(3)データセンタ市場 −低価格化と高付加価値化の二つの動きが進展  データセンタは、1)物理的な堅牢性とセキュリティを備えた施設(サーバールーム)、2)サーバーの安定的な保守・運用、3)広帯域バックボーン回線を用いた高速・安全なインターネット接続環境を提供するサービスである。インターネットビジネスの拡大、インターネット上のトラフィック増大等の事業環境変化に応じて、企業が自前でシステムの新規構築、更新、増設等を行うことは、多大な時間とコストを必要とする。しかし、データセンタを利用することにより、企業は迅速かつ柔軟に回線やサーバーを拡張することが可能となることから、データセンタはインターネットビジネスにおけるインフラ拠点として注目されている。  我が国におけるデータセンタ事業者は、ハウジング、ホスティング等の汎用的なサービスを競争力のある価格で提供する事業者と、それらの機能に加え、開発、管理・監視等の付加価値サービスを顧客ごとにカスタマイズして提供する事業者の2つのグループに分類されつつある。前者は通信キャリア系事業者及びISP(Internet Service Provider)系の事業者に多く見られ、主に回線・場所・サーバー貸しに特化して低コスト化を進めている。また、後者はSI(System Integration)系事業者に多く見られ、xSP(注1)事業に進出し高付加価値サービスを提供するなど差別化を図りつつある。  平成13(2001)年度におけるデータセンタ市場(注2)は、1,371.4億円と推計され、平成18(2006)年度には、4,317.2億円と、約3倍に増加すると予想されている(図表)。また、今後は基本的なホスティング/ハウジングサービスに付随するマネジメント及びセキュリティ関連部分が、より増加する傾向にある。 図表 データセンタ市場規模推計 (注1)MSP(Managed Service Provider)、SSP(Storage Service Provider)、ASP(Application Service Provider)等の付加価値サービスの総称 (注2)ここでは、定型的な保守・運用やセキュリティ監視(図表におけるマネジメント関連、セキュリティ関連)により、高速・安全なインターネット接続が確保された環境下においてサーバーのハウジング、ホスティングサービスを中心に提供するものに特化した。xSP事業を付加し、場合によってはカスタマイズまで行うものは含んでいない。なお、推計方法については、資料編1-2-8参照