平成17年版 情報通信白書

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第1章 特集 「u-Japanの胎動」

(3)音楽配信

我が国でも、今後音楽配信が本格普及するきざし

1 音楽配信市場の動向

 2003(平成15)年4月に米国のA社が開始した音楽配信サービス(2003年4月から米国、2004年6月から欧州で開始)は、提供楽曲数の豊富さ、価格の安さ、緩やかな著作権管理等から爆発的なヒットとなり、2005(平成17)年3月には販売曲数が累計で3億曲を突破し、現状では1日100万曲を超えている。なお、米国では2003年4月以降、インターネットからの音楽購入が急増したが、他方、2004(平成16)年の音楽CDの出荷数量は対前年比で2.8%増加している(図表[1])。

 
図表[1] 米国における音楽配信サービスとCDの出荷状況

図表[1] 米国における音楽配信サービスとCDの出荷状況
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 我が国においても、平成16年以降、多くの企業が音楽配信市場に新たに参入している(図表[2])。我が国の音楽配信市場は、大手2社の平成17年1月の月間販売曲数が約51万曲と米国に比べてまだ低位にある。これは、我が国の音楽配信サービスが利用者から見て必ずしも魅力的なサービスになっていないことが原因と考えられる。楽曲の価格は、上記米国企業は1曲100円程度なのに対し、我が国では200円前後となっている。また、提供楽曲数は、上記米国企業の100万曲に対し、我が国では最も多いところでも15万曲にとどまっている。さらに、上記米国企業ではパソコンにダウンロードした個々の楽曲の携帯音楽プレーヤーへの転送やCD-Rへの書き込みが無制限となっているのに対し、我が国では携帯音楽プレーヤーへの転送を制限したり、CD-Rへの書き込みを不可能としているところが多い。また、我が国では、米国と異なりレンタルCD店が普及しているという事情もある。

 
図表[2] 我が国の主な音楽配信事業者(15社)の状況(平成17年3月時点)

図表[2] 我が国の主な音楽配信事業者(15社)の状況(平成17年3月時点)
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 しかしながら、上記大手2社の平成16年8月と平成17年1月の月間販売楽曲数を比較すると、24万曲から51万曲へと5か月間で2倍以上の高い伸びを示しており、また、後述する利用意向の高さ(図表[5])も併せ考えると、今後、我が国においても音楽配信市場が急速に拡大していくものと予想される。
 また、平成16年11月から携帯電話へ楽曲を丸ごと配信するサービスが開始された。サービス開始から約5か月で販売楽曲数が500万曲を突破しており、今後、携帯電話向け音楽配信市場も拡大していくものと予想される。

2 音楽配信サービスの利用実態、今後の利用意向

 インターネット利用者のうちパソコンによる音楽配信サービスを利用している者は8.9%であり、まだ利用者は少ない状況にある(図表[3])。

 
図表[3] ネット音楽配信の利用率

図表[3] ネット音楽配信の利用率
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 パソコンによる音楽配信サービスへの不満は、「音楽の価格が高い」(26.3%)が最も多く、次いで「コピーや転送の制限が厳しい」(17.1%)、「欲しい音楽を探すのが大変」(15.9%)、「欲しい音楽がない/種類が少ない」(15.2%)と続く(図表[4])。価格、著作権管理、提供楽曲数に関する不満が高いことがうかがえる。今後の利用意向は、「利用したい」が42.9%となっている(図表[5])。

 
図表[4] ネット音楽配信サービスの不満点

図表[4] ネット音楽配信サービスの不満点
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図表[5] ネット音楽配信の利用意向

図表[5] ネット音楽配信の利用意向
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 携帯電話等利用者のうち楽曲丸ごとの音楽配信サービスの利用者は3.6%であるが、パケット定額制利用者では8.5%と高くなる。今後の利用意向は、「利用したことはないが、今後利用したい」が25.8%となっている(図表[6])。

 
図表[6] 携帯電話向け音楽配信サービス利用率・利用意向(携帯電話等利用者)

図表[6] 携帯電話向け音楽配信サービス利用率・利用意向(携帯電話等利用者)
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 第2節 国民のICT利用

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