第5節 行政・公共分野の情報化の推進 1 地域情報化の推進 地域公共ネットワークの整備の推進  最近のインターネットの爆発的な普及を背景に、電子商取引や金融、教育、医療等社会・経済活動の各分野におけるデジタル化、ネットワーク化が急速に進展している。これに伴い、行政の各分野においても、情報通信技術を活用した行政サービスの向上等に対する期待が一段と高まっており、このような電子政府・電子自治体サービスの基礎となる地域の情報化が強く望まれている。  そこで、総務省では、教育・福祉等の住民サービスの向上、行政の効率化、情報格差(デジタル・ディバイド)の是正等の観点から、総合的に地域の情報化を推進している。  具体的には、以下のような地域情報化推進施策等を展開している。 1 情報通信格差是正事業等  高度情報通信ネットワーク社会においては、情報の円滑かつ安全な流通を支える情報通信インフラの整備が重要であり、「地域イントラネット基盤施設整備事業」等により、地域の教育、行政、福祉、医療、防災等の高度化を図ることを目的として、学校、図書館、公民館、市役所等を高速・超高速で接続する地域公共ネットワークの整備に取り組む地方公共団体に対する支援を、平成10年度より実施している(図表)。平成14年度に新たに創設した地域公共ネットワーク基盤整備事業と合わせて平成14年度末までに延べ730事業について交付を決定している。 図表 地域公共ネットワークのイメージ図 2 電気通信格差是正事業  公共分野における情報通信の利活用により、住民生活の利便性の向上、地域経済の活性化を図るとともに、情報通信基盤整備を加速させることを目的として、以下の事業を実施している。 (1)新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業  自主放送の実施による地域に密着した映像情報や双方向機能を活用してインターネット接続サービス等を提供するケーブルテレビ施設を整備する地方公共団体等への支援を平成6年度から実施し、14年度末までに809事業について交付を決定している。 (2)IT生きがい・ふれあい支援センター施設整備事業  高齢者・障害者等のテレワークの実現、情報リテラシーの向上等、IT活用の拡大のため、地域におけるバリアフリー型のIT利用拠点として、高齢者・障害者をはじめ誰もが容易にITを利用できるIT生きがい・ふれあい支援センター施設の整備を推進し、平成14年度末までに、全国7か所において施設整備を実施している。 (3)マルチメディア街中にぎわい創出事業  中心市街地の活性化を推進するため、マルチメディアに慣れ親しむ展示・研修・交流機能を併せ持った施設を整備する地方公共団体等への支援を平成10年度から実施し、平成14年度末までに延べ15事業について交付を決定している。 (4)地域インターネット導入促進基盤整備事業  地域住民にインターネットを活用した双方向の行政サービスを提供するため、公共施設にインターネットを導入する過疎地域等の市町村等に対し、ハード整備を支援することとして、平成14年度末までに817事業について交付を決定している。 3 情報通信を活用したソフト事業  地域公共ネットワークを活用したアプリケーションの開発やモデル事業の展開を行うことにより、電子自治体の構築、地域情報化の推進を図ることを目的として、以下のような施策を展開している。 (1)情報通信システム整備促進事業  地域公共ネットワークを活用して利便性の高いシステムを構築するためソフト開発等に取り組む市町村等の支援を平成11年度から実施し、14年度末までに、616事業について交付を決定している。また、平成15年度からは、ASP・アウトソーシング方式を活用した連携主体も対象とすることにより、単独ではシステム導入が困難な条件不利地域における電子自治体の円滑な推進を図ることとしている。 (2)地域情報化モデル事業(eまちづくり交付金)  地域の知恵と工夫を生かし、住民の目に見える形でITを活用した地域情報化のモデル事業を全国展開するために必要な経費を市町村に交付することとして、平成14年度補正予算で100事業について交付を決定している。 4 地方単独事業  情報通信技術を活用して、社会の変化に対応した活力ある地域社会の形成、質の高い公共サービスや行政情報の提供及び地域間格差の是正を図るため、地方公共団体が地方単独事業として実施する公共施設等を接続する大容量で高速なネットワーク、加入者系光ファイバ網、ケーブルテレビ網の整備等、地域の情報通信基盤等の整備に対し、財政支援措置を講じている。 5 地上デジタル放送を活用した地域情報提供に関する研究会  平成13年1月から開催された「総務省IT推進有識者会議」での、個人間のデジタル・ディバイド解消や電子自治体等の住民サービスの向上に資するものとして地上デジタル放送の活用を積極的に推進するべきであるとの提言を受け、総務省では、平成14年9月から「地上デジタル放送を活用した地域情報提供に関する研究会」を開催し、地方公共団体が地上デジタル放送を行政情報等に活用する場合の諸課題について検討が行われた。同研究会では、平成15年3月に報告書を取りまとめ、地上デジタル放送が持つローカル番組や双方向サービスという特性を活かした地域情報提供の実現に向けての地上デジタル放送の官民一体となった普及推進、実証実験・パイロットプロジェクトの実施、認証システム等の開発、地方公共団体の広域的連携、地方公共団体と放送事業者、メーカ、地域の各地場企業等との横断的な連携等の具体的な取組が提言された。  平成15年度は、14年度の検討結果を踏まえ、地方公共団体による実際の行政サービスの提供について検討するための実証実験を行う予定である。 関連ページ:電子政府・電子自治体の推進については、1-3-5参照