平成15年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第3章 情報通信政策の動向

(8)ナチュラルビジョンの研究開発の推進

高度な遠隔医療等の実現に向けた映像関連技術の研究開発

 従来のRGB3原色を超えた多原色を基本として、実物の色・質感・立体感・光沢を忠実に再現するナチュラルビジョンの研究開発は、今までに例のない全く新しい映像関連技術の開発として、平成11年度から通信・放送機構において進められている(図表1))。

 
図表1) 多原色による色再現

図表1) 多原色による色再現

 本研究開発は、技術そのものが科学技術の向上に資する先導的な取組であるだけでなく、遠隔医療、電子商取引、デジタルアーカイブ等新たなサービスニーズへの展開が可能であるなど、その汎用性の高さからも、研究開発の成果が期待されている。
 カメラ、スキャナ等の映像入力機器では、肉眼で見るときと同じように色を再現することが不可能であるが、ナチュラルビジョンでは、多原色で画像を入力するマルチスペクトルカメラを用いて色を精密に計測し、数値化することで忠実な色を再現することが可能である。
 実物に忠実な色再現を実現するためには、実物に限りなく近い映像の入力、映像を劣化させない伝送技術や表示技術が必要であり、ナチュラルビジョンの研究開発では、映像の収集・伝送、保存・分析・編集、表示を一つのトータルシステムとして、総合的な研究開発が行われている。静止画のナチュラルビジョンについては、基礎技術をほぼ確立し、生地の電子商取引プロトタイプシステムや病理診断システムが構築されており、実用化に向けた評価実験が行われている(図表2)、3))。
 また、実物の色や状態に限りなく近い映像を活用することは、病理画像や皮膚科の診断等医療の分野での活用が有用であり、特に、遠隔地において的確な診断が可能となるという点でも、ナチュラルビジョンの技術が期待されている。

 
図表2) 生地電子商取引システムの表示画面

図表2) 生地電子商取引システムの表示画面

 
図表3) 病理診断システム

図表3) 病理診断システム

 

テキスト形式のファイルはこちら

(7) ネットワーク・ヒューマン・インターフェースの研究開発 に戻る (9) 成層圏プラットフォームの研究開発 に進む