5 メディア・リテラシーの向上 −放送分野における青少年とメディア・リテラシーについて  現代社会において、我々はメディアとのかかわりにおいて社会を知り、メディアとのかかわりにおいて社会に参画している。現代人にとって、メディアは既に空気のような存在であり、意識されることは少ない。しかしながら、人々が接する情報が増加・多様化し、メディアが我々の意識や思想に与える影響を無視できない状況にあって、メディアについて意識し、理解することが情報の送り手・受け手の双方に求められている。  メディア・リテラシーとは、1)メディアを主体的に読み解く能力、2)メディアにアクセスし、活用する能力、3)メディアを通じてコミュニケーションを創造する能力、特に情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ)コミュニケーション能力が相互補完しあい、有機的に結合したものととらえることができる(図表1))。  メディア・リテラシーは、メディアとのかかわりが不可欠なメディア社会において「生きる力」であり、多様な価値観を持つ人々から成り立つ民主社会を健全に発展させるために不可欠なものである。メディア・リテラシーは、メディア社会に参画するためのパスポートであり、あらゆる世代が獲得すべき能力であるといえる。  言うまでもなく、「放送」とは、視聴者が存在してはじめて成立するものであり、放送事業者と視聴者との間の健全な緊張関係を醸成するためには、視聴者自らがメディア・リテラシーを向上させることが重要である。  総務省ではメディア・リテラシー向上のための教材を開発し、平成13年7月から全国の総合通信局において貸し出しを行い、メディア・リテラシーの育成を図っている(図表2))。  また、現代社会において、メディアを意識し、理解することの重要性は、我が国だけでなく諸外国においても昨今大いに議論されており、様々な取組が実践されている(図表3))。諸外国においては一般に「メディア・リテラシー」、「メディア・エデュケーション」、「メディア・スタディーズ」等と呼ばれている。 図表1) メディア・リテラシーの概念 図表2) メディア・リテラシー教材 図表3) 諸外国におけるメディア・リテラシー教育に関する取組