第5節 公共分野の情報化の推進 1 地域情報化の推進 −平成17(2005)年度までに地域公共ネットワークを整備  最近のインターネットの爆発的な普及を背景に、電子商取引や金融、教育、医療など社会・経済活動の各分野におけるデジタル化、ネットワーク化が急速に進展している。これに伴い、行政の各分野においても、情報通信技術を活用した行政サービスの向上等に対する期待が一段と高まっており(1-3参照)、このような電子政府・電子自治体サービスの基礎となる地域の情報化が強く望まれている。そこで、総務省では、教育・福祉等の住民サービスの向上、行政の効率化、情報格差(デジタル・ディバイド)の是正等の観点から、総合的に地域の情報化を推進している。  特に、電子自治体の構築等のための地域公共ネットワークの整備推進については、平成13年10月に作成・発表した「全国ブロードバンド構想」の中で、学校、図書館、公民館、市役所などを接続する地域公共ネットワークについて、平成17(2005)年度までの全国整備を提唱している。  この実現に向けて、地域の教育、行政、福祉、医療、防災等の高度化を図るため、「地域イントラネット基盤施設整備事業」等の補助事業を充実するとともに、地方単独事業の活用も図ることとし、補助事業、単独事業ともに適切に地方財政措置を講ずるなど、総務省全体として地方公共団体等を支援している。  具体的には、以下のような地域情報化推進施策を展開している。 (1)情報通信格差是正事業(公共事業関係費)等  高度情報通信ネットワーク社会においては、情報の円滑かつ安全な流通を支える情報通信インフラの整備が重要であり、「地域イントラネット基盤施設整備事業」等として、地域の教育、行政、福祉、医療、防災等の高度化を図ることを目的として、インターネットの技術を用いて構築する地域公共ネットワークの整備に取り組む地方公共団体等に対する支援を、平成10年度より実施している。なお、平成14年度においては、地域イントラネット基盤施設整備事業に広域的地域情報通信ネットワーク基盤施設整備事業を統合した(図表)。平成13年度末までに延べ523事業に対して交付を決定している。 (2)地域情報交流基盤整備モデル事業(加入者系光ファイバ網設備)  平成14年度より、過疎地域等の地方公共団体が地域公共ネットワークを活用した加入者系光ファイバ網の整備を行う場合に支援を行う(3-3-1(1)参照)。 (3)電気通信格差是正事業等  公共分野における情報通信の利活用により、住民生活の利便性の向上、地域経済の活性化を図るとともに、情報通信基盤整備を加速させることを目的として、以下のような施策を実施している。 ・マルチメディア街中にぎわい創出事業  中心市街地の活性化を推進するため、マルチメディアに慣れ親しむ展示・研修・交流機能を併せ持った施設を整備する地方公共団体等への支援を、平成10年度から実施。平成13年度末までに延べ13地域で交付決定。 ・IT生きがい・ふれあい支援センター施設整備事業  高齢者・障害者等の情報リテラシー向上、テレワーク等IT活用の拡大のため、地域における開放型IT利用拠点として、高齢者・障害者等誰もが容易にITを利用できるIT生きがい・ふれあい支援センター施設の整備を推進(平成13年度までは「情報バリアフリー・テレワークセンター施設整備事業」として、全国4か所において施設整備を実施)(3-4-2参照)。 ・新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業  自主放送の実施による地域に密着した映像情報や双方向機能を活用してインターネット接続サービス等を提供するケーブルテレビ施設を整備する地方公共団体等への支援を平成6年度から実施し、平成13年度末までに658事業について交付を決定。 ・地域インターネット導入促進事業  地域住民にインターネットを活用した双方向の行政サービスを提供するため、公共施設にインターネットを導入する過疎地域等の市町村等に対し、ハード、ソフトの両面から支援。平成13年度末までにハード事業については787事業、ソフト事業については494事業について交付を決定。 (4)地方単独事業  情報通信技術を活用して、社会の変化に対応した活力ある地域社会の形成、質の高い公共サービスや行政情報の提供及び地域間格差の是正を図るため、地方公共団体が地方単独事業として実施する公共施設等を接続する大容量で高速なネットワーク、加入者系光ファイバ網、ケーブルテレビ網の整備等、地域の情報通信基盤等の整備に対し、財政支援措置を講じている。 図表 地域イントラネット基盤施設整備事業のイメージ図