4 ユニバーサルサービス基金の導入 −全国あまねく適切、公平かつ安定的な電気通信サービスを維持するための基金を導入  現在の情報通信社会において、電気通信インフラは社会資本としてなくてはならないものとなっており、全国どこでも均質な電気通信サービスが提供されることはもはや不可欠となっている。しかし、民間の電気通信事業者が進める電気通信インフラ整備においては、需要の多い大都市圏(採算地域)等における整備は進む一方、過疎地等の不採算地域における電気通信インフラ整備が滞ってしまうというおそれがある。  そのため、東・西NTTにおいては、「日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)」の規定に基づき、「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく全国における適切、公平かつ安定的な提供」(ユニバーサルサービス)の確保への寄与が義務付けられているところであるが、これは東・西NTTの内部における採算地域から不採算地域への地域間補てんのみにより維持されていた。しかし、都市部等の採算地域において事業者間の競争が急速に進展すれば、東・西NTTは、各社の内部における地域間補てんだけでユニバーサルサービスを引き続き維持することが困難になると見込まれることから、ユニバーサルサービスの確保に係る費用の一部を各電気通信事業者が負担する制度が必要となっていた。  そこで、総務省は平成13年6月に電気通信事業法の一部を改正し、同改正法を受けて情報通信審議会においてユニバーサルサービス基金の具体的な制度設計に関して審議が行われ、同審議会から、平成14年2月に「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての第二次答申」が提言された。これを受けて総務省は、同年3月に関係政省令を情報通信審議会に諮問した。これによれば、ユニバーサルサービスの対象となる基礎的電気通信役務の範囲は、加入電話、公衆電話及び緊急通報とし、交付金の算定方式としては、不採算地域における「赤字部分」が採算地域における「黒字部分」で相殺しきれない部分を純費用とする「相殺型の収入費用方式」を採用することとされた。平成14年6月には、改正法及び関係政省令が施行され、基金制度が導入される予定である。 図表 ユニバーサルサービスの提供の確保に係る制度の整備