2 放送の高度化の推進 (1)地上放送 −地上放送のデジタル化に向けた法制度・技術基準等の整備を推進  放送のデジタル化は、1)高品質な映像・音声サービス、2)高齢者・障害者に優しいサービスの充実、3)安定した移動受信の実現、4)データ放送の充実等、多くのメリットを視聴者にもたらすものである(図表)。またアナログ放送と比較して使用周波数を大幅に節減可能となり、移動体通信など新しい周波数ニーズへの対応が可能となる。こうした多くのメリットを有する放送のデジタル化は、諸外国においても推進されており、我が国においても、既にCS放送、BS放送、ケーブルテレビについてはデジタル放送が開始されている(1-1-6参照)。  こうした中、地上テレビジョン放送については、三大広域圏(関東、近畿、中京)で平成15(2003)年末まで、その他の地域については平成18(2006)年末までにデジタル放送が開始される予定となっている。その導入に向けた環境整備として、平成11年には「放送法」の一部改正によるテレビジョン放送の定義の見直し、「高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法」の制定等によるデジタル化支援の推進等の法整備を行ったほか、同年9月、NHK、民放、郵政省(現総務省)の三者からなる「地上デジタル放送に関する共同検討委員会」を開催し、具体的な実行方策を検討してきた。また、地上デジタルテレビジョン放送への移行に先立ち、一部の地域において既存のアナログ放送の周波数を変更(いわゆる「アナアナ変更」)する必要があることから、このアナアナ変更に伴い必要となる対策経費について、平成13年度予算には約123億円、平成14年度予算には約122億円を計上するとともに、この経費を国が電波利用料により措置するため、平成13年7月には電波法の一部改正が行われた。また、このアナアナ変更の円滑な実施及び地上デジタル放送の普及推進を図るため、NHK、民放、総務省の三者からなる「全国地上デジタル放送推進協議会」を平成13年7月に設立した。デジタル化に関連して、必要となる周波数変更工事については、現在放送事業者と共同でその効率的な実施に向けての検討を着実に進めているところである。  また、地上デジタル音声放送については、平成13年9月に実用化試験局の予備免許を付与、10月には(社)デジタルラジオ推進協会の設立許可を行ったところであり、現在、平成15年を目途に実用化試験放送を開始するための準備が進められているところである。 図表 放送のデジタル化のメリット