平成18年版 情報通信白書

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第1章 ユビキタスエコノミー

2 ネットワーク・端末等の共用化

 デジタル技術の進展とブロードバンド化によるネットワークの伝送能力の飛躍的な向上に伴い、伝送路を通信サービスにも放送サービスにも利用できるようになってきた。
 2002年1月には電気通信役務を利用して放送を行うことを制度化した「電気通信役務利用放送法」が施行され、2006年5月現在で、登録者数は、衛星役務利用放送事業者が49社、有線役務利用放送事業者が16社となっている。
 有線役務利用放送事業者には、従来のケーブルテレビの方式を用い、設備の一部に電気通信事業者の設備を利用している事業者(12社)のほか、インターネットプロトコルの一種であるIPマルチキャスト方式を用い、設備の一部を電気通信事業者の設備を利用して全国規模で事業を展開する事業者4社が登録されている(図表1-3-7)。
 
図表1-3-7 IPマルチキャスト放送の事例
図表1-3-7 IPマルチキャスト放送の事例

(参考)インターネット放送とIPマルチキャスト放送の違い
 インターネット放送とは、通常、オープンネットワークであるインターネット網を用いて映像や音声を配信するサービスを指す。インターネットはベストエフォート型(サービスの品質の保証がない通信ネットワーク)のネットワークであるため、コンテンツの再生品質も保証されない。ユニキャスト方式(単一のアドレスに対してデータを送信する配信方式)によるVOD型のサービス形態が一般的となっている。
 他方、IPマルチキャスト放送は、電気通信事業者の管理するIPネットワーク上でマルチキャスト方式(多数のアドレスに対してデータを送信する配信方式)を用いて映像や音声を配信するサービスを指す。通信経路上のすべてのルーターが対応している必要があり、管理されたネットワーク(クローズドネットワーク)を通じて送信されるため、アクセスがしにくい、途中でコンテンツが途切れるといったことがなく大容量のコンテンツが配信される。サービス形態も、他の放送と同様に時間軸に沿って編成されたプログラムに基づく番組配信が一般的であり、条件不利地域等における地上デジタル放送の再送信についても期待されている。

 2003年12月、地上デジタルテレビジョン放送が開始された。地上テレビジョン放送のデジタル化の意義の一つに、インターネットとの接続による双方向サービスの提供が挙げられる。双方向化によって、視聴者は多様なサービスを利用することが可能になる。テレビは国民生活にとって最も身近な情報基盤の一つであり、ほぼ全世帯に普及していることから、テレビのデジタル化は家庭における情報通信基盤の形成につながるものである。
 また、2006年4月、29都道府県において、デジタル放送ならではのサービスとしてワンセグが開始され、外出先においても、家庭と同じようにクリアな映像やデータ放送を利用することが可能になった。
 移動端末向けの放送には、映像コンテンツの新しい視聴形態を実現するとともに、例えばモバイルショッピングとの連動等、データ放送や双方向機能を活用した新しいサービスの開拓が期待されている。
 
図表1-3-8 ワンセグの概要
図表1-3-8 ワンセグの概要

 第3節 通信・放送の融合・連携の動向

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