1 情報セキュリティ確保の必要性 −情報通信ネットワークの安全性・信頼性を脅かす事案の概要  インターネットは、今や欠かすことのできない重要な社会基盤として、企業活動、行政活動、国民生活等の社会全般に浸透し、インターネットを活用した電子商取引や電子政府・電子自治体の実現は、国民生活の効率性・利便性を向上し、創造性豊かな暮らしを支援するものと期待される。  他方、あらゆる情報がデジタル化されることにより、これを利用した不正行為が行われる危険性も高まりつつある(図表)。例えばインターネットを経由して情報をやりとりする場合、暗号化が適切になされていないと、1)通信途中での情報の盗み読み、2)利用者へのなりすまし等の情報詐取、が行われる可能性がある。また、システムのセキュリティホール(情報セキュリティ上の不備)を悪用し、3)企業ネットワーク等への不正アクセス、4)機密情報や個人情報の改ざん・窃盗、5)侵入したシステムを踏み台にした上での他のネットワークへの侵入等の不正アクセス行為、が行われるケースもある。その他、6)大量のトラフィックを集中させて実質上機能を麻痺させるサービス不能攻撃(DoS)、7)コンピュータウイルスの作成・配布といった迷惑行為、8)ネットワークの匿名性を悪用した電子商取引等における詐欺行為、9)迷惑メールの大量配信、・わいせつ画像等の不適切コンテンツ公開、など実社会と同様の社会問題も発生してきている。  インターネットが社会基盤として活用されている昨今、インターネットを巡るこのような問題は、企業活動、行政活動、国民生活にかかわる重大な問題を引き起こす危険性がある。そこで、上述のような被害を最小限に抑え、安全なネットワーク社会を維持するため、インターネットを利用する者一人ひとりの意識や姿勢が問われている。  また、インターネットは基本的にベストエフォート型のネットワークであるが、情報通信インフラ全体が電話を中心としたネットワークからインターネットベースのネットワークへの転換期にあり、かつ、このような情報通信インフラへの社会的な依存度が高まっていることから、電気通信事業者側においても、これまで以上に情報通信インフラの安全性・信頼性を高め、高品質で信頼性の高いサービスの提供、非常時における重要通信の確保、消費者への積極的な情報提供等が求められている(3-6-2参照。また、非常時の重要通信確保については3-2-1、IP電話サービスの品質については3-3-1-(4)参照。)。 図表 インターネットの安全性・信頼性を脅かす事案例