5 第3世代携帯電話のスタート −世界に先駆けたサービス開始  平成13年10月、我が国では世界に先駆けて2GHz帯の第3世代移動通信システム(以下「IMT-2000」という。)の本格サービスが開始された。 (1)サービスの特長と推進スケジュール  IMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)は、グローバルな高速データ通信を可能にする高品質なデジタル方式の新世代移動通信サービスである。世界中どこでも使えるグローバルサービス、固定網並みの高品質音声サービス、最大2Mbpsの高速データ通信、簡単な動画の伝送、インターネットアクセスなどのマルチメディア移動通信サービスの提供を特長とするものである。  我が国においては、平成12年6月の電気通信審議会(現情報通信審議会)及び電波監理審議会の答申に基づき、IMT-2000導入のための電気通信事業の変更許可及び無線局の予備免許の付与を行い、NTTドコモグループ、KDDIグループ、J-フォンの3グループがIMT-2000のサービスを行うこととなった。  NTTドコモは、平成13年10月から都心から半径30km圏内のエリアにおいて最大384kbpsの通信速度でテレビ電話が可能な高速と高画質を特長とする「FOMA」のサービスを開始した。平成14年4月にはサービスエリアを全国主要都市まで拡大し、平成15年度末までに全国展開を行うこととしている。加入者数は平成14年3月末現在で約9万人となっている。  KDDIグループでは平成14年4月から、全国33都道府県で最大144kbpsの通信速度でサービスを開始し、年末までに全国の人口カバー率90%を実現する予定である。サービス・機能としては、全地球測位システム(GPS)による高精度の位置情報を提供するサービス、高性能カメラ搭載モデルの導入、これまでと同等の小型・軽量化、長時間使用を実現するなどの特長がある。  J-フォンは平成14年6月から、首都圏で試験サービスを開始し、同年12月からは全国で本格サービスを開始する予定であり、年内には、3社における競争が開始される見込みである(図表1))。 (2)利用者サイドの期待と要望  ウェブアンケートにより、第3世代携帯電話に期待する機能・サービス、また、第3世代携帯電話に加入する場合に障害となりそうな事項について調査したところ、以下の結果となった。  第3世代携帯電話に期待する機能・サービスについては、半数近くの人が「通信速度の速さ」を、3分の1近くの人が「TV電話機能」を挙げている。携帯電話でも高速・大容量の快適な通信利用環境を希望しており、携帯電話の更なる進化を期待していることがうかがえる(図表2))。  第3世代携帯電話に加入する場合に障害となりそうな事項については、「通信料金が高い」、「機器端末の料金が高い」といった料金関係を障害と考えている人が圧倒的に多く、次いで4割以上の人が「使用できるエリアが狭い」を挙げている。今後、事業者間の競争の進展等により、これらの課題が解消することが期待される(図表3))。 (3)海外の動向  各国におけるIMT-2000のサービス開始時期については、図表4)のとおりである。KDDIが採用したCDMA2000 1X規格のサービスを米国携帯電話会社最大手のベライゾン・ワイヤレスが2002年1月末に開始し、同年2月現在においては韓国をはじめとする6か国11事業者がサービスを実施している。  欧州においては、通信事業者の業績悪化等により、IMT-2000の導入が遅れていたが、主要通信事業者はIMT-2000のサービス開始時期を2002年末から2003年上旬と発表している。 図表1) IMT-2000サービス実施予定時期 図表2) 第3世代携帯電話に期待する機能・サービス 図表3) 第3世代携帯電話加入において障害となる事項 図表4) 各国におけるIMT-2000のサービス開始時期(2002年2月現在)