平成15年版 情報通信白書

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第1章 特集「日本発の新IT社会を目指して」

(2)次世代を担うネットワークの萌芽

ホームネットワーク、無線LAN、ナビサービスの普及

 ユビキタスネットワークは、2005年あるいは2010年にかけて、大きく発展していくと期待されるが、その萌芽的な事例ともいえるホームネットワーク、ホットスポットにおける高速無線アクセスサービス及びナビサービスは、既に社会に浸透しつつある。

1 ホームネットワーク

 家庭におけるパソコンの複数保有とブロードバンドの普及によって、家庭内のパソコンを有線や無線を使って接続するホームネットワーク(家庭内LAN)の普及が進んでいる。平成14年末において、全世帯の25.7%が複数のパソコンを保有し、このうち35.5%がホームネットワークを整備している。ホームネットワークの整備率は、ナローバンド利用世帯の33.2%に対し、ブロードバンド利用世帯では53.1%となっており、ブロードバンド利用が契機となってホームネットワークを整備した家庭も多いと考えられる(図表1)、2))。さらに、パソコンだけでなく、テレビやハードディスク・レコーダー等の様々な機器をネットワークに接続するようになっている。
 ホームネットワークの整備に、無線LANを使えば、配線の煩わしさを免れるとともに、家庭内のどこでもネットワークを利用可能な環境が実現する。無線LANの方式としては、2.4GHzの周波数を使い最大11Mbpsでの通信が可能な方式(IEEE802.11b)が主流であるが、最大54Mbpsでの高速通信が可能な方式(IEEE802.11a、IEEE802.11g)の機器や複数の規格に対応した機器も提供されている。

 
図表1) パソコンを複数保有する世帯の割合  図表2) ホームネットワークの整備率

図表1) パソコンを複数保有する世帯の割合  図表2) ホームネットワークの整備率
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2 ホットスポットにおける高速無線アクセスサービス

 屋外でのインターネットアクセス手段として、屋外での高速インターネットアクセスを実現するため、ホテル・レストラン等の店舗や空港・駅等の公共空間(いわゆる「ホットスポット」)において、無線LANによる高速のインターネット接続サービスの提供が進みつつある。家庭内の無線LANと併用することにより、屋内と屋外で、同じ端末を使って高速インターネットを利用することが可能となる。
 ホットスポットにおける高速無線アクセスサービスの事業形態としては、電気通信事業者が直接エンドユーザにインターネット接続サービスを提供する形態やレストラン等の店舗がアクセス・ポイントを設置し、顧客に無料で提供している形態等がある。
 平成14年にインターネット利用者の8.8%が、ホットスポットにおける無線アクセスサービスを利用したことがある(図表3))。今後利用する条件については、「料金が安くなったら」とする者が41.3%と最も多い。次いで「利用エリアやスポットが広がったら」が22.9%、「セキュリティ面の不安が解消されたら」が19.0%と多い(図表4))。

 
図表3) ホットスポットでの無線LANサービスの利用状況

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図表4) ホットスポットにおける無線LANサービスを利用する条件

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 利用エリアやスポットの拡大については、一部の事業者において、海外事業者を含めた事業者間のローミング(サービスエリアの相互乗入)やPHSとのデュアルサービス(併用サービス)が開始されている。また、料金面でのメリットを出すため、無線LANと携帯情報端末等を使った無線IP電話サービスの実験も行われている。セキュリティ面でも、平成14年10月に無線LANの業界団体においてセキュリティ規格を強化した新しい規格が策定され、さらにセキュリティを強化する規格化の予定がある。また、総務省においても無線LANのセキュリティについて、セキュリティサイトを通じ、ユーザへの周知啓発を行っている(3-7-2(1)参照)。

3 ナビサービス

 屋外でのインターネットアクセス手段やGPS(Global Positioning System)の普及に伴い、どこでもネットワークにアクセスして、位置情報や現在位置周辺の情報を提供し、人や車の道案内等を行うサービス(ナビサービス)が登場してきている。代表的なナビサービスとしては、携帯電話による位置情報サービスのほかに、テレマティクスサービスがある。
 テレマティクスサービスとは、通信(テレコミュニケーション)と情報処理(インフォマティクス)を組み合わせた造語で、自動車向けの次世代情報提供サービスをいう。カー・ナビゲーション・システムは、既に広く普及しており、平成14年末時点で世帯の23.8%と4分の1近い世帯で利用されている(図表5))。従来のカー・ナビゲーション・システムは、CDやDVD等に保存された地理情報に基づいてナビゲーションを行うものであったが、テレマティクスにおいては、インターネットに接続することにより外部の各種の情報とアクセスすることが可能になる。また、車の状況を外部からモニターし、事故や故障等のトラブル時の連絡等もできるようになっている。インターフェースの改善も進められており、現在提供されている主なテレマティクス製品は音声認識に対応しており、運転中でも画面を見ずに操作することが可能である。また、地図の更新方法も、通信機器を用いた自動更新できるものも提供されてきており、機械を利用していることを意識せずに、簡単に使えるような工夫がされている。

 
図表5) カー・ナビゲーション・システムの国内出荷台数と世帯普及率の推移

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