平成17年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 特集 「u-Japanの胎動」

(5)ユビキタスネット社会への課題

優先課題は、情報ネットワークの脆弱性、高度サービスの地域格差など

1 ユビキタスネット社会への課題

 ICTが生活の隅々にまで普及浸透したユビキタスネット社会では、サイバー社会で起こりつつある不安や障害が高まるとともに、現時点では想定していない課題が新たに生じる可能性がある。例えば、「いつでも」つながることから、個人情報が正しく保護されるのか等の懸念があり、また、「何でも」つながるということは、これまでパソコンに限定されていたコンピュータウイルス等の被害が、家庭の電化製品などにも広がる可能性がある。
 こうした課題を整理するため、「ユビキタスネット社会の実現に向けた政策懇談会」では、ユビキタスネット社会の影の課題について、プライバシー保護、セキュリティの確保など10の大分類ごとにそれぞれ10ずつの個別課題を列挙し、合計100課題を提示した。そして、この100の個別課題の中から優先的に取り組むべき課題を明らかにするため、有識者へのアンケート調査を実施し、社会に対する影響の度合い、対応の未熟さの度合いという2つの視点から優先課題を抽出した。その結果によれば、優先課題としては、「情報ネットワークの脆弱性」、「高度サービスの地域格差」、「ネット利用悪質商法」などの21課題が挙げられている(図表[1])。

 
図表[1] ユビキタスネット社会の実現に向けて優先的に取り組むべき課題

図表[1] ユビキタスネット社会の実現に向けて優先的に取り組むべき課題
Excel形式のファイルはこちら


2 ユビキタスネット社会構築に対する意識

 ユビキタスネット社会では、生活の安心・安全や利便性等が高まる(プラス効果)一方、プライバシーやセキュリティー等の面で新たな課題が発生する可能性(マイナス効果)があるが、こうしたプラス効果とマイナス効果の両面を有するユビキタスネットワーク社会の構築を進めるべきか否か日米韓のインターネット利用者に聞いた。日米韓ともユビキタスネット社会の構築を進めるべきとの回答が最も多かったが、国により意識に違いが見られる。日本は「プラス効果の方が大きいが、マイナス効果が生じないよう、多少時間がかかってもよいから慎重に構築を進めるべきである」が75.1%と米韓に比べて高い。他方、米国では「マイナス効果の方が大きく、構築するべきではない」が23.4%と日韓に比べ相当高い。また、韓国では「プラス効果の方が圧倒的に大きく、積極的に構築を進めるべきである」が23.4%と日米に比べ高い(図表[2])。これから見ると、日本は慎重に推進、米国は推進反対者も相当存在、韓国は積極的に推進という傾向になっている。

 
図表[2] ユビキタスネット社会構築への可否

図表[2] ユビキタスネット社会構築への可否
Excel形式のファイルはこちら


 また、ユビキタスネット社会の構築を進めるべきと回答した人に対して、マイナス効果にどう対応していくべきかを聞いた。日米韓とも「事前に国や企業において、マイナス効果を生じさせないための制度的、技術的対応を行う必要があるが、利用者の自己責任も不可欠である」が最も高くなっているが、日韓では「事前に国や企業において、マイナス効果を生じさせないための制度的、技術的対応を完全に行う必要があり、できるだけ利用者に自己責任を負わせるべきではない」が米国よりも高く、他方、米国では「問題が発生した都度、事後的に対応すればよい」が日韓に比べ高くなっている。利用者の自己責任という意識は相対的に米国が強い傾向にある(図表[3])。

 
図表[3] ユビキタスネット社会のマイナス効果への対応の考え方

図表[3] ユビキタスネット社会のマイナス効果への対応の考え方
Excel形式のファイルはこちら


 第5節 u-Japan実現に向けた課題

テキスト形式のファイルはこちら

(4)個人情報保護 に戻る 第1章第5節2(1)ブロードバンドサービスの地域別提供状況 に進む