6 長期増分費用モデルの見直し −事業者間における接続料算定方法の見直しを実施  「長期増分費用方式」とは、事業者間における接続料算定にあたり、ネットワークの費用を、現時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備と技術を利用する前提で算定する方式であり、この方式に基づく算定は、英国や米国等の諸外国で既に導入されている。  郵政省(現総務省)は、従来、実際費用方式で行われていた接続料の算定方式を長期増分費用方式に変更するため、当該モデルを構築することを目的とした「長期増分費用モデル研究会」を平成9年3月より開催した。同研究会では、モデル案の募集や技術モデルの詳細検討等を行い、平成11年9月に報告書を取りまとめた。これを受け、郵政省は、同年9月には電気通信審議会(現情報通信審議会)に同算定方式への変更について諮問、平成12年2月に答申を得、同年5月に電気通信事業法を改正し、一部の指定電気通信設備の接続料原価算定方法は、実際費用方式から長期増分費用方式に変更された。  上記答申では、モデルの見直しについて、可能な限り速やかに着手し、モデル実施期間(平成12〜14年度)経過後に見直しモデルを適用することが適当であることが示されていた。そこで、平成12年9月に「長期増分費用モデル研究会」が再開催された。同研究会は、国内外の電気通信事業者をメンバーとする3つのワーキンググループを開催し、前研究会で今後の課題として先送りされた事項や、公募によって提案された事項についての検討を行い、平成14年3月に報告書を取りまとめた。  同報告書では、現行の接続制度によるコスト算定結果が示されている。併せて、き線点遠隔収容装置(き線点RT:加入者回線に通常メタルケーブルを使用する電話、ISDN64及び一部の専用線を多重化し、交換機までの区間を光ファイバで伝送する装置)のコストを端末回線に付け替えた場合のコスト算定も参考として行っている。算定結果から、GC接続コストは低下したものの、ZC接続コストは、中継系交換機の投資額算定方法の見直し等を行った結果、現行モデル算定値を上回ったものとなった(図表)。なお、報告書では、平成13年度上半期においては、加入者交換機を通過するトラヒックが減少していることから、今後、コスト算定に大きな影響があるトラヒック動向には注意が必要なこと、更に参考値として示したき線点RTを端末回線に付け替えた場合、ユーザー料金へ影響を及ぼす可能性があることからプライシングにおいて、慎重な検討が必要なこと等が指摘されている。 図表 長期増分費用モデル研究会において示された試算結果