(4)ASP市場 −当面は大企業中心、2004〜2005年頃から中小企業での利用が増加  ASP(Application Service Provider)は、ユーザー企業がパッケージソフトウェア等のアプリケーションを自ら所有することなく、ASP事業者からインターネットを介して提供されるアプリケーションを利用するサービスであり、主に企業におけるシステム運用・管理等のアウトソーシングの一環として利用されている。システムの導入・運用・更新への迅速な対応、設備投資・運用失敗等に係るリスク回避、ハッキング等に対するセキュリティ対策向上等の面で効果が高く、コストの削減にも寄与するものとして今後更に普及することが予想される。  我が国では平成12年初め頃からASP事業者が急増したが、当時は高速ネットワーク回線の不足等インフラ整備が十分でなかったこと、収益力のあるビジネスモデルを確立できなかったこと等から、市場が急成長を遂げるには至らなかった。しかしながら現在は、ブロードバンドの普及が進みつつあることに加え、今後、ASPとの親和性が高い電子政府及び電子自治体の立上りが期待されるなど、ASP市場にとって追い風となっている。また、ASPのビジネスモデルも変化しつつあり、従来のアプリケーションの提供から、企業革新のためのトータルソリューションの一部としてASPを活用する形態に移行する事業者が現れるなど当初の設立ブーム期から、成長期に入ることが予想される。  平成13(2001)年度におけるASP市場(注)は60.3億円と推計され、平成18(2006)年度には1,076.5億円と、約18倍に増加すると予想されている(図表)。内訳をみてみると、平成13(2001)年度は、大企業が56.5億円でシェアが9割以上、中小企業は3.8億円と1割にも満たない。平成16(2004)年度頃から中小企業においても市場が立ち上がり始め、平成18(2006)年度には、大企業が699.0億円でシェアが6割強、中小企業が377.5億円と3割強になると見込まれ、市場規模自体はいずれも順調に拡大するが、とりわけ中小企業のシェアが増加すると予想される。  ASPを活用したアプリケーションの種類としては、現状ではグループウェアやeマーケットプレイス等が多いが、将来的には基幹業務や人事・総務等の多様な業務へ適用が広がることが期待される。 図表 ASP市場規模推計 (注)ここでは、顧客ごとのカスタマイズを行わず、汎用アプリケーションのみを取り扱うものの市場を推計している  特定の顧客専用にカスタマイズされたアプリケーションを開発・提供するものなどは含んでいない。なお、推計方法については、資料編1-2-9参照