平成17年版 情報通信白書

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第2章 情報通信の現況

3 海外の通信事業者の動向

大規模合併、事業再構築による新たな市場の構図の出現

 米国では、2005年1月、地域通信事業者のSBCが長距離事業者であるAT&Tを買収する旨の発表を行っており、実現すれば、売上ベースで米国内第1位の電気通信事業者がベライゾンコミュニケーションと入れ替わることになる。移動体通信の分野においては、2004年2月に移動電話加入者数において米国第2位のシンギュラー・ワイヤレスが米国第3位のAT&Tワイヤレスを買収することを発表し、同年10月に正式妥結した。これに伴い、ベライゾンワイヤレスを抜き、米国内第1位の移動体通信事業者となった。さらに、加入者数4位のスプリントと6位のネクステルが合併を発表しており、この合併が実現すれば、米国第2位の移動体通信事業者となり、ベライゾンワイヤレスは第3位となる。
 英国では、BTが、海外投資や第3世代移動体通信(3G)免許の獲得に伴い2001年に約280億ポンドあった負債を、資産売却等により2004年3月で約12億ポンドまで削減させるなど各社とも財務内容を回復させている。また、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)によるサービスが活発化している。バージングループの傘下にあるバージン・モバイルは、2004年3月末現在で400万弱の加入者を獲得しており、小売業者のテスコや移動体事業を分離したBTもMVNOにより移動体通信事業に再参入するなど新規事業者の参入が相次いでいる。
 フランスでは、国際進出戦略の失敗によりフランステレコム(FT)に巨額な負債が生じていたが、その後再建計画を策定し、拡大戦略の見直し、事業資産の売却、事業再構築を進めた結果、2002年末に680億ユーロであった負債が、2004年3月に442億ユーロに削減された。また、2003年12月、政府の持ち株比率を50%以下に引き下げることができる「FT定款改正法」が成立し、2004年9月、政府保有のFT株を売却し、政府保有株式の比率が42%になった。
 ドイツでは、最大手のドイツテレコムが事業戦略の失敗等により2002年に537億ユーロの売上高、246億ユーロの損失となり過去最大の赤字を記録した。その後、事業再建に取り組んだ結果、2003年12月に2年振りに13億ユーロ黒字となった。移動体分野では、2003年12月現在でMVNO契約数が約27%(携帯電話契約数約6,480万)を占めており、2004年以降もMVNOによる移動体通信市場への参入は増加している。

 
図表 米国の電気通信業界の動向(概要)

図表 米国の電気通信業界の動向(概要)

 第9節 海外の動向

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