平成18年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

3 電波の有効利用政策の促進 〜電波政策全般・トピック〜

1 電波開放戦略の推進

 今日、我が国では、9,000万契約突破の携帯電話をはじめとした移動通信システムを用いて、街の至るところで音楽の配信サービスやウェブアクセス等を利用できる状況にあるが、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」というユビキタスネット社会を実現するためには、今後ともますます電波の利用ニーズが拡大していくものと考えられる。
 このような状況を受け、総務省では、我が国のユビキタスネット社会構築の鍵となる「ワイヤレスブロードバンドサービス」の実現に向け、大胆に電波を開放するための仕組みを作り、新たな分野へ周波数を割り当てていくための政策として「電波開放戦略」を推進している。
 
図表3-2-5 電波開放戦略の推進
図表3-2-5 電波開放戦略の推進

2 周波数割当ての見直し(携帯電話用周波数の利用拡大)

 ワイヤレスブロードバンド環境を構築するに当たっては、その中核を担う移動通信システムや無線LAN等に大量の電波の確保が必要不可欠となる。このため、総務省では、周波数再配分の基本的な考え方について、平成15年10月に「周波数の再編方針」を策定・公表した。その中で、中期的(5年以内)には1.7GHz帯、2GHz帯及び2.5GHz帯を中心に、約330〜340MHz幅の周波数を移動通信システム用として確保するよう再編を検討することとした。
 これを受け、総務省では、新たに携帯電話用として使用することが可能となる1.7GHz帯及び2GHz帯の周波数の利用の在り方について、「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」における意見交換、国民からの意見等を踏まえて検討を行い、平成16年8月に1.7GHz帯及び2GHz帯の周波数について、割当事業者数や審査基準等を示した免許方針を制定した。本方針に基づき開設計画の認定の申請を受け付けたところ新たに3社から参入希望の申請があり、同年11月に新規参入事業者3社を決定したところである。
 平成18年度中にも新規参入事業者によるサービスが開始される予定であり、新たな事業者の参入により、サービスの高度化・多様化、料金の低廉化等、競争が一層促進されることが期待される。
 また、総務省では、周波数の再編を円滑かつ着実にフォローアップするための行動計画を示す「周波数再編アクションプラン」を平成16年8月に策定した。このアクションプランについては、毎年度実施される電波の利用状況調査の評価結果及び電波利用環境の変化等を踏まえ、逐次見直しを行うこととされており、平成16年度に実施した電波の利用状況調査の調査結果(平成17年4月13日公表)を受け、平成17年10月には「周波数再編アクションプラン」を見直し、改定版を公表している。
 なお、改定されたアクションプランでは、平成16年8月のアクションプランにおいて、今後導入が見込まれる移動通信システム等の周波数の需要増に適切に対応するため再編の必要性が提起された固定無線・無線標定・衛星通信の各システムの周波数の有効利用方策の方向性についてとりまとめるとともに、各周波数区分のアクションプラン(新たに770-960MHz帯及び1.4-1.71GHz帯の周波数区分を追加)の見直しを行っている。

3 電波の迅速な再配分に向けた取組

 新たな電波需要に積極的に対応するためには、実際の電波の利用状況を把握した上で、電波の迅速かつ円滑な再配分を実施することが必要である。このため、平成16年の電波法改正により、電波の迅速な再配分を円滑化する観点から、周波数の使用期限を短縮される既存の電波利用者に対して、当該使用期限の短縮により通常生じる費用を給付金として支給する制度が導入された。
 この給付金制度により、4.9〜5.0GHz帯(電気通信業務用固定局が使用している周波数帯)において、関東、東海及び近畿の大都市圏で高出力の無線LANが自由に利用できる環境を整備するため、平成19年11月末とされている既存無線局の使用期限をそれら大都市圏においては2年間前倒しし、使用周波数を確保した。
 これを受け、平成17年12月1日から当該大都市圏内において、4.9〜5.0GHz帯の無線アクセスシステムを対象に無線局登録制度を導入している。
 この無線局登録制度は従前の「事前チェック型」無線局免許制度の手続を緩和し、「事後チェック型」としたことにより、無線局の開設手続を大幅に迅速化・簡素化したものである。

4 電波利用料制度の抜本的な見直し

 電波利用料制度については、制度の導入から既に13年以上が経過し、その間、携帯電話や無線LAN等電波を活用したビジネスの発展等、電波利用料を巡る諸事情は大きく変化した。このため、総務省では、電波有効利用政策研究会において電波利用料制度の見直しに向けた検討を進め、平成16年10月の同研究会の提言を踏まえ、平成17年9月「電波法及び放送法の一部を改正する法律案」を国会に提出し、同法は同年11月に公布された。
 今回の見直しでは、まず、電波利用料について、従来の算定方式に加え、電波の経済的価値に係る諸要素を勘案した料額算定方法を導入した。さらにその使途として、電波のより能率的な利用に資する技術に関する研究開発に関する費用と、携帯電話等の無線通信を利用できない地域において必要最小の空中線電力を用いてこれらの無線通信を利用できるようにするための伝送路設備整備の補助金に要する費用を追加した。
 
図表3-2-6 電波利用料制度の見直しの概要
図表3-2-6 電波利用料制度の見直しの概要

5 ワイヤレスブロードバンドの推進

 電波の再配分に当たっては、周波数の有効利用や再編を行うことにより創出される周波数を、将来、どのようなシステムに割り当てていくかについて検討する必要がある。
 総務省では、平成16年11月より「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」を開催し、我が国のユビキタスネット社会実現の鍵となるワイヤレスブロードバンドシステムを実現するための具体策について検討を行った。
 同研究会では、将来導入が想定される無線システムに関する一般からの提案公募(44者から72件)を含め、広くオープンな場で産学官により活発な議論を行い、具体的な導入シナリオ、普及推進方策及び「周波数の再編方針」を踏まえた周波数再配分の具体化方策等について取りまとめた(平成17年12月に最終報告書を公表)。
 今後は、同研究会における検討結果を踏まえ、具体的なサービスの早期導入に向けて、必要な技術基準の策定や免許制度等の整備に取り組んでいく予定である。
 
図表3-2-7 「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」における検討結果
図表3-2-7 「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」における検討結果

 第2節 情報通信政策の展開

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