平成16年版 情報通信白書

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第1章 特集 「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」

はじめに

特集 「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」

 現在、我が国のブロードバンドネットワークは世界で最も低廉かつ高速な世界最高水準のものになり、ブロードバンドの契約数も増加している。また、携帯電話や携帯インターネット契約数も増加しており、モバイルネットワークも普及している。さらに、平成15年12月からは東京・名古屋・大阪の三大都市圏において地上デジタルテレビジョン放送が開始されるとともに、ネットワークを活用した情報家電や電子タグ等が実用化しつつある。
 これらの、ブロードバンド、モバイル、デジタル放送、情報端末の進展が好循環をもたらし、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」がネットワークに接続し、情報の自在なやりとりを行うことができるユビキタスネットワークが実現に向かいつつある。

 一方、国民のネットワーク利用状況をみると、インターネットの利用人口は平成15年末で約7,730万人に達し、人口普及率は60%を突破するなど、国民生活にインターネットは浸透している。また、パソコンだけではなく様々な端末から、職場や家庭だけでなく移動中を含めたあらゆる状況で「いつでも、どこでも、誰でも」インターネットを利用する状況になりつつあり、インターネットは国民に大きな利便・恩恵をもたらす、生活の必需品となりつつある。
 また、携帯電話や非接触型ICカードを活用した様々なサービスが展開しつつあり、国民に広く利用され生活の利便性を高めており、さらに、これらの一部は日本発のネットワークサービスとして世界に拡がりつつある。
 このように、国民と情報通信ネットワークとの関わりはますます強くなりつつあり、安心、安全に関するサービス等、ユビキタスネットワークを活用した将来的なサービスへの期待も高くなっている。

 また、企業においても、ブロードバンド、モバイルネットワークの活用が着実に進展するとともに、電子タグ、非接触型ICカード等の活用に関する様々な実証実験や実用化への取組が活発に行われており、新たなネットワーク活用の萌芽例が生まれつつある。日米の企業ともに、ユビキタスネットワークへの期待は高く、様々な端末に向けたサービスが検討されつつある。
 これらのブロードバンド、モバイルを活用した電子商取引が活発に実施されるとともに、薄型テレビ・DVDビデオレコーダー等将来のユビキタスネットワークの基盤となるべき高性能な情報通信関連機器の市場も大きく拡大し、我が国の景気回復の原動力となっている。

 今後は、これらのユビキタスネットワークを活用することにより、生活の豊かさの向上や経済の活性化、社会上の問題の軽減等の恩恵がもたらされるユビキタスネットワーク社会の実現が期待される。先導的な立場にある我が国が、世界情報社会サミット(WSIS)等を通じてコンセプトや成果を世界に向けて発信することにより、ユビキタスネットワーク社会が世界に拡がっていくことが期待される。
 その過程においては、我が国が、各国と協力してユビキタスネットワーク技術の国際標準化を推進し、日本発のネットワークサービスを展開するとともに、情報セキュリティの確保やデジタル・ディバイド等の課題解決のための取組を積極的に推進することが求められる。

 このような問題意識の下、今回の情報通信白書では、「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」を特集として取り上げ、進化するネットワークインフラの現状、ネットワークにより変わる国民生活や企業のネットワーク活用の現状や期待、来るべきユビキタスネットワーク社会の実現に向けた課題や経済に与える影響等について分析を行った。

 

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