平成17年版 情報通信白書

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第2章 情報通信の現況

6 アジアの情報通信政策の動向

ICTを中心として発展するアジア

1 中国

 中国における電気通信市場の成長は依然として著しく、2004年12月、固定電話の加入数が3億1,244万に、携帯電話の加入数が3億3,482万となり、加入数で世界第1位となった。また、インターネット利用者数は9,400万人となり、世界第2位と推定される。
 情報通信政策面では、中国は、2001年12月にWTOへの正式加入を果たし、法制度の整備とともに、電気通信市場の開放を進めている。法制度については、2000年9月に制定された「電信条例」において、電気通信事業を「基礎通信業務」と「付加価値通信業務」に分類し、「基礎通信業務」への外国からの投資を49%まで認めるとともに、「付加価値通信業務」では外国からの投資制限規定を設けないなど、電気通信市場の開放に関して一定の努力をしている。
 なお、外資と中国企業との合弁によって電気通信事業に参入する際の条件や手続等を規定した「外商投資電信企業管理規定」が2002年1月より施行されるなど外資参入の促進を図る政策が引き続き進められている。
 また、中国国内におけるデジタル・ディバイドが拡大しているため、情報産業部は、2020年までに各戸に1本の回線を整備するという目標を立てており、そのために「電信普遍服務管理条例」(いわゆるユニバーサルサービス基金)を制定することにより資金調達を行うこととしている。

 
図表[1] 中国電気通信関連組織・事業体の変遷

図表[1] 中国電気通信関連組織・事業体の変遷

2 韓国

 韓国では、DSLを利用したブロードバンドサービスの加入者が引き続き増加しており、韓国情報通信部によると、2004年末のインターネット利用者数は、3,158万人(人口比で70.2%)に達している。
 情報通信政策面では、2003年12月、「Broadband IT Korea Vision 2007」を公表し、[1]知識情報社会の全面的実現(2007年までにインターネット普及率を90%に拡大等)、[2]知識情報社会の土壌造成、[3]IT新成長動力創出基盤造成、[4]グローバル情報社会に向けた国際協力の強化に取り組み、国民所得2万ドル時代の実現を目指すこととしている。
 さらに、2004年5月、「Broadband IT Korea Vision 2007」を基に、情報通信産業のバリューチェーンを活用し、8大新規情報通信サービスを早期に導入し、3大ネットワークインフラに対する投資を誘導し、その結果、最先端機器や端末、コンテンツ産業などの9大新成長動力産業(IT Growth Engine)がシナジー効果により共に成長することを目指す「IT839戦略」を公表した。同戦略では、マスタープランを作成し、サービス開始時期、必要な技術開発等の指標を公表し、政府関係者を含む専門家のワーキンググループを諮問機関として設置することで、戦略の推進に一貫性を持たせる体制を整えるよう配慮されている。

 
図表[2] Broadband IT Korea Vision 2007の概要

図表[2] Broadband IT Korea Vision 2007の概要

 
図表[3] IT839戦略の概要

図表[3] IT839戦略の概要

3 インド

 インドにおける電話加入者数は2004年には前年比40%を超える伸び率を記録し、2004年3月末現在で7,654万人に達し、電話普及率も5.1%から7.0%に増加している。なかでも、携帯電話の加入者の伸びは前年比160%(固定電話:同3%)と目覚ましく、総加入者数の44%(WLLによる移動体通信も含む)を占めるに至っている。
 こうした電気通信市場の発展は、インド政府による一連の競争政策を通じて達成されている。既に市内通信に関しては1997年、長距離通信に関しては2000年にそれぞれ自由化されており、国有系企業BSNLとMTNLの独占体制から、民間参入業者の市場シェア(含む携帯電話及びWLLによる移動体通信)が2003年には21%に、2004年には39%にまで上昇している。また国際通信については2002年に自由化されている。
 なお、電気通信市場の拡大に伴うデジタル・ディバイド(電話普及率(2004年):都市部20.8%、地方部1.6%)の解消に向けての施策として2002年3月、電気通信局が「ユニバーサルサービス支援の為のガイドライン(Guideline for Implementation of Universal Service Support)」を発表した。同ガイドラインに沿って、2002年会計年度より、ユニバーサルサービス基金の運用が開始されている。同基金は、ルーラル地域における高コストの回線敷設に利用されている。
 情報通信分野においては、ソフトウェア・サービス産業は成長するインド経済にあって引き続き牽引役を務め、2003年度におけるGDPの2.6%、輸出額の21.3%を占めている。政策面では、電子政府推進のための国家計画「National Action Plan for e-Governance」を策定し、通信情報技術省情報技術局(DIT)の下にNational Informatics Centre(NIC)が設置され、全国ICTネットワーク網の整備を進めている。

 第9節 海外の動向

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