4 ネットワークコンテンツの海外動向 −ブロードバンド先進国のコンテンツビジネス  我が国でも、近年DSLの料金の急激な低下等を背景にブロードバンドが普及してきているところであるが(1-1-3参照)、ブロードバンドの普及が我が国よりも進展している韓国や米国では、我が国に先立ってブロードバンドを前提としたコンテンツビジネスが軌道に乗り始めている。 (1)韓国  韓国はブロードバンドの普及率で世界の最先端に位置し(1-1-3参照)、韓国情報通信部によれば、自宅からインターネットを利用している世帯のうちブロードバンドを利用している世帯は57.3%となっており(2002年2月)、米国の19.1%(2001年9月)等、他の先進国と比較しても圧倒的に高い。これは、「2002年までに全国を超高速基幹網で結び、知識情報社会の情報インフラを早期に構築する」という目標を掲げて1999年3月に制定された「CYBER KOREA21」計画等の国家戦略によるところが大きく、情報通信インフラの上で、行政活動、産業活動、国民生活などあらゆる活動を活性化していこうという試みともつながってきている(2-7-3参照)。  このような状況を背景に、韓国においてはブロードバンドを利用したサービスが既に数多く提供されている。行政分野や教育分野でのサービスも提供されているが、国民の利用を推し進めている大きな要因の一つとして、娯楽分野でコミュニケーション要素とエンターテインメント要素を併せ持つサービスの人気が高いことが挙げられる。例えば、友人とチャットを楽しみながらVOD(Video on Demand)でドラマを閲覧できるサイトや、数千人が同時に参加できるネットワークゲーム等に人気が集まっている(図表1))。 (2)米国  インターネット先進国である米国においても、ブロードバンドは急速に普及しつつある。米国商務省が2002年2月に公表した“ANation Online”によると、2001年9月時点で、自宅からインターネットを利用している世帯のうち、ブロードバンドを利用している世帯は19.1%となっている。  音楽の有料配信サービスでは、著作権管理と課金の仕組の双方が必要となるが、この両方を兼ね備えるプラットフォームとしてPressplayとMusicNetが、ともに2001年12月よりサービスを開始している。  Pressplayは、ソニーとVivendi Universal(フランス)の合併事業で、EMI Recorded Music(米国)やインディーズ系レコード会社が楽曲を提供している。現在は、提携するYahoo、Microsoft(MSN Music)、Roxio、MP3.com(すべて米国)を通じて配信を行っている。  また、MusicNetは、Warner Music Group、BMG Entertainment、EMI Recorded Music(すべて米国)等のレコード会社と提携し、Real NetworksやAmerica Online(AOL)を通じてサービスを提供している。  両社は、レコード会社から楽曲のライセンスを受けるなどの手続を経て音楽配信を行っており、利用者への課金は月額料金制となっている。例えば、Pressplayの場合、最も安い「ベーシック」のプラン(ストリーミング300曲、ダウンロード30曲)が月額9.95ドル、最も高い「プラチナ」(ストリーミング1,000曲、ダウンロード100曲、CDへの書き込み20曲)が月額24.95ドルという価格体系になっている。  このようなサービスにより、これまで無料ファイル交換サービス等を利用してインターネット上の音楽を楽しんでいた米国のユーザーを、どれだけ有料音楽配信サービスへ引き込めるかに注目が集まっている。 図表1) 韓国におけるドラマVODの事例(イメージ) 図表2) 米国の有料音楽配信サイト(Pressplay)