(2)情報化による効果を発現させるための取組 −情報化投資と同時に業務や組織の見直し等が必要  情報化の進展により、情報共有や事務・管理作業における業務効率の向上等を図り、その効果を享受するためには、組織形態の見直し、人材の充実等の企業における取組が重要であることが指摘されているところである。そこで、情報化投資の効果を発現するために、企業が必要であると考えている条件についてみると、「ITと企業行動に関する調査」によれば、「業務内容や業務の流れの見直し」(83.7%)、「経営トップの強い意志」(61.5%)、「従業員の教育・訓練」(51.9%)、「組織・体制の変革」(48.0%)の割合が高いものとなっている(図表1))。  また、個別の取組について、まず業務内容や業務の流れの見直しに関する実施状況をみると、おおむね半数の上場企業が、電子メールや業務システムの活用等により「社内のペーパーレス化を図った」(52.9%)、電子掲示板への情報の掲載を制度化するなど「情報共有の推進を行った」(45.7%)としており、情報化の効果発揮に向け、企業内において積極的な取組を推進していることがうかがえる(図表2))。他方、取引伝票や見積を電子化するなど「社外との取引におけるペーパーレス化を図った」(15.3%)、購買・調達業務で一社専属取引から複数の取引先の比較検討へ移行するなど「取引方法の見直しを図った」(8.9%)等、社外と関連する業務の見直しを行っている企業は相対的に少ない割合となっている。  また、情報化投資は、システムを導入することのみによって効果が発揮されるものではなく、従業員が導入されたシステム等を活用することによって、その効果が発揮されるものである。そのため、従業員に対するIT教育は、ITの効果を発揮するための重要な要素の一つであると考えられる。そこで、企業における従業員に対するIT教育プログラム・メニューの実施状況についてみると、既に4割以上が「社内のIT関連教育・研修プログラム」や「外部のIT関連教育・研修プログラムへの参加」を実施しており、実施に向けた検討を行っている企業を含めると、過半数の企業がITに関連する研修制度の実施に取り組んでいることが分かる。そのほか、社員の自主的なIT関連学習活動に対する支援として、「社員の自主的なIT関連学習活動への金銭支援」や「IT関連資格の取得に関する報奨金の支給」といった金銭面での支援が比較的多く導入されている(図表3))。  さらに、情報化に伴う組織の見直し状況についてみると、2割以上の企業が「組織の統廃合」(21.7%)や「業務のアウトソーシング」(21.1%)に取り組んでいるとしている(図表4))。 図表1) 情報化投資効果を発現させるために必要な条件(複数回答) 図表2) 情報化投資に伴う業務内容や業務の流れ(ワークフロー)の見直し状況(複数回答) 図表3) 従業員に対するIT教育プログラム・メニューの実施状況 図表4) 情報化投資に伴う組織・体制改革の実施状況(複数回答)