13 成層圏プラットフォームの研究開発 −次世代情報通信基盤の実現のために  成層圏プラットフォームは、気象が比較的安定している高度20km程度の成層圏に通信機材等を搭載した無人の飛行船を滞空させ、全国どこでも超高速インターネットやマルチメディア移動通信を利用可能とするもので、新たな通信インフラとして早期の実現が期待されている。また、観測センサー等を搭載することにより地球観測にも利用可能となることから、幅広い用途への応用も期待されている(図表1))。  そこで、総務省及び文部科学省では、成層圏プラットフォームの早期実用化を目指し、平成10年度より産学官共同で研究開発を行っている。このうち、総務省は通信・放送ミッション及び追跡管制技術の研究開発を担当し、通信・放送機構の直轄研究により研究開発を実施しているところである。  追跡管制技術では、これまで追跡管制システムの基本設計、システムの要素技術研究、風予測ソフトウェアの開発を、通信・放送ミッションでは移動通信システム、広帯域固定通信システム等の要素技術研究をそれぞれ行ってきた。平成13年度は、追跡管制技術における風観測・予測システムの構築等を、通信・放送ミッションにおける通信機器の設計・製作等を実施し、平成14年度以降順次実施される予定の飛行試験に向けた種々の技術開発を進めてきている(図表2))。平成14年度においては、上記飛行試験の実施に向けて引き続き各システムの開発を行うとともに、飛行船代替機による通信・放送ミッションのフィールド試験を実施し、その有効性を実証する予定である。  こうした研究開発の進展を踏まえつつ、成層圏プラットフォームで使用可能な周波数の分配に関する国際的な対応を推進してきており、平成9年に開催されたWRC-97(1997年の世界無線通信会議)において、47・48GHz帯が固定業務用として分配され、また、平成12年のWRC-2000において、アジア・太平洋の12か国における固定業務用の31/28GHz帯の追加分配、2GHz帯においてIMT-2000の基地局として利用可能であること等が決定されてきている。  これらを踏まえて、ITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)等において、31/28GHz帯における成層圏プラットフォームと他業務等との周波数共用基準、隣接帯域への影響等に係る勧告案の承認に向けた活動を行ってきており、引き続きWRC-2003に向けた各種会合に貢献し、より利用しやすい周波数環境の整備に取り組んでいく予定である。 図表1) 成層圏プラットフォームの概念図 図表2) 飛行試験のイメージ