平成16年版 情報通信白書

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第1章 特集 「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」

(4)日常生活に拡がるインターネットの活用

インターネットは幅広い年代に浸透、外出先での利用も日常化

1 利用者各層に拡がるインターネットの活用

 個人のインターネット利用は年々増加、拡大しており、幅広い利用者に浸透してきている。平成15年末におけるインターネットの利用率を年代別にみると、60歳以上のインターネット利用率は21.6%であり、利用率が9割を超える10代後半、20〜30代に比べると低い割合となっている(1-4-2(5)参照)。一方、平成14年末と15年末における各年代のインターネット利用率を比較すると、60歳以上のインターネット利用率が対前年比1.33倍と高い伸びを示しており、他の年代の伸びと比較して最も高い。一方、インターネット利用率が高い20代は、前年とほとんど変化が見られない(図表[1])。

 
図表[1] 年代別にみたインターネット利用率の変化

図表[1] 年代別にみたインターネット利用率の変化
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 インターネット利用者のインターネット利用経験は平均3.9年であり、60歳未満のインターネット利用者のうち半数以上は3年以上の経験を有している。50歳以上のインターネット利用者のうち、3年以上の長期のインターネット利用者は半数以下であるが、この年代のインターネット利用は拡大する方向にあり、利用年数も今後順次増加していくものと考えられる(図表[2])。

 
図表[2] 年代別のインターネットの利用経験

図表[2] 年代別のインターネットの利用経験
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 インターネット利用者がインターネットを利用し始めた理由を年代別にみると、情報収集のためと答えた人の割合が高いほか、各年代とも4割以上の人が仕事や学業のために必要であったことを挙げており、職場や学校におけるインターネット利用の機会が増えていると考えられる。また、50歳以上のインターネット利用者は、他の年代と比べて、情報を発信したい、他人とコミュニケーションをしたいと答えた割合が高い。60歳以上のインターネット利用者のうち4割以上の人が、時代に乗り遅れたくなかったことを挙げている(図表[3])。

 
図表[3] 年代別のインターネット利用開始の理由(複数回答)

図表[3] 年代別のインターネット利用開始の理由(複数回答)
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 外出先でのインターネットの利用状況をみると、10代のインターネット利用者は、飲食店、日常利用する交通機関内、公共施設においてインターネットを利用している割合が高く、20代の利用者は飲食店の利用に次いで宿泊施設、駅・空港等におけるインターネットの利用が多い。一方、30歳以上のインターネット利用者は宿泊施設での利用の割合が最も高く、飲食店、駅・空港等での利用が続いている。30歳未満の利用者は、より日常性の高い飲食店や交通機関内においてインターネットを利用しており、外出先でのインターネット利用が日常化しつつあると考えられる。なお、15〜19歳と60歳以上のインターネット利用者は、図書館など公共施設での利用が比較的多く、利用者の生活圏や居住近隣地域において、インターネットを利用できる場所・機会が増えていることがうかがえる(図表[4])。

 
図表[4] 年代別にみた外出先におけるインターネットの利用場所(複数回答)

図表[4] 年代別にみた外出先におけるインターネットの利用場所(複数回答)
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 また、男女の職業別に外出先におけるインターネットの利用状況(注1)をみると、男性は、「会社員・会社役員等」が60.8%、「学生等」が13.6%、「自営等」が10.7%を占めており、女性は、「専業主婦、パート・アルバイト、無職等」が46.8%、「会社員・会社役員等」が26.7%、「学生等」が16.8%を占めている(図表[5])。

 
図表[5] 外出先でのインターネット利用

図表[5] 外出先でのインターネット利用
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 携帯電話や電子メールの利用が新たな家族間の連絡手段として普及しており、携帯電話を利用している6〜12歳の子供の割合は12.7%、PHSを利用している子供の割合は1.3%となっている(図表[6])。また、携帯電話・PHSから電子メールを送信している60歳以上の利用者のうち60.3%は、携帯電話から電子メールを最も多く送る相手が「家族」であることを挙げている(図表[7])。

 
図表[6] 6〜12歳の携帯電話・PHS利用率

図表[6] 6〜12歳の携帯電話・PHS利用率
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図表[7] 60歳以上の携帯電話・PHS利用者が最も多く送信する電子メールの送信先

図表[7] 60歳以上の携帯電話・PHS利用者が最も多く送信する電子メールの送信先
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2 生活時間におけるインターネットの利用

 電子メールの送受信やインターネットによる様々な情報の検索・発信、各種サービスの利用等、日々の生活のあらゆる場面・行動の中でネットワークに接続する機会が増加している。このようなネットワークへの接続状況を1日の生活時間の中でとらえると、ネットワークが時間帯や場所を問わず利用されており、インターネットが日常生活に拡がっている(図表[8]〜[12])。
 インターネット利用者の日常生活の中での利用時間をみると、「家での休養」の場面では平均77.6分利用されており、次いで「学校又は勤務先」の際に平均77.4分利用されている。それぞれの生活の場面の全体時間に占めるインターネット利用時間(注2)の割合は、「家での休養」の際が35.0%、「学校又は勤務先」の際が21.1%であり、生活時間のうち2割以上の時間が費やされている。さらに、「身の回りの準備」の際は平均21.3分、「移動中(通勤・通学中等)」の際は平均9.4分、「家での家事」の際は平均22.0分、「レジャー等」の際は平均13.5分の利用となっているが、生活時間に占める割合はほとんどが2割弱となっており、生活の中のあらゆる場面でインターネットの利用が拡がっていることがうかがえる。また、どの利用者も通勤や通学をはじめとする移動中においてインターネットを利用しており、場所を問わずどこでもインターネットが利用されていることがわかる(図表[8])。

 
図表[8] 生活時間におけるインターネット利用(生活者全体)

図表[8] 生活時間におけるインターネット利用(生活者全体)
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(1)勤労者

 インターネットの利用開始の理由を年代別に見ると、各年代とも、「仕事や学業のために必要であった」ことを挙げている割合が高い(図表[3])。また、職場からのインターネット利用者は1,944万人と全体の3割を超えており(1-2-1(1)参照)、仕事の場面でのインターネット利用が拡がっている。仕事を有する人(勤労者)の生活時間の中での利用状況を分析すると、「勤務先」におけるインターネット利用時間は平均91.9分となっており、勤務先での2割弱の時間が費やされている。また、「家での休養」の場面では、インターネットが平均68.0分利用されており、生活時間の中でインターネットを利用している割合が高くなっている。勤労者のインターネットの主な利用用途は「メールの送受信」や「ニュース等」の情報入手であり、インターネットが時事を中心とする情報の入手に利用されている(図表[9])。

 
図表[9] 生活時間におけるインターネット利用(勤労者※1

図表[9] 生活時間におけるインターネット利用(勤労者※1)
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(2)家庭生活者

 在宅時間が長い家庭生活者は、主に家で家事をしているときや休養しているときにインターネットを利用しており、利用時間をみると、「家での家事」の際には平均33.8分、「家での休養」の際には平均87.3分、「身の回りの準備」の際には平均22.8分となっている。インターネットの利用用途としては、どの生活時間帯においても「メールの送受信」が最も多く利用されているが、「家での家事」や「家での休養」の場面では特に、「料理・レシピ」の入手や「懸賞・プレゼント」等の利用が多い。家庭生活者は、実生活の中において利便性が高く、生活する上で役に立つ様々な情報の検索・収集を目的として、日々の生活に密着した形でインターネットを活用している(図表[10])。

 
図表[10] 生活時間におけるインターネット利用(家庭生活者※1

図表[10] 生活時間におけるインターネット利用(家庭生活者※1)
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(3)高齢者

 60歳以上のインターネット利用者のうち、4割以上の人は、インターネットを始めた理由として、「時代に乗り遅れたくなかった」ことを挙げており(図表[3])、新しいことへの関心や意欲があることを示している。インターネットの利用時間は、「家での休養」の際に平均72.1分、「身の回りの準備」の際に平均25.4分となっている。また、利用用途としては、他の利用者と同様に「メールの送受信」が中心であるが、ほとんどの生活時間帯において「ニュース等」の情報入手が多く利用されている。また、在宅の時間帯には、各種ホームページ上の「懸賞・プレゼント」をよく利用しているほか、「レジャー等」では、旅行や天気関連の情報の入手に利用するなど、自らの生活の楽しみにインターネットを活用している姿がうかがえる。60歳以上のインターネット利用率は他の年代に比べ相対的には低いものの(1-2-1(4)参照)、既にインターネットを利用している高齢者は、生活の各場面において積極的にインターネットを取り入れており、今後も生活の中に徐々に浸透していくものと考えられる(図表[11])。

 
図表[11] 生活時間におけるインターネット利用(高齢者※1

図表[11] 生活時間におけるインターネット利用(高齢者※1)
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(4)若者

 現在の高校生や大学生の年代は、家庭内におけるゲーム機器の利用や学校教育の場におけるパソコンの利用等、若年層の段階から情報通信機器やインターネットの利用経験を有している。若者のインターネット利用時間は、「家での休養」の際には平均87.8分、「身の回りの準備」の際は平均23.8分、移動中の利用は平均11.9分となっている。また、若者は、新しいものや流行には常に敏感で、「移動中(通勤・通学中等)」に着信メロディ等を入手するなど、場所や時間に限定されず、インターネットを上手に使いこなしている。また、「家での家事」や「家での休養」の時間帯において、インターネットを利用して個人・サークル等のホームページを閲覧するなど、友人との関係を重視し、活発にコミュニケーションや情報交換をしていると考えられる(図表[12])。

 
図表[12] 生活時間におけるインターネット利用(若者※1


図表[12] 生活時間におけるインターネット利用(若者※1)
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(注1)ここでのインターネット利用とは、携帯電話・PHSからのインターネット利用を除く
(注2)インターネット利用時間の計算方法については、資料1-2-2参照

 

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