平成16年版 情報通信白書

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第1章 特集 「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」

(2)消費者向け事業における活用

ブロードバンド・モバイルネットワークの特性を活かした電子商取引等が普及し、効果を発現

 主に一般消費者を顧客とする企業等(以下、消費者向け企業とする。)において、インターネットを活用した電子商取引・サービス提供や広告配信等の販売促進活動は以前から行われているが、ここ数年の急速なブロードバンドや携帯インターネットの普及に伴い、従来以上に多種多様なコンテンツの配信や、携帯端末に対応したサービスの提供・広告配信等が進んでいる。

1 ブロードバンドに対応した電子商取引・販売促進活動の実施状況

 現在インターネットを活用して電子商取引(注1)を行っている消費者向け企業のうち、大容量コンテンツの配信やブロードバンドでの閲覧に適したサイトを開設するなど、ブロードバンド対応の電子商取引を行っている企業は27.9%であり、検討中及び関心を有している企業を含めると79.7%に達している(図表[1])。また、インターネットを活用した販売促進活動においても、ブロードバンドに対応した活動の実施が進んでいる(図表[2])。

 
図表[1] ブロードバンドに対応した電子商取引の実施状況

図表[1] ブロードバンドに対応した電子商取引の実施状況※
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図表[2] ブロードバンドに対応した販売促進の実施状況

図表[2] ブロードバンドに対応した販売促進の実施状況※
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 消費者向け企業において、ブロードバンド対応にすることによるメリットは多岐にわたっている。「購買者・サービス利用者が増大」、「時間を気にせず商品・サービスの提供が可能」、「商品・サービスの販売・提供チャネルの拡大」については、50%以上の企業がブロードバンドに対応した電子商取引の利点として挙げている。また、ブロードバンドに対応した販売促進においては、「より細かな広告配信やマーケティング戦略が可能」、「より細かな顧客対応が可能」といった点を挙げる企業も4割以上に達しており、ブロードバンドならではの広告等が効果を発揮しつつあることがうかがえる。
 このほか、ブロードバンドに対応した電子商取引の利点として、「ブロードバンドでなければできなかったサービスが提供可能」と答えた企業が36.2%に上っている。ブロードバンドの普及は、新しい事業チャンスの拡大にも貢献している(図表[3])。

 
図表[3] ブロードバンドに対応した電子商取引、販売促進によるメリット(複数回答)

図表[3] ブロードバンドに対応した電子商取引、販売促進によるメリット(複数回答)※
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2 携帯端末に対応した電子商取引・販売促進活動の実施状況

 現在インターネットを活用して電子商取引を行っている消費者向け企業のうち、インターネット対応型携帯電話等、携帯端末に対応した電子商取引を行っている企業は46.0%であり、ブロードバンド対応の電子商取引よりも活用が進んでいる(図表[4])。また、販売促進活動においても、携帯端末への対応が進んでいる(図表[5])。

 
図表[4] 携帯端末に対応した電子商取引の実施状況

図表[4] 携帯端末に対応した電子商取引の実施状況※
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図表[5] 携帯端末に対応した販売促進の実施状況

図表[5] 携帯端末に対応した販売促進の実施状況※
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 携帯端末に対応した消費者向けの電子商取引のメリットとして、60%以上の企業が「商品・サービスの販売・提供チャネルの拡大」、「購買者・サービス利用者が増大」、「時間を気にせず商品・サービスの提供が可能」を挙げている。また、携帯端末に対応した販売促進活動においては、「リアルタイムの情報収集・提供が可能」なことをメリットに挙げる企業は47.3%に達しており、消費者がどこにいても適時に情報配信が可能な携帯端末が販売促進に活かされている(図表[6])。

 
図表[6] 携帯端末に対応した電子商取引、販売促進によるメリット(複数回答)

図表[6] 携帯端末に対応した電子商取引、販売促進によるメリット(複数回答)※
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3 消費者向け企業におけるユビキタスツールの活用状況

 電子タグ、非接触型ICカード、情報家電やネットワーク対応テレビ等のユビキタスツールを利用した消費者向けサービスの提供は、まだ始まったばかりであり、本格的に活用している企業は少ない。しかし、7.2%の企業が非接触型ICカードを、6.2%の企業が電子タグを利用した消費者向けのサービス提供を検討しているなど、実用化に向けた検討が進んでいる。また、電子タグ、非接触型ICカード、ネットワーク対応テレビ等の情報家電等、新たに通信機能を備えた機器のいずれにおいても、関心を有している企業は50%を超えており、非常に広範囲の企業において関心が持たれている(図表[7])。

 
図表[7] ユビキタスツールの活用状況

図表[7] ユビキタスツールの活用状況
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 ユビキタスツールを活用又は活用検討中の企業が、どのような分野で活用又は活用を予定しているかを尋ねたところ、ショッピング(商品の販売)への活用が多くのユビキタスツールにおいて6割以上の高い比率を示している。また、ショッピング以外の分野では、非接触型ICカード埋込型携帯電話については娯楽や交通分野への活用が、電子タグについては食品関連の分野での活用が期待されている(図表[8])。また、活用機能としては、電子タグについては履歴情報把握、キャッシュレス、認証、位置情報把握といった機能を、非接触型ICカードや非接触型ICカード埋込型携帯電話についてはキャッシュレス、チケットレス、認証といった機能を用いた活用又は活用の検討がなされている(図表[9])。

 
図表[8] ユビキタスツールを活用/活用検討中の分野(複数回答)

図表[8] ユビキタスツールを活用/活用検討中の分野(複数回答)※
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図表[9] ユビキタスツールを用いて活用/活用検討中の機能(複数回答)

図表[9] ユビキタスツールを用いて活用/活用検討中の機能(複数回答)※
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4 電子商取引・販売促進に活用されるネットワーク機器の動向

 従来のインターネットを利用した電子商取引や販売促進等においては、消費者はパソコンでネットショッピングや広告閲覧をすると想定されていた。しかし、高性能な携帯電話端末が普及し、ネットワーク対応テレビ等新たなネットワーク対応機器が実用化されつつある中、企業もそれらの機器を積極的に活用し、電子商取引や販売促進を行おうとしている。
 現在、インターネットを利用した電子商取引の対象としている機器・端末を尋ねたところ、パソコンが89.7%、インターネット対応型携帯電話が43.9%と高い比率を占めている。しかし、今後新たに電子商取引の対象とする端末を尋ねたところ、インターネット対応型携帯電話に次いでネットワーク対応テレビが11.1%と高い比率を占めており、その他情報家電(注2)も6.3%となっている(図表[10])。

 
図表[10] インターネットを利用した電子商取引の対象としている機器・端末(現在・将来新規)(複数回答)

図表[10] インターネットを利用した電子商取引の対象としている機器・端末(現在・将来新規)(複数回答)※
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 同様にインターネットを利用した販売促進活動においても、今後新たに販売促進活動の展開を検討している機器・端末として、ネットワーク対応テレビがインターネット対応型携帯電話に次いで注目を集めており、新たな電子商取引・販売促進チャネルとしてネットワーク対応テレビやその他情報家電を活用する動きが見られる(図表[11])。

 
図表[11] インターネットを利用した販売促進活動を展開している機器・端末(現在・将来新規)(複数回答)

図表[11] インターネットを利用した販売促進活動を展開している機器・端末(現在・将来新規)(複数回答)※
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(注1)ここでのブロードバンドは、日米比較のために定額制・常時接続の片道200kbps以上の速度を持つ回線として尋ねている。また電子商取引は、インターネットを活用した物販、有料サービス提供、コンテンツの配信を指す
(注2)ここでの「その他情報家電」は、ネットワーク対応型のカー・ナビゲーション・システム、テレビ、ゲーム機、インターネット対応型固定電話を除く、情報家電を指す

 

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