平成16年版 情報通信白書

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第2章 情報通信の現況

4 米国のIT政策の動向

既存地域事業者に対するアンバンドル規制について、新規則を公表

1 ブロードバンド政策

 連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)は、2001年12月から2002年3月にかけてブロードバンド普及促進のため、[1]地域競争促進のため既存地域事業者(ILEC:Incumbent Local Exchange Carrier)に課されているアンバンドル規制(競争事業者へのネットワーク要素ごとの開放を義務付ける規制)をブロードバンドサービスに関しどこまで緩和することが可能か、[2]ケーブルモデムによるブロードバンドアクセスサービスを非規制の情報サービスと位置付ける規制の在り方等について一連の調査を開始した。
 このうち、アンバンドル規制(UNE規則)について、FCCは2003年2月、ILECに対する規制を一部緩和することを発表し、同年8月に新規則を公表した。これは、ILECに対して、マス市場(個人及び小規模事業者)向けの音声サービスを提供する回線・交換設備については、従来通りほぼアンバンドル義務を課す一方で、光ファイバについては開放義務を緩和し、回線共用(ラインシェアリング)についてアンバンドル義務を廃止する内容である。しかし、2004年3月、ワシントンDC連邦控訴裁判所により本決定の一部破棄等が決定されており、本決定内容が確定されるまでにはしばらく時間を要する見込みである。
 また、ケーブルモデムによるブロードバンドアクセスサービスについて、FCCは2002年3月に情報サービスに分類する決定を採択したが、連邦第9巡回控訴裁判所は2003年10月、当該サービスは電気通信サービスであり、電気通信事業者と同様のアクセス開放等の義務を求める判断を下した。この判断に対してFCCはブロードバンド政策推進を妨げるものとして同裁判所に再審を請求している。
 このほか、いわゆるIP電話(VoIP: Voice over Internet Protocol)の規制問題について、州公益事業委員会等において検討が進められているが、FCCとしても2003年12月にVoIPフォーラムを開催した上で、2004年2月にIP関連サービスに関する規制の枠組み等に関する意見招請を開始するなど、規制問題の検討に着手した。VoIPを規制の対象とみなすかどうかについては、州により判断が分かれている。

2 電波政策

 FCCは2002年6月、電波政策に対する評価及び改善策についての勧告を行う横断的組織である「電波政策タスクフォース」を設置し、電波政策について検討を行った上で、2002年11月に報告書を発表した(図表)。FCCではこの報告を受け、これらの具体的な導入の可否について検討し、可能なものから順次手続きを開始することとしている。

 
図表 米国FCCの周波数政策タスクフォース報告書の主な内容

図表 米国FCCの周波数政策タスクフォース報告書の主な内容

 また、FCCは、無線通信サービスの発展により周波数に対する需要が増加していることを受け、免許人の未使用・不必要な周波数を自由にリース可能にする制度を導入し、さらに、2003年5月、免許の移転及び譲渡手続きを簡素化することで周波数需要に対応する無線周波数の供給を確保するため、広範な無線通信サービスに周波数リース制度を導入するなどの内容を含む「報告及び命令」及び「規則制定告示」を採択した。

 

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