3 セキュリティ・プライバシーに対する利用者のニーズ −ネットワークにおける脅威に対する不安感 (1)利用者の不安感  インターネットの普及により国民生活は便利で豊かになるものと期待される一方、インターネット利用に対する国民の不安や不満及び知識の不足が、その発展を阻害している可能性も否定できない。ウェブアンケート調査によれば、インターネット利用者が電子商取引を行う際に感じる不安として、回答者の77.7%の人が「クレジットカード番号や個人情報が第三者に盗まれないか」を挙げており、「画面で見た商品のデザインや外観がイメージ通りのものか」「購入した商品が無事に届くか」という点についても5割以上の回答者が不安を感じている(図表1))。インターネット利用者にはネットワーク上での個人情報の送信と、取引相手の信頼性についてまだ高い不安感があることをうかがわせる。  また、同調査結果によれば、平成13年の1年間にコンピュータウイルスに遭遇した回答者の割合は、インターネットを週20時間以上利用する人の約7割、週20時間未満の人でも約5割に達している(図表2))。他方、現在行っているコンピュータウイルス対策については、ワクチンソフトを利用している人(57.2%)やパターンファイルの更新を行っている人(45.0%)が多いものの、15.1%の人が「特に実施していない」と回答しており、コンピュータウイルスに関するリスクは依然として大きいものと推察される(注)(図表3))。  そのほか、何らかの迷惑メールを受信した経験がある人は回答者のうち、およそ4人中3人に達することが明らかになった。迷惑メールの内容としては、特に出会い系サイトの広告を挙げる回答が多くなっている(図表4))。 (2)企業利用者の意識  企業では、不正アクセス等の脅威にさらされてきた経験から、セキュリティ対策に様々なアプローチで取り組んでいると考えられる。他方、電子商取引、個人情報利用、広告メールなどの企業活動が社会的問題をもたらすことのないよう配慮する必要も生じている。  個人情報保護に対する取組については、消費者向けビジネス(電子商取引を含む。)を行っている回答企業の約6割が何らかの取組に着手していることが明らかになった(図表5))。その具体的な施策としては、「プライバシーポリシーの策定」、「個人情報保護管理責任者の設置」、「システムや体制の再構築」「必要な個人情報の絞り込み」が比較的上位の項目となっているが、いずれも3割以下の実施率にとどまっている。  また、企業と地方公共団体の不正アクセス対策の実施状況を調べたところ、地方公共団体では、企業に比べ不正アクセス対策の実施が遅れていることが明らかになった(図表6))。対策別の導入状況をみると、アンチウイルスツールやファイアウォールは高水準にあるが、それ以外は企業で3〜4割、地方公共団体で1〜2割にとどまる。特に、「セキュリティポリシーの策定」については、企業では「実施済・実施中」が43.3%であるのに対し、地方公共団体では7.3%に過ぎない状況となっている。 図表1) 電子商取引における不安 図表2) 平成13年のコンピュータウイルス被害経験(インターネットの週当たり利用時間別) 図表3) 現在行っているコンピュータウイルス対策 図表4) 迷惑メールの受信経験とその内容 図表5) 個人情報保護への取組状況 図表6) 企業・地方公共団体における不正アクセス・ウイルス対策の実施状況 (注)本調査はウェブアンケートを用いているため、分析に当たり、アンケート回答者はインターネットを利用する頻度が比較的高い傾向があることに注意を要する