推移  平成13年版情報通信白書は「ブロードバンド元年」を宣言したが、その後ブロードバンド利用は飛躍的に拡大している。自宅のパソコンからのインターネットアクセスの方法(図表1))の利用率をみると、平成12年と比べてブロードバンド回線の利用率は6.9%から14.9%に増加し、電話回線によるダイヤルアップは55.4%から47.2%に減少している。ISDN回線によるダイヤルアップも33.5%から24.6%に減少している(図表2))。  ブロードバンド回線加入数は、平成14年3月末で387万加入に達し、この1年間で約4.5倍と飛躍的に拡大している。同年4月末には428万加入となっている。中でも、既存の電話回線を活用するDSLの加入数は、平成14年3月末現在238万加入となり、この1年間で約34倍と爆発的な伸びを示している。同年4月末には270万加入となっている。また、ケーブルテレビ網を利用したインターネット接続サービス(以下「ケーブルインターネット」という。)についても、平成14年3月末現在146万加入となり、この1年間で約2倍に拡大している。同年4月末には153万加入となっている。さらに、無線を活用した高速インターネットについても、平成14年3月末現在8,000加入となり、この1年間で約9倍と大幅な伸びを示している(図表3))。同年4月末には1万加入となっている。  このように急速に進展しているブロードバンドの中でも特に加入数を伸ばしているのはDSLである。平成12年末時点では9,723加入と1万加入に満たなかったが、平成13年前半以降、急速に加入数が増加し始めた。同年11月末には100万加入を突破し、翌月の12月末には、152万加入に達し、ケーブルインターネット加入数を初めて上回った。その後も毎月約30万加入のペースで増加を続け、平成14年2月には200万加入の大台に乗り、現在では、DSLが我が国のブロードバンド化の牽引役を果たしているといえる。DSLが急速に伸びている要因としては、競争環境の整備によって新たな事業者の参入が進み、事業者間の競争等を通じて料金の低廉化が進んだことに加え、これまで最大1.5Mbpsが主流であった通信速度が最大8Mbpsへと移行したことによって新たな通信需要が開拓されたこと等が考えられる。  また、光ファイバを活用したFTTHサービスについては、既に世界に先駆けて一般利用者向けのサービスが開始されている。平成13年3月に有線ブロードネットワークスが東京都の一部で最大100Mbpsのサービスを開始、同年8月には、東・西NTTが東京都・大阪府の一部でサービスを開始するなどサービス展開が本格化しつつあり、加入数は平成14年3月末現在26,400加入となっている(図表3))。同年4月には、35,000加入に達している。また、同年3月には東京電力が新規参入するなど新たな事業者の参入が続いており、競争が激しくなる動きを見せている。  平成13年10月に総務省が公表した「全国ブロードバンド構想」におけるブロードバンドの普及予測では、想定されるインターネット普及率や料金等の一定の前提の下で、平成17(2005)年度末には、約2,000万世帯弱がブロードバンド回線を利用していると推計している。また、当面はDSLがブロードバンド・アクセスの主流を占めるが、光ファイバ網を活用したサービスが平成15年度から急速に普及し、平成17(2005)年度には、DSLを逆転するものと予測している(図表4))。 (2)ブロードバンド料金の動向  ブロードバンドの急速な拡大の背景には、通信事業者間の競争の進展により料金の低廉化が進んでいることが挙げられる(図表5))。従前、我が国のインターネット接続に係る通信料金は、欧米に比べて割高であったが、現在では世界で最も低い水準となっている(図表6))。 (3)諸外国におけるブロードバンド・アクセスの現状  諸外国においてもブロードバンド化の動きが本格化しつつある。ブロードバンド・アクセスの普及状況をみると以下のとおりである(図表7))。  インターネットの先進国である米国では、ブロードバンドの利用契約数は900万契約を超えており、ケーブルインターネットを中心としてブロードバンド化が進展している。アジアにおいては、特に韓国ではブロードバンド化の進展がめざましく、879万契約と米国に迫る勢いを示している。欧州においては、ドイツでDSLの契約が200万を超えているが、英国で53.9万契約、フランスで35.1万契約と比較的低調な状況である。現在、飛躍的にブロードバンド契約が増加している我が国の利用契約数は米国及び韓国に続くものとなっている。 図表1) 回線容量と利用可能なコンテンツ(例) 図表2) 自宅のパソコンからのインターネットアクセスの方法(複数回答) 図表3) ブロードバンド・アクセスの加入数の推移 図表4) 高速・超高速インターネットの普及予測(実加入世帯数ベース) 図表5) ブロードバンド料金の低廉化の状況 図表6) ブロードバンド料金(DSL料金)の国際比較 図表7) 諸外国のブロードバンド・アクセスの普及状況