平成18年版 情報通信白書

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第2章 情報通信の現況

4 電気通信事業者の動向

 米国では2005年に地域通信事業者による2大長距離事業者の大型合併が発表された。SBCは2005年1月に発表したAT&Tの合併を11月に完了し新社名にAT&Tを採用した。ベライゾンは2005年2月に長距離通信市場第2位のMCIの合併を発表、2006年1月に合併を完了している。
 2006年3月にはAT&T(旧SBC)が670億ドルでベルサウスの合併を発表しており、1984年に長距離通信事業者と七つの地域通信事業者に分割された旧AT&Tは、この合併により3社に統合されることになる。
 携帯電話市場ではシンギュラー・ワイヤレスがAT&Tワイヤレスの合併を2004年10月に完了したのに続き、2005年8月にはスプリントとネクステルが合併するなど、6社の全米規模事業者が4社に再編された。
 米国通信業界は、AT&T及びベライゾンの2強時代を迎えた。競争の舞台はRBOC対長距離通信事業者から、電気通信事業者対ケーブルテレビ事業者に移行しており、総合通信事業者のAT&T及びベライゾンと、音声市場に進出するケーブルテレビ事業者との間で、トリプルプレイ、クワドルプルプレイ等をめぐる競争が繰り広げられている。
 フランスでは、固定電話・移動通信・インターネット事業を包括した「総合通信事業者」戦略を推進するフランス・テレコムが、2004年4月に傘下の移動通信事業者であるOrangeの全株式を取得し完全子会社化するとともに、2004年9月にISP事業を展開するWanadooを統合している。2005年6月には、3か年事業計画「NExT」が発表されており、2008年までに、融合サービスの売上高を、全売上高の5%から10%とすることを目標としている。2005年7月にはスペイン第3位の移動体通信事業者であるAmenaを買収し、欧州規模での融合サービス提供への第一歩を踏み出した。
 ドイツでは、ドイツテレコムが2004年10月にT−オンラインのT−コムへの統合を発表し、トリプルプレイ等の次世代通信を志向する戦略を打ち出しており、2005年9月には、光ファイバによる高速ブロードバンド網整備計画を発表した。ドイツテレコムは米国やイギリス、フランス等での事業展開に加えて、東欧諸国の通信事業者への出資を通じてT-ブランドの拡大をねらっており、2005年8月にはオーストリアのテレリングとの合併合意を発表している。
 イギリスでは、BTが2001年3月期の赤字計上後、移動体事業の資本分離や海外投資の中止等の経営再建を進めてきたが、最近の業績回復を受け2004年から合併戦略を再開している。多国籍企業向けのソリューション事業を展開するため、2005年2月にInfonet、アルバコムの合併を完了している。また、2004年6月にはIPネットワークへの移行計画「21CN」を発表している。
 
図表2-6-6 米国の電気通信業界の動向(概要)
図表2-6-6 米国の電気通信業界の動向(概要)

 第6節 海外の動向

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