平成16年版 情報通信白書

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第1章 特集 「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」

(3)企業のネットワーク活用状況の日米比較

日本企業はユビキタスツールに従来のネットワーク環境とは異なるメリットを認識

 米国企業でも、高度情報通信ネットワーク環境の活用が進んでおり、様々なメリットが認識されている。他方、ネットワーク環境やネットワークに対する企業の認識の違いから、企業のネットワーク活用状況やネットワーク活用によるメリット感に日本との違いも見られる。

1 ネットワーク導入状況の比較

 事業者向け企業における企業間通信網(WAN)、インターネット接続環境といった基礎的なネットワークインフラの導入率を比較すると、日米ともに同程度の導入率となっており、大きな差は見られなかった。他方、モバイルネットワークの活用状況においては、社外からの携帯端末による接続可能な環境については導入率がほぼ同じものの、社内における無線LAN環境の構築率において米国が61.6%、日本が47.1%と差が見られる(図表[1])。

 
図表[1] 日米のネットワークインフラの導入状況

図表[1] 日米のネットワークインフラの導入状況※
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2 ブロードバンド・携帯端末対応電子商取引の実施状況の比較

 消費者向け企業において、ブロードバンド(注)対応の電子商取引を実施している企業の比率は米国の方が高い一方で、携帯端末に対応した電子商取引を実施している企業の比率は日本の方が高い(図表[2])。これは、日本において携帯インターネットの普及が進んでおり(1-1-1(2)参照)、インターネット対応型携帯電話を活用したビジネスが盛んであることを示している。

 
図表[2] 日米の消費者向け電子商取引のブロードバンド・携帯端末対応状況

図表[2] 日米の消費者向け電子商取引のブロードバンド・携帯端末対応状況※
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3 ネットワーク活用によるメリットの比較

 高度情報通信ネットワーク環境を利用することによるメリットを尋ねたところ、どのネットワーク環境に関しても、「業務スピードの向上」を挙げた企業の比率は日本の方が高い。また、「業務コストの削減」や「従業員の労力の軽減」等、業務の効率化に関する項目については日米とも大きな差はなく、日本が米国を上回る項目も見られる。他方、「売上の拡大」、「経営分析・経営戦略立案の高度化」といった高付加価値化に関する項目については、米国の方がメリットを感じている企業の比率が高い(図表[3])。

 
図表[3] 高度情報通信ネットワーク環境利用によって得られるメリットの日米比較

図表[3] 高度情報通信ネットワーク環境利用によって得られるメリットの日米比較※
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 ただし、ブロードバンド利用によりメリットがあるとする企業の比率とユビキタスツール利用によるメリットがあるとする企業の比率を比較すると、米国ではユビキタスツールにメリットを感じる企業の比率が低い傾向があるのに対して、日本では「顧客満足の向上」、「売上の拡大」、「取引先との協業促進」等の高付加価値化に関する項目を中心に、メリットがあると答える企業の比率が高い(図表[4])。このことは、電子タグ、非接触型ICカード等のユビキタスツールへの期待において、日本企業の方が米国より全般的に高く、かつ、従来の情報通信ネットワークとは異なった活用法を考えていることがうかがえる。

 
図表[4] ユビキタスツール利用によるメリットとブロードバンド利用メリットの差の日米比較

図表[4] ユビキタスツール利用によるメリットとブロードバンド利用メリットの差※の日米比較
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(注)ここでのブロードバンドは、日米比較のために定額制・常時接続の片道200kbps以上の速度を持つ回線として尋ねている

 

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