平成16年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

4 電波利用環境等の整備

(1)電波の与える影響からの人体・機器の防護・防止

安心で安全な電波利用に向けて

 携帯電話をはじめとする電波利用の急速な普及・高度化に伴い、無線設備から発射される電波が、人体に好ましくない影響を及ぼすのではないかという懸念や、心臓ペースメーカー等の医療機器に誤動作を引き起こす可能性が提起されている。
 総務省では、こうした懸念を解消し、安心して安全に電波を利用できる環境を整備するために適切な基準の策定及び継続的な研究等を実施している。

1 電波の人体に対する影響に関する研究等の推進

 電波の生体への影響を科学的に解明するため、平成9年度から関係省庁や大学の医学・工学の研究者等により構成される生体電磁環境研究推進委員会を開催している。
 同委員会では、平成13年1月、「現時点では電波防護指針値を超えない強さの電波により、非熱効果を含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められない」こと等を発表した。また、平成15年10月、「長期にわたる携帯電話の使用が脳腫瘍の発生に及ぼす影響は認められない」こと、さらに同年12月、「携帯電話の電波が脳微小循環動態に及ぼす影響は認められない」ことを発表し、現在は、携帯電話端末の使用と脳腫瘍との関係についての疫学調査や睡眠・免疫機能への影響調査等を実施している。
 総務省では、今後も電波の人体安全性に関する研究等を継続し、我が国の電波防護のための基準の根拠となる科学的データの信頼性向上を図るとともに、研究成果を正確に公表することにより、安心して安全に電波を利用できる環境の整備を推進していく予定である。
2 電波の機器に与える影響の防止

 平成9年3月、「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」が策定された。これを受けて、総務省(旧郵政省)では指針の内容を厚生労働省(旧厚生省)及び国土交通省(旧運輸省)へ通知するとともに、その効果的な活用について要請した結果、鉄道車両内では混雑時に携帯電話の電源を切るなどの周知が行われている。
 その後、第3世代携帯電話等の新しい方式の携帯電話サービスの開始をはじめとする電波利用の拡大、心臓ペースメーカーのような医用機器等の妨害電波排除能力が向上するなど、電波利用の状況が変化してきている。このため、総務省では、電波が医用機器等に及ぼす影響に関する詳細な調査を行い、電波を発射する側と医用機器等の影響を受ける側が安心して共存し、電波を利用できる環境の確保を図っている。平成12年度及び13年度には、最新の携帯電話端末等が心臓ペースメーカー等に及ぼす影響及び病院内における無線通信システムの導入に向け必要な諸条件について調査を実施した結果、先述した平成9年3月に策定した指針が妥当であることが確認されたため、広く国民に周知を行った。
 平成14年度からは、普及が進みつつあるワイヤレスカードシステム等から発射される電波が心臓ペースメーカー等に及ぼす影響の調査を実施している。

 

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